偉大な漫画家さんは心も偉大だね
アンパンマンの生みの親・やなせたかしさんは、自分のことを「才能のうすい」人間と評しています。
誰もが知る「手のひらを太陽に」の作詞を手掛け、数えきれないくらいのキャラクターを生み出してきたやなせさん。
そんな偉大な方でも、自分に自信が持てなかったそうです。
実は最近、エッセイにハマってまして。
さくらももこさんの「もものかんづめ」
三浦しをんさんの「のっけから失礼します」
やなせたかしさんの「ボクと、正義と、アンパンマン」
これらを読んではクスリと笑わせてもらったりしてます。
さくらももこさんも面白いですが、おススメは三浦しをんさん。
この方のエッセイは本当に笑えます。
エッセイというか、ただただ自分の思ったことをツラツラと述べているみたいな(そしてそれがまた面白い)
「私は肉食だ。恋愛方面にむちゃくちゃ積極的なのだ。というのは嘘だ。いらん見栄を張ってしまった。肉が大好きなのである」(サブタイトル「声出していこう!」より)
表現がいいですよね。
これを読んで「ああ、エッセイってこういうふうに書いてもいいんだ」と思いました。
そんな三浦しをんさん、かなりの出不精で月に3回しか出かけない日もあるんだとか。
真面目なのか不真面目なのかわからない人です。
で、冒頭のやなせたかしさんの話に戻りますが、「ボクと、正義と、アンパンマン」ではやなせたかしさんにとって一番うれしいことは「人を喜ばせる」ことなんだそうです。
美味しい料理を食べてもらって「おいしい」って喜んでもらえたり、
素敵な音楽を聴かせて「いい音楽だ」と喜んでもらえたり。
それと同じように、自分の本を読んでもらって「面白い」と喜んでもらいたいんだとか。
でも読者が自分の本を読んで「面白い」と思ってもらえてるのかが心配でたまらないそうです。
なぜなら自分が「才能がうすい」人間だとわかっているから。
あんなにも素敵な作品をたくさん書いてるのにね。
でもそんなやなせさんを、より一層好きになったお話でした。
偉大な方っていうのは心も広くて、素敵ですよね。
特に有名なのが「ドラえもん」の生みの親、藤子・F・不二雄さん。
この方の優しい人柄がわかるこんなエピソードがあります。
それは記念すべきドラえもん第一回めの収録日でした。
その日、初代のび太役の小原乃梨子さんが風邪で声が出せなくなり、収録が中止になってしまったそうです。
第一回めの収録なので、もちろん作者の藤子・F・不二雄さんも来ていました。
仕方なく、その日はみんなでご飯を食べに行くことになったそうです。
小原さんは自分のせいで収録が中止になったことを本当に申し訳なく思い、各テーブルにお詫びして回りました。
そして作者である藤子・F・不二雄さんにお詫びしたところ、当のご本人は一言。
「のび太らしいですね」
と言ったそうです。
普通なら怒られても仕方ないのに(プロの声優さんは喉を大事にされるので、風邪をひくとかはプロとして大失態らしいです)藤子・F・不二雄さんは「のび太らしい」と言うことで、(本人にその意思があったかどうかはわかりませんが)「のび太役は君にぴったりだ」といたわりと励ましの言葉を与えてくださったんでしょうね。
小原さんはこの言葉に救われ、以後ずっとこの言葉を大事にしてたんだとか。
ドラえもんの声優が一新されて15年以上経ちますが、今でも大人気のドラえもん。
きっと天国の藤子・F・不二雄さんも新しい声優さんに「のび太らしいですね」って言ってるかもしれませんね。




