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Miss選択ミス



『Miss選択ミス』誰がつけたか、それが私につけられたあだ名。あだ名と言うより、もはや称号?


人生は選択の連続とか言うけど、私はその選択を必ず間違う。


今朝だって、ローファーかスニーカーか迷って、ローファーにしたら小指が変な所に当たって足が痛い。スニーカーにすれば良かった。


雨降ってないし……。天気予報は雨だけど、雨の降る気配は全然無い。傘持って来るんじゃなかった。電車の中では、誰も傘なんか持ってない。


だから嫌だったの~!選択なんて嫌!できる限り選択なんてしたくない!ミス選択ミス!!私はあんたが嫌いよ!!


電車から降りると、傘の先をホームに打ち付けた。


すると、後ろから突然話しかけられた。

「佐藤さん!その傘貸して!」

「え?」


誰?そう思っていたら、その瞬間持っていた傘をひったくられた。


同じ学校の制服を着た男子だった。その男の子は、気づいた時には、私の傘の柄を使って線路に落ちた小さな子供の帽子を取っていた。子供のお母さんが何度も何度も感謝の言葉と共に頭を下げていた。


私は、その一部始終を黙って見ていた。

「ありがとう。佐藤さんが長い傘を持っていてくれて助かったよ!僕、同じクラスの田辺だよ。」

そう言って、田辺君は私に傘を差し出した。


「田辺君……確か、サッカー部の?」

「そうそうサッカー部。佐藤さん、傘持ってるなんて準備がいいんだね~!俺なんか、雨降ると部活できないから願掛けに置いて来たよ~」


田辺君はC組の王子だって誰かが言ってた。確かに…………王子!!優しい!!


「ミス選択ミスって聞いてたけど…………佐藤さんの選択は全然ミスじゃなかったね。おかげで助かったよ!」

王子スマーイル!!ノックアウトー!!

「じゃ、また学校でね!」

そう言って田辺君は先に行った。


「こちらこそ……ありがとう。」

私は田辺君から傘を受けとると、それしか言えなかった。


田辺君は、選択ミスをミスじゃないって言ってくれた。ミスをチャンスに変えてくれた!ヤバい!!神!!


こうやって人は…………恋に落ちるんだ。


そのままボーッとしながら改札を通って、階段を降りたら階段を踏み外した。


そうだった……。このローファー滑りやすいんだった……


だから嫌だったんだ……自分の選ぶ選択って。せっかくのいい気分が台無し……。


「いつまで座ってんだよ。邪魔。」

「廉、そんな事言うなよ。大丈夫?」

最悪の気分なのに、階段の上から二人組の男子生徒がやって来た。


怖い……。とにかく逃げよう!!


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