表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/41

神様は糖尿病


23


あれから私は、猛烈に練習をし始めた。太った人の声真似…………デブ声を。


そんなの嘘、本当はバレーボール。


今さら真面目に練習した所で、経験者に追い付けるとは思ってない。それでも、隼人を気にする余地が無ければ、忘れられる。近くにいても、気にならなくなる。そう思った。


「顔色悪いけど大丈夫?」

自動販売機の近くのベンチに座っていると、佐藤さんに話しかけられた。


「ちょっと今、忙しくて……」

「ええっ!じゃあ、書道部はなるべく……」

「いいの。自分でわざと忙しくしてるの。だから、忙しくしたいからもっと仕事ちょうだい!!」


このまま、忙しくしていれば、忘れられる気がする!!


と、思ったら目が回って、倒れた。

「水野さん!?」


気がついた時には、保健室で寝ていた。


「梨理、大丈夫?」


え?ええっ!!隣には……隼人がいた。何!?このボーナスステージ!!


「もしかして……隼人が運んでくれたの?」

これは……これはもしかして、憧れのお姫様抱っことか!?なんでそんなにオイシイシュチレーションに記憶がないの~!?も~!!


「僕じゃないよ。ゴリ田先生が運んでくれたよ。」

体育教師のゴリラか!!いい!!記憶無くていい!!無くて正解!!


つくづく…………人生甘くない。神様の意地悪!!しょっぱいよ!しょっぱ過ぎ!!少しくらい甘い物欲しくならない?糖尿病なの?


「大丈夫?梨理が倒れるなんて珍しいね。体だけは丈夫なのに。」

「あ、うん……。」

隼人、女子に体だけは丈夫って、褒め言葉じゃないからね?


「最近忙しそうにしてるけど、もっと僕に頼っていいんだよ?僕はいつも梨理に頼ってばっかりなんだから。」

「隼人…………」


何だか、隼人への想いが溢れて来て、思わず伝えていた。


「あのね…………好き。」

「あ、うん、僕も好きだよ~!」

「ええっ!?本当に!?」


いや、ちょっと待って?その軽い返事…………


「梨理は昔からお姉ちゃんみたいだから好きだよ。」

「え…………。」

「え?」


あ、甘くねぇえええええええ~!!ですよねぇ~!!


「じゃあ…………里梨先生は?里梨先生の事…………好き?」

「…………わからない。かな?好きって何なのかな?僕、よくわからないんだ。里梨先生は……お母さんって年じゃないし、お姉さんみたいじゃないし、妹みたいでもない。」

「そこ、身内に置き換えるのやめようようか?」


隼人は、多分、恋人という概念がない。だから、ずっと側にいれば恋人というカテゴリーが出来て、その座に君臨できると思ってたのに……。


「身内じゃないなら…………梨理みたいに友達でもないし…………」

「そ、そうだね……。」

何とか…………かろうじて、隼人の中に友達というカテゴリーはできた。そこには入れてるかな?いや、そこに入ってしまったがために、告白が無駄に……!!


振られた方がマシだよ……。振られたら、諦められる。友達だねって笑顔でいられたら…………諦められないよ!!

「神様は糖尿病。」

そう言って私は、もう一度布団に入った。


「とにかく、これからはあんまり無理しちゃダメだよ。僕もできるだけ協力するから。」


ズルいよ!!隼人は…………ズルい。


だから…………私もズルい事した。


だから嫌だった……あの時の事を思い出すと、自分が醜く感じる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ