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浜名瀬志乃の学び舎日誌  作者: 火乃香


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31/92

25話

この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。

オリジナルの妖怪が登場することもあります。

素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。

冬休みも終わりしばらくたった頃の帰り道。

陽葵(ひまり)「ねえ、今度のスキー合宿どうする?」

志乃(しの)「勉強の方は大丈夫なのか?」

陽葵(ひまり)「息抜きは必要だよ。」

志乃(しの)「スキーか。したことないんだよな。」

陽葵(ひまり)「もしかしてできないの?」

志乃(しの)「やってみないと分からないな。」

陽葵(ひまり)「ならやろう。」

志乃(しの)「、、そうだな。こういう時にお前から目を離すと危ないからな。」

陽葵(ひまり)「私そんなにトラブル起こしてるかな?」

志乃(しの)「何で自覚無いんだ?」

スキー合宿当日、知った顔もチラホラいる。

野々香(ののか)志乃(しの)志乃(しの)。一緒に滑ろ。」

志乃(しの)「それは午後からだろ。」

午前中は初心者と中級・上級者で分かれてスキーのレッスンを受ける。

野々香(ののか)「レッスン中も一緒に居ようよ。」

志乃(しの)野々香(ののか)を無視していると凛華(りんか)に声を掛けられる。

凛華(りんか)浜名瀬(はまなせ)さんも参加したんですね。」

志乃(しの)「ああ。凛華(りんか)もなんだな。」

凛華(りんか)「はい。苦手を少しずつ克服したいんです。」

志乃(しの)「スキー苦手なのか?」

凛華(りんか)「バスケ以外の運動はあんまり、、だから初心者コースを受けます。」

志乃(しの)「そうか。私は今回初めてだから初心者コースに応募した。」

野々香(ののか)「え。そうだったの。」

凛華(りんか)「そうなんですか?でも浜名瀬(はまなせ)さんは中級・上級者コースからでもいい気はします。」

志乃(しの)「何でも初めは大事だ。それで気になったんだが何でお前は野々香(ののか)を避けようとしているんだ?」

凛華(りんか)志乃(しの)を挟んで野々香(ののか)に近づこうとしない。

凛華(りんか)「いや。何か本能というか何というか体がこの人を拒否してしまって、、」

志乃(しの)「そう言えば鳥が苦手だったか。」

凛華(りんか)「え?何かこの人、鳥と関係あるんですか?」

志乃(しの)「気にするな。」

陽葵(ひまり)「あ。いたいた浜名瀬(はまなせ)さん。」

志乃(しの)「遅かったな。」

陽葵(ひまり)「私が準備してたら勝手にいなくなったのはそっちじゃん。」

志乃(しの)「不器用なお前を待つ必要はない。」

陽葵(ひまり)「手伝ってくれても良いじゃん。って言うか浜名瀬(はまなせ)さん初めてなのに何で準備早いの?」

志乃(しの)「見れば分かるだろ。」

凛華(りんか)「やっぱり浜名瀬(はまなせ)さん、中級・上級者コースでも良いんじゃないですか?」

陽葵(ひまり)凛華(りんか)も一緒に行く?」

凛華(りんか)「私は、、ちょっと、、」

志乃(しの)陽葵(ひまり)。お前は中級・上級者コースなんだろ。」

陽葵(ひまり)「うん。一緒に行こうよ。」

志乃(しの)「言った通り私は今回初めてだから初心者コースだぞ。」

陽葵(ひまり)「えー。浜名瀬(はまなせ)さんならどこでも大丈夫でしょ。今からでも変えれるよ。」

志乃(しの)「そろそろ時間だ。凛華(りんか)行くぞ。」

凛華(りんか)「は、はい。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん。むー。」

志乃(しの)はさっさと初心者コースの方へ行ってしまった。

野々香(ののか)「私も今から初心者コース行こうかな。」

陽葵(ひまり)野々香(ののか)一緒に行こ。」

野々香(ののか)「え。私は志乃(しの)のとこ行こうと、、」

陽葵(ひまり)「一緒にレッスン受けよ。」

野々香(ののか)「まあ、陽葵(ひまり)となら良いか。」

志乃(しの)凛華(りんか)と共に初心者コースに来るがあまり人は多くない。

担当の教師に基礎を教わりながら滑る事に慣れる事から始まった。

凛華(りんか)はずっと緊張して上手く滑れてないのである程度慣れてきた志乃(しの)はそれを見て凛華(りんか)の隣に付く。

志乃(しの)「もう少し力抜けないのか?」

凛華(りんか)「滑って転びそうで無理です。」

志乃(しの)「そうなったら支えるぞ?」

凛華(りんか)「良いんですか?」

志乃(しの)「お前が力を抜けたらな。」

凛華(りんか)「ならこのまま見守ってくれますか?」

志乃(しの)「ああ。」

凛華(りんか)は力を抜くが特に転ぶ事は無く、滑る事に対する恐怖が薄れて少しずつ滑れるようになっていった。

そしてレッスンも終わりお昼になる。

志乃(しの)「良くなったじゃないか。」

凛華(りんか)「ありがとうございます。」

志乃(しの)「私は何もしていないぞ。」

凛華(りんか)「それでも見ていてくれたから安心して滑れました。」

志乃(しの)「そうか。」

凛華(りんか)「午後も一緒に滑りませんか?」

志乃(しの)「まだ心配か?」

凛華(りんか)「はい。なので見ていて欲しいんです。」

志乃(しの)「分かった。」

陽葵(ひまり)「あ、いた。浜名瀬(はまなせ)さんと凛華(りんか)。」

志乃(しの)「そっちはどうだった?」

陽葵(ひまり)野々香(ののか)が調子乗ってちょっと大変だった。」

野々香(ののか)「だって速くないとつまんないんだもん。」

陽葵(ひまり)「それで浜名瀬(はまなせ)さんは午後の自由時間一緒に滑るよね。」

志乃(しの)「先客いるからそっちが先だ。」

陽葵(ひまり)「でも中級者コースの方で妖気感じたんだよ。」

志乃(しの)「私も少し感じたが無害だから気にするな。」

野々香(ののか)「だけどあの子達ちょっと様子変だったよ。」

志乃(しの)「どう変なんだ?」

野々香(ののか)「そわそわしていたというか、こっちをしきりに気にしてた。」

志乃(しの)「、、気になるな。」

凛華(りんか)「何の話ですか?」

志乃(しの)凛華(りんか)すまない。やっぱり他の人と滑ってくれないか?」

凛華(りんか)「今回参加している友達はいません。私も中級者コースを滑ろうと思っていました。途中までで良いので見ててくれませんか?」

志乃(しの)「、、わかった。約束したからな、途中までは見よう。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん何で凛華(りんか)には優しいの。」

志乃(しの)「自分から苦手を克服しようとしている人を応援して何が悪い。」

陽葵(ひまり)「そうだったの。何かごめん。」

凛華(りんか)「いえ。我儘を言っているのは自分でも分かっています。」

志乃(しの)「予定が変わってしまってすまないな。」

凛華(りんか)「それでも約束守ってくれてありがとうございます。邪魔にはならないようにするので。」

志乃(しの)「ああ。」

お昼時間が終わって志乃(しの)達は中級者コースへ来ていた。

妖気は感じるがその方向を見るだけで隠れてしまい、近づくことは難しそうだ。

野々香(ののか)「捕まえてこようか?」

志乃(しの)「止めろ。怖がらせたくは無い。しばらく様子見るぞ。」

凛華(りんか)との約束もあるのであちらから動きがあるまではスキーをしながら様子を見ることにする。

凛華(りんか)はもう滑る事への恐怖はなさそうで楽しそうに滑っている。

志乃(しの)凛華(りんか)。1人で滑れるか?」

凛華(りんか)「はい。」

志乃(しの)「なら1人で降りてくれるか?」

凛華(りんか)「それって、、」

志乃(しの)陽葵(ひまり)も降りていいんだぞ。」

陽葵(ひまり)「やだ。」

志乃(しの)「、、実践も必要か。」

凛華(りんか)「気を付けてくださいね。」

志乃(しの)「ああ。」

凛華(りんか)が1人で滑り降りた時、急に吹雪が吹き荒れてまだ上にいた志乃(しの)陽葵(ひまり)野々香(ののか)の3名を呑みこんだ。

吹雪はしばらく続き、合宿に参加した生徒達はペンションに戻るが志乃(しの)達が戻らないことに先生達は慌てている。

凛華(りんか)は無事にペンションへ戻れたが志乃(しの)達が心配で外を眺めていた。

一方志乃(しの)達は、吹雪いてきた時に志乃(しの)はすぐに陽葵(ひまり)を抱え込み、吹雪きの風から陽葵(ひまり)を守る。

辺りは一瞬で白一色になり一寸先も見えない。

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん。」

志乃(しの)「動くな。止むまでこのまま耐えるぞ。」

陽葵(ひまり)「大丈夫なの?」

志乃(しの)「しばらくすれば止むだろ。寒いか?」

陽葵(ひまり)「私は大丈夫。だけど浜名瀬(はまなせ)さんは?」

志乃(しの)「心配するな大丈夫だ。」

しばらくして吹雪が止み周りが見え始めた。

だけどそこは今までいたゲレンデではなく木々が生えた森の中だった。

志乃(しの)は体の雪を払い辺りを見回すと木の陰からお爺さんが出てくる。

陽葵(ひまり)「誰?」

志乃(しの)「お前か?私達をここに連れてきたのは。」

???「あなた方はわしらが見えるんじゃろ。手伝ってほしい事があるんじゃ。」

陽葵(ひまり)「ねえ、怪しいよ断っても良いんじゃないの?」

志乃(しの)「こいつは雪爺(ゆきじじい)、人を迷わせたり悪戯はするが特に危害は加えてこないよ。」

陽葵(ひまり)「そうなの?」

志乃(しの)「怖いのは人間の方だよ。何考えているか分からないんだから。」

雪爺(ゆきじじい)「お主はわしを知っとるんか。」

その時、空から雪爺(ゆきじじい)を狙って何かが襲って来たのでそれを志乃(しの)は素手で掴んで止める。

志乃(しの)「落ち着け野々香(ののか)。こいつは敵じゃない。」

野々香(ののか)の背中には翼が生えていて、空から錫杖(しゃくじょう)で殴り掛かって来たのだ。

野々香(ののか)「そうなの?」

志乃(しの)「知り合いが驚かせてすまないな。」

雪爺(ゆきじじい)「あ、ああ。お主ら烏天狗(からすてんぐ)とも知り合いじゃったのか。」

志乃(しの)「妖怪については知識がある。手伝ってほしい事とは何だ?」

雪爺(ゆきじじい)「一旦わしらの住処に案内しよう。」

雪爺(ゆきじじい)に案内された所は雪に覆われた洞窟で中は広く、氷で覆われている。

洞窟の中には(ゆき)()雪女(ゆきおんな)が何人かいるが誰もが志乃(しの)達を見ると怖がって陰に隠れてしまう。

志乃(しの)達が雪爺(ゆきじじい)に案内された場所には弱っている(ゆき)()が3人寝ていてその(ゆき)()達が寝いる場所は濡れている。

志乃(しの)霜解(しもとけ)病か。最近暖冬が続いているみたいだからな。この近くには霜還華(そうかんか)は無いのか?」

雪爺(ゆきじじい)「それもご存じで。あるにはあるんですが問題があるんじゃ。」

志乃(しの)「問題?」

雪爺(ゆきじじい)「暖冬のせいでそこに一本だたら住み着いてしまってわしらが入ろうとすれば攻撃されるんじゃ。」

志乃(しの)「なるほど。霜還華(そうかんか)は冷気を出していて涼しいからな。」

雪爺(ゆきじじい)「このままではこいつらももう持たない。」

志乃(しの)「こいつらも?他にもいたのか?」

雪爺(ゆきじじい)「もう水になってしまって霜還華(そうかんか)でももう戻れんのじゃ。」

陽葵(ひまり)「そんな。」

志乃(しの)「4号。雪魂返(せんこつへん)まだ残っていなかった?後白魂丸(はっこんがん)も出して。」

志乃(しの)に言われて4号は2つの瓶を持って来る。

1つには粉状、もう1つには丸薬が入っている。

雪爺(ゆきじじい)「あんたは何者なんじゃ?」

志乃(しの)「昔妖怪の面倒を見ていたことがあるから少し詳しいだけだ。陽葵(ひまり)、丸薬を溶けてるやつに呑ませてやれ。」

陽葵(ひまり)「わかった。」

志乃(しの)「水になったやつらはどこだ?」

雪爺(ゆきじじい)「こっちじゃ。」

志乃(しの)は粉状の薬が入った瓶を持って雪爺(ゆきじじい)に着いて行くとそこには1つの水瓶が置いてあった。

志乃(しの)「私は氷系の妖力を扱えない。誰かの力を借りたいんだが良いか?」

雪爺(ゆきじじい)「ちょっと待っていてくだされ。」

雪爺(ゆきじじい)はさっき志乃(しの)達を連れてきた時に妖力を使ってしまい残っていないため雪女(ゆきおんな)を1人連れてきた。

雪女(ゆきおんな)「あの子達を助けられるって本当?」

志乃(しの)「お前が協力してくれたらな。」

雪女(ゆきおんな)「何でもするわ。」

志乃(しの)「緊張するな。この瓶にお前の妖力で作った吹雪を当てるだけだ。」

雪女(ゆきおんな)「それだけ?」

志乃(しの)「ああ。」

志乃(しの)は瓶の蓋を開けて瓶の中の粉を振りかけ雪女(ゆきおんな)が吹雪を当てると中の水が凍り始め、人型を取り始めた。

そうして元気になると瓶から1人ずつ出てきた。

雪女(ゆきおんな)「またあなた達に会えるなんて。」

志乃(しの)「こっちはこれでよさそうだな。私は陽葵(ひまり)の様子を見てくる。」

雪女(ゆきおんな)は蘇った(ゆき)()達との再会を泣いて喜んでいる。

志乃(しの)陽葵(ひまり)の方を確認すると寝ていた(ゆき)()は元気に陽葵(ひまり)野々香(ののか)と遊んでいる。

志乃(しの)「戻ったか。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん。この子達元気過ぎだよ。」

志乃(しの)「お前よりもか、凄いな。」

雪爺(ゆきじじい)「皆を助けていただいてありがとうございます。」

志乃(しの)雪爺(ゆきじじい)、確認だが私らを連れてきたのは一本だたらのいる場所から霜還華(そうかんか)を持って来て欲しいからだったのか?」

雪爺(ゆきじじい)「はい。あやつは年に一度、あの日しか人間に手出しできないので何本か持って来てほしかったんじゃがもう必要は無くなった。」

志乃(しの)「一応、雪魂返(せんこつへん)白魂丸(はっこんがん)は置いて行くが霜還華(そうかんか)が無いとどちらにしろ危険じゃないのか?」

雪爺(ゆきじじい)「あやつもいつかはどいてくれるでしょう。それまで待ちます。」

志乃(しの)霜還華(そうかんか)は育てないのか?」

雪爺(ゆきじじい)「じゃが、霜還華(そうかんか)の種はある条件下でしか手に入らん。」

志乃(しの)白魂丸(はっこんがん)の原料は知らないのか?」

雪爺(ゆきじじい)「まさか。あるんか?」

志乃(しの)「4号。持って来て。」

4号は1つの瓶を持って来る。

志乃(しの)「育て方は分かるか?」

雪爺(ゆきじじい)「昔とある木霊(こだま)から教えてもらった事があるんじゃ。」

志乃(しの)「そうか。」

雪爺(ゆきじじい)「その木霊(こだま)は老いた2匹の妖狐(ようこ)を連れておってな、世話になったがわしがここで皆を導きたいと言ったら喜んで送り出してくれた。しばらく会っておらんが元気にしとるじゃろうか。」

志乃(しの)「今出した薬もその木霊(こだま)に聞いたのか?」

雪爺(ゆきじじい)「ああ。材料も作り方も複雑でわしには作れんだがお主が持っていてくれて良かったよ。」

志乃(しの)「助けられる方法が分かっているのに何もできないのは歯がゆかっただろ。」

雪爺(ゆきじじい)「全てお主のおかげじゃ。なんとお礼を言えばいいか。」

陽葵(ひまり)「ねえ、浜名瀬(はまなせ)さん。そろそろ助けてよ。」

志乃(しの)達を警戒していた(ゆき)()達も出て来て陽葵(ひまり)にまとわりついたり、野々香(ののか)の風で巻き上がって遊んでいる。

志乃(しの)「お前よりも元気なやつの相手なんて無理だ。」

野々香(ののか)「私は志乃(しの)と遊びたい。」

志乃(しの)「断る。」

雪爺(ゆきじじい)「お主、志乃(しの)と言うんか?」

志乃(しの)「そうだ。、、柚子(ゆず)が私の名前言っていたのか?」

雪爺(ゆきじじい)「おお。何という巡り合わせ。お主が柚子(ゆず)が待っていた人か。」

志乃(しの)「本当に待っていてくれてたんだな。」

雪爺(ゆきじじい)「会っておらんのか?そう言えば何故すぐに知り合いだと言わなんだ。」

志乃(しの)「私が行った時にはもうシロもノラも、、柚子(ゆず)も居なかった。」

雪爺(ゆきじじい)妖狐(ようこ)達は分かるが柚子(ゆず)もか。」

志乃(しの)「あまり言いたいことじゃなかったからすぐには言わなかった。」

雪爺(ゆきじじい)「すまなんだ。」

志乃(しの)「だけど代わりに樹霧之介(きりのすけ)っていう柚子(ゆず)の子供がいるんだ。」

雪爺(ゆきじじい)「そうなのか。じゃがお主が志乃(しの)ならこれだけの薬を持っているのも納得した。」

志乃(しの)柚子(ゆず)は私の事なんて言っていたんだ?」

雪爺(ゆきじじい)「よく心配はかけられるけど強くて頼りになる自慢の親友じゃと。」

志乃(しの)「、、そうか。」

雪爺(ゆきじじい)「お礼になるかは分からんが今夜泊まっていくか?」

志乃(しの)「ああ。もう夜も遅い。山道を歩くのは危険だからお願いできるか?」

雪爺(ゆきじじい)「ゆっくりして行ってくれ。明日はお主らの居った場所まで送ろう。」

志乃(しの)「というわけだ陽葵(ひまり)野々香(ののか)。そいつらが寝るまで相手してやれ。」

陽葵(ひまり)「えー。」

野々香(ののか)「もう無理。」

雪爺(ゆきじじい)「ほら。(ゆき)()達よ客人に迷惑をかけるでない。歓迎の準備をしなさい。」

志乃(しの)「別に良いんだがな。」

陽葵(ひまり)「なら浜名瀬(はまなせ)さんが相手してよ。」

野々香(ののか)「それと一本ただらほっといて良いの?」

志乃(しの)「近づかなければ何もしないのならあまり退治したくないんだ。」

雪爺(ゆきじじい)「それに一応あやつも山を守っとるんじゃ。下手に手を出して山の均衡を崩したくない。」

野々香(ののか)「それならしかたないか。」

志乃(しの)「種と薬があるんだ。大丈夫だろ。もしまた何かあれば妖ノ郷(あやかしのさと)へ来れば良い。」

雪爺(ゆきじじい)「しばらく行って無いな。」

志乃(しの)「そう言えば何で今回は妖ノ郷(あやかしのさと)に来なかったんだ?」

雪爺(ゆきじじい)「わしらの事で恩人に迷惑かけたくなかったからな。」

志乃(しの)「もう柚子(ゆず)はいないがあいつらはそんな事気にしない。何かあれば相談しに行ってくれ。取り返しがつかなくなる前にな。」

雪爺(ゆきじじい)「そうじゃな。次はそうする。」

(ゆき)()1「準備できたよ。」

(ゆき)()2「来て来て。頑張ったよ。」

雪女(ゆきおんな)「人が食べる物が無かったのであり合わせですが良かったら食べてください。」

雪女(ゆきおんな)(ゆき)()達に案内されて志乃(しの)達は食卓に着く。

そこには焼き魚や温かい汁物が並んでいる。

陽葵(ひまり)「わーい。お腹ペコペコ。」

志乃(しの)「料理とか火は大丈夫だったのか?」

雪女(ゆきおんな)「はい。私も1つ白魂丸(はっこんがん)を頂いたので大丈夫です。」

志乃(しの)「それなら良いんだが。」

野々香(ののか)志乃(しの)も食べなよ。美味しいよ。」

志乃(しの)達は温かい食べ物を食べた後、獣の毛皮が敷いてある寝床に案内された。

それでも少し寒かったので3人で固まって眠る。

朝が来て志乃(しの)が一番に起きて他の2人を起こす。

志乃(しの)「ほら起きろ。朝だぞ。」

陽葵(ひまり)「もう少し。」

野々香(ののか)「まだこのまま。」

野々香(ののか)志乃(しの)の腕を掴んで離さない。

志乃(しの)はその腕を振り払い起き上がる。

野々香(ののか)「ああ。志乃(しの)の意地悪。」

雪爺(ゆきじじい)「お目覚めかの。」

志乃(しの)「すまないが1名起きていない。すぐに起こすから待っていてくれ。」

雪爺(ゆきじじい)「急ぎではない。まだ寝てても良いんじゃぞ。」

志乃(しの)「いや、今私達がいなくなって探している人がいると思うんだ。早めに帰りたい。」

雪爺(ゆきじじい)「すまんな。助けてくれたのに迷惑かけたの。」

志乃(しの)「いやいい。このままじゃ(ゆき)()達は全員水になっていただろ。」

雪爺(ゆきじじい)「本当に助かった。何度お礼しても足りんよ。」

志乃(しの)「気にするな。ほらさっさと起きろ陽葵(ひまり)。」

陽葵(ひまり)「後5分、、」

志乃(しの)陽葵(ひまり)を叩き起こし雪爺(ゆきじじい)にゲレンデまで送ってもらう。

予想通り捜索隊が準備していたのですぐに駆け寄り無事を伝える。

先生「どこ行ってたの?心配したんですよ。」

志乃(しの)「すみません。いきなり吹雪が吹いてきて自分の場所が分からなくなったまま夜が来てしまったので明るくなるまで待っていました。」

先生「あの吹雪、急に吹いてきたものね。3人とも無事でよかったわ。」

先生にも納得してもらえたので朝食を食べて帰りの時間になる前にスキーを楽しむ。

凛華(りんか)浜名瀬(はまなせ)さん。」

志乃(しの)「約束守れなかった分、滑るか?」

凛華(りんか)「大丈夫でしたか?あの、大丈夫だとは思っていましたが、あの、、」

志乃(しの)「心配してくれてありがとうな。全員無事だよ。今はスキーを楽しもう。」

凛華(りんか)「は、はい。それで、少し上級者コース行ってみても良いですか?」

志乃(しの)「慣れて来ているから大丈夫じゃないのか?」

凛華(りんか)「一緒に滑ってくれますか?」

志乃(しの)「そのつもりだが?」

陽葵(ひまり)「あ、ずるい。私も行く。」

野々香(ののか)「どこ行くの?私も行く~。」

志乃(しの)達は上級者コースへ行きスキーを楽しむ。

女性4人だったのでナンパする人もいたがどこからともなく雪玉が飛んできて撃退される。

凛華(りんか)は不思議そうな顔をしていたが陽葵(ひまり)野々香(ののか)はそれを見て笑っている。

そんな事をしていると帰る時間になりバスの中。

志乃(しの)の隣には陽葵(ひまり)が座っている。

陽葵(ひまり)「ねえ。私妖怪の事もっと知りたい。」

志乃(しの)「急にどうした?」

陽葵(ひまり)「妖怪って弱ければ保護して強ければ退治するものだと思ってた。」

志乃(しの)「違うぞ。」

陽葵(ひまり)「うん。そんな単純なものじゃなかった。」

志乃(しの)「分かってもらえて何よりだ。」

陽葵(ひまり)「だから教えて。」

志乃(しの)「分かった。帰ったら私がこれまでに出会った妖怪達を記した本があるからそれを書き写せ。」

陽葵(ひまり)「え?」

志乃(しの)「ただ教えるよりその方が覚えれるだろ。」

陽葵(ひまり)「待って。その前にそれどのくらいあるの?」

志乃(しの)「見れば分かる。陽葵(ひまり)がやる気になってくれて良かったよ。」

陽葵(ひまり)「え。あの。」

志乃(しの)「薬や道具を記したものもあるからそれもするか?」

陽葵(ひまり)「いや。それは、、」

バスは進み、翠嶺町(すいれいちょう)へ帰って来た。

次の日。

休日だったので志乃(しの)はそこそこ分厚い本を一冊持って陽葵(ひまり)の家を訪ねる。

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん。もしかしてこれ全部?」

志乃(しの)「いや。全部で3冊ある。」

陽葵(ひまり)「これいつ終わるの?」

志乃(しの)「お前次第だろ。」

陽葵(ひまり)「こんなにいるの?」

志乃(しの)「今は見ない妖怪もいるが覚えておいて損は無い。」

陽葵(ひまり)「覚えれるかな。」

志乃(しの)「最低でも姿と名前だけは憶えろよ。」

陽葵(ひまり)「嘘でしょ。」

志乃(しの)「覚えたいと言ったのはお前だ。」

陽葵(ひまり)「そうだけど。」

志乃(しの)「分からないことがあればスマホでメッセージを送ってくれていい。」

陽葵(ひまり)「送っても良いの?」

志乃(しの)「あくまで分からないことがあれば、だ。」

陽葵(ひまり)「うう。言わなきゃよかった。」

志乃(しの)「何か言ったか?」

陽葵(ひまり)「何でもありません。」

陽葵(ひまり)は今度から志乃(しの)には余計な事は言わないように気を付けようと思った。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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