エピローグ ifルート
魔王様があまりにも人気だったので、ifルートのエピローグを書いてみました。
難しいことは考えずお楽しみください!
「……さて」
俺の放った聖剣の力は魔王の魂すら滅ぼし、無事に全てが解決した……はずだった。
しかしながら、王都に帰還した俺たちに待ち受けていたのは、遺憾ながら見慣れた顔だった。
「ふはははは、よくぞ戻ってきたな勇者よ! 今ここで我が貴様をたお――ぶほッ!?」
「あ、ついうっかり」
胸を張り高らかに笑う魔王の顔をぶん殴ってしまった。
仕方ないよな? 俺は悪くねぇ。
「というか、これは……」
そこにいたのは魔王だけではなかった。
いつの間にか逃げたアルマはともかくとして、死んだはずのクレアス、マギサ、カテーナ、ブラッソの四人も揃っていた。
「はあ、なぜこんなことに……」
「ふふふ、また会えたわね」
「あははー、なんか気まずいね!」
「最強の筋肉だったぜ」
ティナたちが、いつでも戦闘に入れるよう身構えているのが見える。
「なぜお前たちが生きているんだ?」
「私が、蘇らせた」
「お前は……」
猫耳魔族、アルマが前に出てきた。
彼女はそのまま続ける。
「私は魔族の魂を操ることができる。魔王様を復活させた時と同じ。クレアスたちが死んだ時に魂だけを集めて、蘇らせた」
「なんだと……!?」
あまりにも恐ろしい言葉に、俺は思わず目を見開く。
それを見た魔王が嬉しそうに跳びはねた。
「ふはは、驚いたか勇者よ! これで我は何度でもお前を倒せるのだ! はっはっはっはっは! ってぎゃー、なんかいきなり腕が取れたんじゃが!?」
「……魔硬石を器にしたから、能力は数十分の一になっている」
「なるほど」
BGMを聴きながら、俺はさらなる疑問を尋ねることにする。
「で、なんでこうして俺たちの前に現れたんだ? いったん逃げて、改めて攻めてくることはできただろう?」
「魔王様がリベンジを望んだのもある。けれどそれ以上に、私は貴方のことが気になったから」
「気になる……?」
こくりとアルマは頷く。
「私は特殊な力を持っていても、他の魔族が持っているような戦う力は持たない。貴方はその逆、戦う力しか持っていない……だから、少し気になって話してみたくなった」
「そ、そうか……」
対応に困る発言だ。
果たして俺はどうすればいいのだろうか。
迷った末、とりあえず一つ行動に移すことにした。
「ユナ、ティナ、レオノーラ、ちょっと来てくれ」
「何か思いついたの、ルーク?」
「もちろんです、お兄様」
「何をするつもりだ?」
「ああ、何よりも先にやっておかなくちゃいけないことがあると思ってな」
俺たち四人は叫び続ける魔王のもとに向かう。
彼女はこちらに気付き、腕が一本ない状態で不敵な笑みを浮かべた。
「ほう、やる気になったか勇者よ! 我がコテンパンにしてや……あれ? なに? 待って、何をしようとしとるんじゃ貴様ら? 待て、我の体を掴むでない、変な魔力を注ぎ込むでない! な、なんなんじゃ~!」
「まあこんくらいでいいか」
「慰み者にされた……泣かないもん。我魔王じゃから」
主にレオノーラの力を借りて、契約魔法を無理やり魔王の魂に植え付けた。
正当防衛以外で人族を傷付けられないような契りだ。
俺は改めて残る四人の魔族に視線を向けた。
「で、お前らには何か目的があるのか?」
代表としてクレアスが答える。
「今の僕たちはアルマに使役される身だ……それに、魔王様ですら君たちに勝てなかった以上、抗う気はもうない」
「そうか」
彼らの対処には悩むところだが、ふとここで妙案を閃く。
改めて処分するだけは何も生み出せはしない。
だから。
「そうだ、お前ら。やることがないんだったら俺たちに協力しろよ」
「ああ、せっかくだからさ、人族と魔族の垣根をなくそうと思うんだ」
「なっ……!」
俺の言葉に周囲の者達が皆一様に驚く。
その反応は予想できていた。
「仮に戦妨滝がなくなってしまえば、瞬く間に人族と魔族はまた戦争になる。けど俺はそんなのごめんだ。争いをなくせるのなら、その方がよっぽどいい。今ここにいるのはそれぞれの陣営で最強クラスの力を持っている。そんな俺たちが協力すれば、今の話も夢物語ではない」
その提案に、真っ先にアルマが頷いた。
「やる。貴方がどんな世界を目指しているのか、私も見届けたい」
「そうか、なら頼む」
それが皮切りとなり、他の者達も意欲の差はあれど賛同を示していく。
魔族側はアルマの意思を尊重したと言ったところか。
残すはたった一人。
「で、魔王、お前はどうする」
「うむ。その一つになった後の世界は我が支配してもよいのか?」
「良い訳ないだろぶっ殺すぞ」
「さっそく争いが生まれそうなんじゃけど!? ま、まあよいぞ! ……よし、勇者と別れたらさっそく世界征服の契約を立ててやろうぞ(ぼそっ)」
「させるわけないだろ。魔王、これからのお前の居場所はずっと俺の隣だ」
「ゆ、勇者……(ぽっ:顔を赤く染める:照れ)」
「何かしでかそうとするたびに泣かすからな」
「勇者~~~!!!(ボッ:顔を赤く染める:憤怒)」
その後、物理力で魔王の賛同も勝ち取った。
何はともあれ、これから待ち受けているのは苦難の日々だろう。
それでも俺たちは世界に平和をもたらすため、努力することを誓うのだった。
FIN
それでは改めまして。
これにて本作は完結となります。
最後まで読んでくださった読者の皆様、本当にありがとうございました!
最後に完結記念として広告下にある評価をしていただければ、とても嬉しく思います。
さて、話は変わりますが本日新連載を始めました。
タイトルは『不遇職【人形遣い】、覚醒して最強に至る ~勇者パーティーに切り捨てられたので、美少女化した最強の人形たちと冒険者やります~』です。
下のリンクから作品ページに飛べますので、ぜひ読んでみてください。
異世界剣士に負けない、より面白い作品を書いていきます。
それでは改めて。
これまでお付き合いくださった読者の皆様、本当にありがとうございました!
今後ともよろしくお願いいたします!