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秀秋の天下  作者: 1235711
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関ケ原の選択

霧の立ち込める関ケ原、今日戦国という時代は19才の青年に日本の次の時代の選択を迫った。

秀秋は松尾山から、麓を眺めた。

西軍宇喜多秀家と東軍福島正則隊が激闘を繰り広げている。

小早川秀秋「人が必死になっている」

秀秋は必死になっている男が嫌いだ。

必死になっている男はえてして自分の考えに沿わないものを切り捨て、また沿うものを持ちあげる。

秀秋は切り捨てられるのも持ち上げられるのも嫌いであった。


松野重元「殿、石田治部少輔殿がお見えになりました」

秀秋「わかった、松野。すぐに向かう」


石田三成「秀秋様、何故兵を動かせませぬ、秀秋様が動かれましたら勝利は目前にござる。太閤殿下の御恩に報いるは今ですぞ」

「太閤殿下の御恩」という言葉が秀秋には引っかかった。

身内を優先するエゴ。

秀吉のたまたま親戚であったためこのなんの能力もない自分に筑前を任せた。

社会から見れば不合理な太閤の御恩に報いるために不利益を受けている側の兵一万五千が動き、そして死ぬ。

秀秋は小さく笑った。

三成「いかがなされました?」

秀秋「何でもない」

秀秋はいつも自分の考えも言わない。一人で思うだけである。

三成「此度の大戦に勝利した暁には、秀秋様には秀頼様ご成人あそばせるまで関白になっていただくつもりにございます。何卒ご出陣を」

関白になどなれるわけがない。自分にそれだけの恩賞を与えるということは他の人間には何を与えるのか?

嘘であってもそれで自分を釣れると考えているのか、それほどまでに私を低くみているのか

秀秋はむしろ三成に害ある選択を取りたいと思った。

秀秋「わかった出陣する。少し待ってくれ」

三成「必ず、ご出陣を」

秀秋「わかっている」

三成「頼みましたぞ」

三成は去った。秀秋は必死な顔だと思った。

三成は自分の心情に深く入ってきてくれない。浅い。浅い必死さ。ひどく迷惑だ。



稲葉正成「殿こちらへ」

秀秋「うむ」

正成「黒田長政殿より、書状を預かって参りました」

黒田長政書状「金吾中納言様、内府殿はこの度、金吾様が大坂に滞在していましたので西軍として参加されていることは致し方なしとお考えです。そして本戦にて我ら東軍にお味方していただければ5~6十万石に加増されるとのことです。西軍が勝利しても天下は乱れます。ここは天下泰平のため内府様にお味方されますようよろしくお願いいたします」

家康は非常に現実的にな提案をした。家康に味方したほうが天下泰平につながるというのも理にかなっている。三成が勝っても毛利や他の大名が伸張し世が乱れるだけだ。

正成「内府様は非常に的確にあなた様を理解しておられます。ぜひ家康様にお味方なされますように」


重元「殿、三成殿の陣からのろしが、今すぐ出陣せよとのことです。」

松野と稲葉が秀秋に迫った。

秀秋「少し一人にさせてくれ」


秀秋は一人になり、地面に横たわって青い空を見た。

そして自分の過去を振り返った。臆病な性格が原因で多くの失敗をしてきた。そして影で笑われてきた。

秀秋はそういう言葉に非常に敏感で、時々思い出して発狂していた。


世間とは深く考えてはくれない

家康に味方すれば、世間は私を多いに笑うであろう。

耐えられない。。。


秀秋は深く、深く、精神を潜った。

そして立ち上がり目を開いて、松野、稲葉ら重臣に向かって

秀秋「小早川はこれより三成に味方し、内府を打つ、全軍出陣せよ」

松野「はっ」

正成「なぜ?」


小早川軍1万5000は松尾山麓の福島正則隊の側面を突き、敗走させた。

この小早川軍に対して、家康は家康本体をぶつけるしかなくなった。


両軍の戦いは拮抗していたが、午後辺りからついに南宮山の毛利秀元が吉川広家の静止を振り切り家康へ出撃。

山内、池田、浅野等が食い止めたが、家康は南宮山の毛利軍が抑えを突破するのは時間の問題と判断、岐阜城へ撤退した。


関ケ原は西軍の勝利に終わった。



続く。


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