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BomB 〜巨乳ギャルとイケメン転校生(?)の日常〜  作者: じゃがマヨ
EP2.なんでも言うこと聞くってマジ?
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第31話


 「ほれ、着いたぞ」



 大淀川の川沿いを走り、海の方面へ。


 高州町の住宅地を抜けて、港近くの生コンクリート工場が見えた。


 青い車体のミキサー車がずらっと並んで、円柱型のタンクのような建物が規則正しく整列している。


 寝癖のついた貝塚の木と、サビの生えたカーブミラー。


 細い路地を渡った先には、片側3車線の広い大通りが、工業地帯の真ん中を横断していく。


 海が近くなると、街の表情はぐんと変わる。


 潮風に運ばれてきた磯の匂いが、フロントガラス越しに掠めていくようだった。


 それくらい、雰囲気が違った。



 背の高いガントリークレーンの列に、フェリー乗り場の白い看板。



 大通りを進んだ先にある埠頭の中に入ると、停泊する船が、巨大な倉庫の前に並んでいた。


 色褪せたトタン壁の平屋には、港の人たちが出入りしている。


 毎週土曜日に水揚げされたばかりの海産物を販売する、恒例の土曜朝市。


 朝とは思えないほどに賑わう人だかりが、広い埠頭の中心にあった。


 朝の8時から16時までの間、『宮崎市(漁協) 直売センター』という直売所の中で、季節ごとの魚介が色とりどりに並ぶ。


 威勢のいい漁師のおかみさんたちが切り盛りをしてて、その場で魚をさばいてもらうこともできた。


 港町ならではの行事だった。



 「クーラーボックス運んで」


 「全部持っていくのか」


 「うん。漁師さんが準備してくれてるから、倉庫の入り口までよろしく」



 私たちが早く来たのには理由がある。


 直売所は一般のお客さんも自由に出入りできる場所で、その場で気に入った魚を選んで購入することができる。


 姫乃温泉の料亭は、山野水産っていう会社と提携を組んでて、水揚げされた旬の魚を毎週受け取ることになっていた。


 何が獲れるかは、その日になってみないとわからない。


 料亭のメニューが日替わりなのは、メインとなる魚介が週によって異なるためだ。


 信頼できる漁師に獲ってもらった魚を、自らの包丁で捌く。


 坂もっちゃんのこだわりだった。




 「あらぁ、アズサちゃん!よぉ来たねぇ」


 「和子さん!久しぶり!」


 「今日はタチウオがよう取れちょるわ」


 「タチウオ…!」


 「ん?そん子は新入り?」


 「…いや、まあ、はい」


 「すごいよかにせやなあ」


 「よか…、なんて?!」


 「“男前”と言う意味だ。九州弁でな」



 『よかにせ』


 九州の方言で、男前」「好男子」という意味だそうだ。


 デクが後ろからそう教えてくれた。



 …なんであんたが知ってんのよ。


 宮崎に来てまだ2年しか経ってないから、生粋の九州弁を喋られると、時々聞き取れない時がある。


 和子さんは漁船「山の丸」の船長、山野助蔵さんの奥さんで、朝市にはもうかれこれ30年も通っているベテランだった。


 佐知子さんとも仲が良くて、時々、旅館にも遊びに来ることがあった。


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