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入部希望



あれから、田辺君の事が気になって仕方がない。教室でつい、田辺君の事を目で追ってしまう。放課後になっても、書道部の活動教室から、田辺君がみえないかな~?と窓から外を眺めていた。


どうせ私以外に部員なんていないし、ここでのんびり田辺君の姿を探していても何の問題も無いよね。


と、思っていたら…………


「佐藤さん、佐藤さん?」

「え?あ、すみません。」

大西先生が、私を呼んでいる事にやっと気がついて、慌てて目線を窓の方から入り口の方に向けた。


そこには、大西先生と女子生徒が1人立っていた。勝ち気そうな顔立ちに、髪は男の子みたいに短いショートヘア。いかにも運動部に入ってます!という感じの子だった。


「どうしたの?外なんか眺めて。小さいおじさんでもいた?」

小さいおじさん?校長の事?大西先生、校長の事ディスってる?

「いえ……」


すると、大西先生は女子生徒の紹介を始めた。

「こちら、入部希望の子。B組の稲葉さん。」

「はじめまして。稲葉沙紀です。C組の佐藤さんだよね?」


この子、私の事知ってるんだ。知ってるって事は、私がミス選択ミスって事を知ってる。


「あの、じゃあ、稲葉さんが部長やってもらえない?」

「え?どうして?元々の書道部は佐藤さんじゃない。」


私の提案に、大西先生も稲葉さんも驚いていた。


「だって……私…………選択ミス……」

「ああ、ミス選択ミス?そんなのくだらない男子につけられたあだ名でしょ?関係無いよ!」

そう言って、笑ってくれた。


ハキハキした、しっかりした子。迷いがなくて羨ましい。


そんな事を思っていたら、廊下かは話声が聞こえて来た。


「なんだかんだ言って、書道部に入るんだね。」

「違うって!何が楽しくて文字書くだけの部活に入らなきゃなんねーんだよ!」

「コラー!!廉!!」


二人の男子生徒が入って来た瞬間、大西先生は声を張り上げた。


「げ!ババアに聞かれた!」

「ババアだと?この絶世の美女に向かってババアだと?」

「痛い痛い痛い!」


大西先生は男子生徒の耳を掴んで引っ張って怒っていた。何だかまるで、お母さんが子供を叱ってるみたい。


「あれ?今朝の……」

もう1人の男子が私に気がついた。今朝の…………?


「あー!!今朝の二人組!!」

「あー!!今朝の座り込み女~!」

男子二人と、お互いに指を指し合った。


「座り込み女?!ちょうど良かった!佐藤さん、こちら入部希望の大西廉太郎。」

この人、入部希望!?

「やだよ!!」

「やだって言ってますけど?」

「じゃ、何でここにいるのよ?」


大西先生と男子は何やらモメていた。なんか…………気ままな部活ライフが脅かされてる気がした。


こんな事なら、廃部に決めれば良かった……。だから嫌だったのに……。新しく入部希望者探すなんて……。


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