6、名探偵:Kokomi《視点…西園寺心愛》
三栖先生が去った後、私は掃除道具箱から出て、ふと我に返った。リリィさんはいつも、私がさっき口ずさんでいた曲を鼻歌で歌っている。そして三栖先生はさっき心の中で悠月、と言っていた。リリィさんは先生の言う、悠月さんという人なんじゃないかと思った。
「リリィさん、いる……?」
「い~るよっ!」
そう声がすると、リリィさんはぼわぁっと姿を現した。やはりいつも彼女はこの学校の制服を着ている。丈の短い黄色のチェックのスカートに、ベージュ色のブレザー、レモンイエローのリボン。明らかにこの学校に通っていたはずだ。
「な~に考えてるのっ?」
「リリィさんは、……っ、いや、何でもない……。」
「ほんとにぃ~? 今何かいいかけたのにぃ~?」
「だって、聞いちゃダメなことかもしれないと思って……。」
「別にいいよ~、だって私もう死んでるんだし(笑)。」
「______________そっか、じゃあ、聞こうかな、」
「なあに? どしたん? 何でもこたえるよ?」
「リリィさんってさ、………‥‥もしかしてこの学校に通ってたりした?」
「そうだよ。何年前だったかな、確かにここに居たよ。」
「……もしかして、三栖先生と関係あったりした?」
「三栖せんせ? …………………………誰だっけ?」
「覚えてないならだいじょうぶ……。」
「え、どゆこと? 教えてよ~っ、」
「やだ。」
「そっかぁ、じゃあしょうがないね。他なんかある?」
「ううん、もうだいじょうぶ、ありがとう。」
「ど~いたしましてっ! また何でも聞いてね? 私答えるから。」
「うん。」
リリィさんは記憶喪失をしているのか、はたまた上手く嘘をついているのかどちらか分からなかった。ますます謎が深まるばかりだ。