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8、高嶺の莉々谷さん《視点…三栖結人》

 僕が高校生の時、クラスに高嶺の花のような女の子がいた。彼女は才色兼備で容姿端麗で、完全無欠な子だった。

 _________しかし彼女は高校二年生の夏、亡くなった。

 彼女を解剖した先生は心臓にまで刺された傷が及んでいたと言った。


 彼女と付き合っていた僕のせいだ。

 彼女を守れなかったせいだ。

 高嶺の花の彼女と付き合ったせいだ。

 僕は何度も自分を責めた。

 彼女を殺したあいつは今も飄々と生きているのが許せない。


 どん曇りの日、彼女の八回忌があった。そこには彼女の親族はもちろん、あいつも来ていた。皆があいつを睨んでいた。



 この前の三月、同窓会があった。朝は清々しいほどに晴れていた。そこにもあいつが来た。皆があいつから避けていた。あいつには同窓会の日時も、場所も、何もかも教えていない。なのにあいつは来た。きっと誰かがうっかりこぼしたのか、あいつが聞きだしたんだろう。帰る時、皆が騒いでいた。何かと思ったら外がバケツをひっくり返したような大雨だった。


 あいつはいつも雨を連れてくる。


 だって、彼女が死んだのも夏の日には珍しい、どん曇りの雨降りだったんだから。


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