追放
「じゃあ、今後の霞原と瀬戸、2人は役に立たないはずってことでいいのかな?」
赤坂を中心に話し合いが行われていたらしい。どんな話があったのかは分からないが、とにかく俺と霞原が置いて行かれるということだろう。
「「うん」」
「じゃあ、王様に頼んでみるよ。なんか邪魔な人がいたら、適当に罪を着せて国外追放にしてあげるって言ってたから」
俺たちが遊んでいる間に、俺たちは邪魔だからこの集団から追放するという結論になったらしい。
「一応理由を教えて」
「いたんだ。君たち2人の能力は、チームを混乱させてしまいやすい。だから、このチームがちゃんと機能するには、君たちは邪魔ってこと」
赤坂ではなく、時田進が答える。確か、知恵者という能力だったはずだ。知恵がつくとか何とか。
「分かった。じゃあ国外追放にでもしといてくれ」
このクラスに大した思い入れもないので、さっさと別れることにする。むしろ1人の方が行動しやすいからでもある。
「あっさりしてんな。まあ俺も瀬戸と同じ意見だから、俺のことも適当に国外追放にでもしといて」
霞原も同じ意見らしい。
「分かった……メイドさん、王様にお会いしたい」
「かしこまりました。少々お待ち下さい」
赤坂が王様を呼ぶ。どうやら、俺たちの追放は間違いないらしい。
「さっさと逃げよう」「了解」
窓をたたき割り、霞原と一緒に飛び出す。地上10メートルくらいなので、上手く転がることで衝撃を逃すことができるぐらいだ。
「分かった。瀬戸桐谷と霞原翔に追放令を出しておこう。勇者たちの勝利こそが私の最大の目的、邪魔な物で消せるものは消すのは当然だ」
「ありがとうございます」
王と赤坂の声が聞こえる。霞原と少し目を合わせてから、同時に走り出す。追放令が国全体に行き渡る前に、さっさとこの国から出たほうがいいだろう。
「北は魔族がいると聞いた。魔族の戦闘力は人間よりも遥かに上らしい。しかし、南の獣人たちの戦闘力は、人間よりは高いがそこまで強いわけでもないという。南に行った方がいいな」
霞原が教えてくれる。素早く方角を確かめ、足を止めずに南に方向転換する。
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「さて、明日追放令を正式に発表しよう。まあ今日は夜も遅い、寝てくれたまえ」
王様の言葉を聞いた赤坂たちは、全員個室に行く。
瀬戸と霞原を追放したことに、誰も文句は言わない。全員、瀬戸と霞原は強い自分たちの足を引っ張るだけだ、と思っているからだ。
「あいつら2人がこの勇者様方の中で、唯一俺を超えている。そして、その強さを巧妙に隠している。勇者様方は最も強い2人を無くしたのか……愚かなことだ」
遠くからその様子を見ていた騎士団長は、そう呟いた。それを聞いた者は、誰もいない。
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