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飽きた


22


とうとう妹が飽きた。そろそろ魔王を倒すための武器も揃って来た所で、妹のマリが飽きた。

「いつも同じでつまんな~い!」

「じゃ、やめよっか?」

「やだ!!」


つまんない。でもやめないって何!?やめりゃ良くない!?


それを見ていた母さんが言った。

「何とかしてよ~!隼人~!」

「無理だよ!」

僕、ドラ◯もんじゃないよ!それ、ホント無茶振り!!


「本当はマリ自身が楽しむ方法を考えるべきなんだろうけど、まだ小さいから。隼人がマンネリ化を工夫して解消してやってよ。」

そんな事言われても……。


「攻撃最中は全裸で逆立ちとか、変顔で息止めるとか」

「やだよ!それ無理だよ!普通にゲームやらせてよ!」

母さんの解消法はリスクが高過ぎるよ。それじゃゲームどころじゃ無くなるし。


「幼稚園は毎日楽しいのに……。」

「それはさ、先生工夫してくれたり、マリの楽しいものがいっぱいあるからだろ?このゲームには無いなら止めればいいんじゃないの?」

「お兄ちゃんは毎日楽しい?」

突然、マリにそう聞かれて、考えた。


忘れようとしてるのに、リンと毎日会う。それは辛いけど…………


「楽しいよ。今、学園祭に向けて、今準備してるんだ。」

すると、母さんに詳細を訊かれた。

「隼人のクラスは学園祭何やるの?」

「クラスは着ぐるみカフェ。書道部はパフォーマンスしようって話になったんだ。」


母さんとマリは首を傾げて言った。

「パフォーマンスって?」

「パフーマスって?」

「おっきな紙に、おっきな筆で文字を書く、書道パフォーマンスだよ。」

マリはともかく、母さん見た事無い?僕も最初から最後までしっかり見た事は無いけど……。


「お姫様は出て来る?」

「出て来ない。」

「じゃ、猫は?」

「多分出て来ない。」

「忍者は?」

「出て来ない。」

「ふーん…………。」

ああっ!!マリの興味が一気に失せた!


「じゃあ、ゲームの方がきっと面白いね。」

マリ…………そんな事言うなよ。すると、母さんまでこんな事を言い出した。

「パフォーマンスって面白いの?書道って地味じゃない?静か~に黙って書いてる姿、身内以外が見て何が楽しいの?」

「いやいや、静かじゃないし!見たらきっと楽しいよ。」

「ホント?!マリ、パフーマン見たい!」


何だか…………こうなったら、マリのために絶対成功させたい!!


と、思っていたのに…………


「できない!?」

次の日学校へ行くと、廊下で佐藤さんに呼び止められて、申し訳なさそうにそうに許可が降りなかった事を伝えた。

「そうなの……。体育館イベントいっぱいで、使えなさそうなんだって。」

「そうなんだ…………」

「ごめんなさい!私が今さらパフォーマンスやろうなんて言ったから……」


僕があからさまに落ち込んでいると、佐藤さんも落ち込んだ。


「…………。」

「おはよう。二人どうした?暗い顔して。」

そこに、廉が来た。

「体育館使えないんだって。」

「ああ、その事か。別の場所探すしかないだろ。」

「別の場所?」

佐藤さんと僕で思わずハモった。


そっか…………ダメだってわかったら方法を変えればいいんだ。どんどん合うものを探せばいい。


僕は今までリンの事ばっかりだったけど、他にも大事なものはある。今は目の前にあるものを大事にしよう。

「隼人、おはよう!」

「おはよう、梨理。」


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