もぐらくんとひまわりくん 最終話 終わりの話
「終わりの話」
山の中の道をカブトムシが馬車を引いて走っていました。
馬車の中の前の席には太ったもぐらが乗っていました。
太ったもぐらは話しかけます。
「やあ。のんびり馬車に乗って旅をするのもいいもんだろう。」
「もう少し、あの山一つ越えたら彼らのところに着くぞ。」
後ろの席に向かい太ったもぐらは話しかけます。
「しかし彼らは覚えていてくれたんだな。僕や君のことをさ。」
そう言いながら手に持った封筒をヒラヒラと振りました。
封筒には招待状と書いてあります。
「長い旅をして、やっと故郷のひまわり畑に帰ってきたんだ。」
「きっと、楽しい旅の話がたくさん聞けるぞ。」
そう言うと太ったもぐらはゲラゲラと笑いました。
招待状の送り主はもぐらくんとひまわりくんでした。
「旅で出会ったみんなを招待してパーティーをするんだってさ。」
「君に会えるのも楽しみにしていると書いてあったぞ。」
太ったもぐらは後ろの席のゲストにそう話しかけるのでした。
カブトムシの引く馬車はゆっくりと山を越えて行きます。
そして山を越えた先にある大きなひまわり畑に着きました。
大きなひまわり畑では、ひまわり達が楽しそうに笑っています。
太ったもぐらは大きな荷物を背負い言いました。
「もうパーティーが始まっているようだぞ。」
「僕らも早く行こう。」
そう言うと太ったもぐらはゲストの手を取りひまわり畑へ向かいました。
二人はひまわり畑のひまわりに招待状を見せて中に進んでいきます。
大きなひまわり畑を進んでいくと、中に広場がありました。
そこではたくさんの仲間たちが楽しそうに過ごしています。
みんな中央の舞台に立つ二人の話に聞きいっています。
舞台の上にはもぐらくんとひまわりくんがいました。
太ったもぐらとゲストも空いている席に座り
一緒にもぐらくんとひまわりくんの話に聞きいります。
もぐらくんとひまわりくんの旅の話はまだまだ続きます。
そして旅の話をし終わったころ、もぐらくんは言いました。
「これが、僕らが旅をしてきた話のすべてさ。」
「おもしろかったでしょ?」
そして、ひまわりくんが集まった仲間たちを眺めて
太ったもぐらと一緒にいるゲストを見つけました。
ゲストのことをひまわりくんはもぐらくんに伝えます。
するともぐらくんはニッコリ笑いながら舞台の上からそのゲストに話しかけます。
「やあ。来てくれたんだね。」
「ありがとう。」
そして、ひまわりくんもニッコリ笑いながらゲストに話しかけました。
「やあ。僕らは君に会いたかったんだよ。」
「来てくれてありがとう。」
ゲストは少し恥ずかしそうにしています。
もぐらくんはゲストに話しかけます。
「僕らの旅の話はこれで終わりさ。」
「君はおもしろかったかな?」
もぐらくんにそう言われると君はコクリとうなずきました。
ひまわりくんも君に話しかけてきます。
「じゃあ、次は君の話を聞かせてくれないか?」
「僕らは君の話を楽しみにしていたんだ。」
すると隣の太ったもぐらも君に小さな声で言います。
「どうやら次は君の番のようだよ。」
もぐらくんがニッコリ笑いながら言いました。
「そうとも。僕らはもっと君のことが知りたいのさ。」
「話を聞かせておくれよ。」
そう言われると君は恥ずかしそうにしながら、
もぐらくんとひまわりくんのいる
舞台に進み上がっていきます。
集まった仲間たちからは盛大な拍手が送られます。
舞台の上で、もぐらくんとひまわりくんは
君の背に手を添えて勇気を与えます。
そして、もぐらくんは小声で君にささやきます。
「これからは君の物語の番さ。」
そう言われて君は恥ずかしそうにゆっくりと話し出します。
君の物語の話を。
終わり。