第二話
気がつくと、暗くてジメジメした牢屋の中にいた。
えっ?俺は死んだんじゃ無かったのか?と言うかなんで牢屋に居るんだよ。
そう混乱していると、突如強烈な頭痛に襲われた。頭がかち割れそうだ。それと共に一人の男の記憶が入り込んできた。そして自然と理解した。俺はこの男に転生したのだと。
俺の頭の中に入って来た記憶を整理すると、俺はロシアの皇帝だったらしい。名はイヴァン6世。正真正銘の生まれながらにしての皇帝だ。だがイヴァン6世の人生はとても過酷なものだった。
イヴァン6世はエリザヴェータイヴァン5世の曾孫、女帝アンナの姉エカチェリーナの孫に当たる。
1740年の誕生直後にアンナ女帝から後継者指名を受け、わずか生後2か月で帝位を継いだ。摂政となったクールラント公エルンスト・ビロンはクーデターにより失脚したため、母アンナ・レオポルドヴナが摂政を引き継ぎ、ブルクハルト・クリストフ・フォン・ミュンニヒ元帥、アンドレイ・オステルマン伯爵が政務を担当した。しかし翌1741年11月、ピョートル1世の娘エリザヴェータが自分を支持する近衛軍に命じて宮廷クーデターを起こさせ、幼帝イヴァン6世はあっけなく廃位された。これにより、女帝アンナが望んだイヴァン5世の系統による帝位継承は失敗に終わった。
エリザヴェータはイヴァンの存在を歴史から消し去る事を徹底する。何をしたのかと言うと、彼の名前を口にする事を禁じ、名前の記された書物は焼かれ、記念碑は破壊された。また、彼の肖像が刻まれた通貨は使用を禁じられ回収された。知らずにこの通貨を使った者さえ投獄するという徹底ぶりであった。家族と引き離されたイヴァンは幽閉されて育ち、1756年にシュリッセリブルクにある要塞内の監獄に移送された。エリザヴェータ以後の皇帝は皆、廃帝イヴァン救出の目論みがあれば即刻彼を殺すよう命じていたと言われている。1764年にウクライナ人士官ヴァシーリー・ミローヴィチが救出を試みた際、看守により刺殺された。
アルハンゲリスク州ホルモゴルイの聖堂付近で2008年に行った発掘の結果、特別な方法で埋葬された若者の遺体が発見された。死亡時の年齢や埋葬時期、殺害に使われたとされるサーベルの跡などが一致しており、法医学鑑定を受けているが遺体がイヴァン6世のものである「可能性が極めて高い」といわれた 。しかしその後ロシア科学アカデミーはこれを完全に否定した。イヴァン6世はシュリッセリブルクで殺害されており、そこには無数の遺体が墓石も無く埋まっているため、将来的にも発掘調査でイヴァン6世の遺体を特定することは困難だという。
俺はそんな不運な男に、転生してしまったのだ。
俺は何故この男に転生したのだろうか。ふと思ってしまた。そしてすぐに答えが分かったような、気がした。多分だが、イヴァン6世は歴史から抹消されてしまった事を悔いているから俺を転生させたのでは無いだろうか?俺に歴史の表舞台に戻れる力があるか分からないが。
俺ことイヴァン6世が歴史の表舞台に戻るには、1764年にウクライナ人士官ヴァシーリー・ミローヴィチが救出を試みる筈だから、上手くそれを使って牢を抜け出し、俺に味方してくれる貴族に近づいてクーデターを起こそう。
今後の展望を考えていると、眠気が襲って来てそのまま深い眠りについた。
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