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「ここは…。」
真っ暗な視界、目覚めた視界はただの暗闇。
光の一切ない世界。
上体を起こしてはみるものの、何も見えない。
周囲を見回しても何も見えない。
「…何だ。これ。…!」
状況を把握しようと思考を巡らせようとした矢先、気付いた事象に思考が凍り付いた。
記憶がない。
記憶を思い返してみるが、断片的で不透明な記憶ばかりで、今の状況に一切紐付かない。
そんな最中、脳裏に過ぎる記憶の欠片があった。
"俺"は、退屈していた。
そして、"何か"を求めて、来た筈だ。
何処に…?
■■■■。
■■き■ま■■め■■■。
「っ…!」
思い出そうとすると、脳裏に響くノイズがかった声が集中を遮ってしまう。
何かを思い出せそうになる切っ掛けを塞ぐようなノイズに片手で頭を押さえた。
「…何なんだ、一体。何なんだよ…。」
苛立ちを覚えながら周囲を見回した瞬間、一筋の光が何処からともなく照射された。
その光は真っ直ぐに自分の元へ向かい放たれ、視界を白に染めた。
暗闇になれた目はその眩さに耐えきれず、強く瞼を閉じた。
「っ!」
瞼越しにも感じる眩さに両手を眼前に持っていき、光を遮るが、眩さに誘い込まれるように再び意識は深く闇に落ちていく。
「■■■。始■■■。」
「…な…ん………だ……――――」
そこで、また視界は闇に染まる。