てるてる坊主
26
学園祭のパフォーマンスは、結局中庭でやることになった。佐藤さんがそう発表した。
「外?雨降ったらどうするの?」
「中止…………かな……。」
大きなスペースで、フラットな場所は中庭しかない。だけど、雨が降ったら、今まで準備してきた物が全部無駄になる。
頑張った事が報われないって…………モチベーション下がらない?
「そこで、これ!」
え?何?テレビショッピング?何か買わされるの?そこで佐藤さんが出してきたのは、大きなてるてる坊主だった。それは、僕の等身大くらいで…………その迫力は……少し……いや、普通に気味が悪い。
「てるてる坊主作ったの!」
「うん、見ればわかるよ……。」
佐藤さんは大真面目だった。
「これで、晴れを祈る!!」
「うん、そうだろうね……。」
佐藤さんが窓辺で空に向かって拝んでいると、のっぺらぼうのてるてる坊主に、稲葉さんが顔を描いた。
「本当に私が顔書いていいの?」
「いいよ!沙紀、絵上手いから!」
そこに掃除当番を終えた廉がやって来た。
「うわっ!何だこれ!!ゴルゴ13!?」
あ、本当だ。確かに上手い。
てるてる坊主を持っていた稲葉さんが叫んだ。
「俺の背後に立つな!!」
「それ無理だろ!窓際で外に向かって立ってりゃ、絶対誰かしら後ろに立つって!」
巨大てるてる坊主……ゴルゴ13みたいな顔になってさらに怖い。
「あのてるてる坊主、どうにかしろよ!こっち見てるし!常に外向けてろよ。ゴルゴ13に見られると心乱れるわ!」
「あ、ごめんなさい……。」
「いや、あの、別に怒ってるとかじゃ無いんだ!」
佐藤さんがまた落ち込むと、廉が慌ててフォローしていた。
そこへ、ジャージを着た男子生徒がやって来た。確か、サッカー部の梶原とかだっけ?
「沙紀!!窓にゴルゴ13のてるてる坊主が見えたんだ!沙紀だろ?」
すると、稲葉さんは言った。
「死ね!」
それでも、梶原君は続けた。
「俺のため?!」
「死ね!」
「明日練習試合なんだ!」
「死ね!」
それを見て思った。
「死ね!の一言で会話が成立するって凄いね。」
「いや、成立してねーだろ。」
廉はそう言っていたけど……。
「明日、見に来てくれるよな?」
「死ね!」
「俺、レギュラーに選ばれたんだ!」
「死ね!」
「じゃ、明日な~!」
「死ね!」
そう言って男子生徒は去って行った。
「梶原相変わらずだな。稲葉、梶原と仲良かったっけ?」
「見ての通り、全然仲良くないでしょ?あいつ、全然人の話聞かないんだよね……。」
「明日、サッカー部練習試合なんだね。沙紀、一緒に応援に行こうよ。」
廉はやっぱり…………サッカー部に戻りたいかな?僕や梨理の事は気にしないで、サッカー部に戻ったらいいのに……。そう簡単にはいかないか…………。
それでも、だから嫌だった。
そう思ったままでいいとも思えないよ。




