海上王国マリンチュア
海斗が見たこともない景色に困惑していると、後ろから声が聞こえた。
「おお、そんなところにいらっしゃいましたか国王陛下。」
「へぇ、こんな街中に国王様がいるのか?随分とお茶目な国王様だな。」
そう思っていると、後ろから肩を叩かれた。
「いやいや、探しましたよ国王陛下!」
「ほへ?」
「いやー、これは私の手違いでして、本来は城内に召還するつもりg
」
「ちょーっと待て!」
「何なんだお前は?俺は国王なんかじゃない」
「ああそうか…すみませんね、申し遅れました。私はギーク・ハイエルでございます。」
鯨の紋章が胸に付いた白い鎧を身に付けている、白髪のオールバックのおっさんは海斗を国王呼ばわりしている。顔に付いた髭をなでながらさらに続ける。
「とりあえず、事情を説明いたしますので、私についてきてください。」
「は、はぁ」
海斗はギークについていく。
(なんとなくついてきたけど、この人怪しい人とかじゃないよな??)
「安心してください!私は変質者とかじゃないですからw」
「は、はい」
(え、バレてんのか?心を読めるなんてそんなファンタジックなことあるのか?)
どことなく不安を感じた海斗であったが、なにも知らない土地なのでギークに従うしかないと割りきった。
(へー、おとぎ話の中に迷い込んだみたいだ。)
「さぁ、着きましたぞ」
「ここって何もない広場ですよ?あるとしたら目の前にデカイ城があるくらいで…」
「はっはっは!この城が目的地ですよ!国王陛下!」
「え?」
「えぇーー!?」
「どえーーー!!」
海斗の目の前には、白く巨大な王城であった。
これまた巨大な湖の上に建った城は、太陽の光に当てられて白く輝いていた。湖と城は吊り橋で繋がっており、その先には黒光りした鉄の門と、それを守る屈強な兵士が威圧感を放っている。
「目の前にそびえ立つはエール城!ここ、海上王国マリンチュアの首都マリーアの王城でございます!」
「すげぇー!ホント良くできてるなぁ。これじゃあまるでホントに異世界に来たみたいだ」
「何をおっしゃいますか?ここは日本ではありません」
「まさかぁww」
「そのまさかですとも。あなたはこのマリンチュアの新国王としてこの国に転生されたのです!」
「ま、マジかよー!」
「マジでごさいまーす☆」
海斗は本当に異世界転生をしていた。ここから、マリンチュアの国王として、海斗は波乱万丈の生活を送ることになるのであった。
序章「異世界転生」編
終わりです。