1、放課後限定の幽霊 《視点…板田裕樹》
それは鍵を閉める前。学校の見回りをしていた私は、下校時刻をとっくに過ぎている筈なのに制服の物陰を見つけた。気になって見えた方へ向かうと、そこには丁寧に手入れされた艶のある黒色のストレートの髪の毛をもった身長百五十センチメートルぐらいの女の子が真っ黒のローファーを履き、夕日も見上げながら風を浴びていた。私は彼女に近づいて声を掛ける。
「お~い、もう、下校時間過ぎてるぞ。早く帰れよ~。」
私がそう言っても反応が無い。
「聞いてるか?下校時間もう過ぎてるぞ。」
彼女は振り向いて言った。
「_______私が見えるんですか…?」
彼女はとても驚いているようだった。
「見えるし、聞こえるぞ。……もしかして、君、生徒じゃないのか?」
「…………どうやって答えればいいんでしょうね、私もよく分かっていないんです。確かに私はここに通っていた生徒です。___でもこの学校を卒業する前に確かに私は死んだんです。」
「じゃあ君は、幽霊、なのか?」
「………………そういう事になるんでしょうね、きっと。」
「‥‥……そうか、_________じゃ、……私はこれでお暇するよ。」
「‥……はい。」
私は一刻も早く教頭に伝えなければ、と思った。