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てるてる坊主


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学園祭のパフォーマンスは、結局中庭でやることになった。佐藤さんがそう発表した。

「外?雨降ったらどうするの?」

「中止…………かな……。」


大きなスペースで、フラットな場所は中庭しかない。だけど、雨が降ったら、今まで準備してきた物が全部無駄になる。


頑張った事が報われないって…………モチベーション下がらない?


「そこで、これ!」

え?何?テレビショッピング?何か買わされるの?そこで佐藤さんが出してきたのは、大きなてるてる坊主だった。それは、僕の等身大くらいで…………その迫力は……少し……いや、普通に気味が悪い。


「てるてる坊主作ったの!」

「うん、見ればわかるよ……。」

佐藤さんは大真面目だった。

「これで、晴れを祈る!!」

「うん、そうだろうね……。」


佐藤さんが窓辺で空に向かって拝んでいると、のっぺらぼうのてるてる坊主に、稲葉さんが顔を描いた。

「本当に私が顔書いていいの?」

「いいよ!沙紀、絵上手いから!」


そこに掃除当番を終えた廉がやって来た。

「うわっ!何だこれ!!ゴルゴ13!?」

あ、本当だ。確かに上手い。


てるてる坊主を持っていた稲葉さんが叫んだ。

「俺の背後に立つな!!」

「それ無理だろ!窓際で外に向かって立ってりゃ、絶対誰かしら後ろに立つって!」


巨大てるてる坊主……ゴルゴ13みたいな顔になってさらに怖い。


「あのてるてる坊主、どうにかしろよ!こっち見てるし!常に外向けてろよ。ゴルゴ13に見られると心乱れるわ!」

「あ、ごめんなさい……。」

「いや、あの、別に怒ってるとかじゃ無いんだ!」

佐藤さんがまた落ち込むと、廉が慌ててフォローしていた。


そこへ、ジャージを着た男子生徒がやって来た。確か、サッカー部の梶原とかだっけ?

「沙紀!!窓にゴルゴ13のてるてる坊主が見えたんだ!沙紀だろ?」

すると、稲葉さんは言った。

「死ね!」


それでも、梶原君は続けた。

「俺のため?!」

「死ね!」

「明日練習試合なんだ!」

「死ね!」


それを見て思った。

「死ね!の一言で会話が成立するって凄いね。」

「いや、成立してねーだろ。」

廉はそう言っていたけど……。


「明日、見に来てくれるよな?」

「死ね!」

「俺、レギュラーに選ばれたんだ!」

「死ね!」

「じゃ、明日な~!」

「死ね!」

そう言って男子生徒は去って行った。


「梶原相変わらずだな。稲葉、梶原と仲良かったっけ?」

「見ての通り、全然仲良くないでしょ?あいつ、全然人の話聞かないんだよね……。」

「明日、サッカー部練習試合なんだね。沙紀、一緒に応援に行こうよ。」


廉はやっぱり…………サッカー部に戻りたいかな?僕や梨理の事は気にしないで、サッカー部に戻ったらいいのに……。そう簡単にはいかないか…………。


それでも、だから嫌だった。


そう思ったままでいいとも思えないよ。


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