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すんのか~い!


20


先週の地獄のような空気が一転、今日の書道部は和やかな雰囲気で活動出来た。


「出来た~!」

「ちょっと廉!いや、みんな?!」

先週と違うのは……何だろう?大西君?大西君がいるからかな?

「家内安全、一攫千金、恋愛成就……。みんな…………半紙は絵馬じゃないのよ?」

大西先生が呆れ気味で、みんなの字を見て言った。


5月の学園祭に向けて、書道部として何か展示をという相談をしながら、習字をしていた。

「安産祈願って一体誰のよ?」

「あ、それ私のです!」


意外にも、稲葉さんが手を挙げた。

「え?!稲葉さん子供……?!」

「いやいや、普通そっちじゃないでしょ。」

水野さんに突っ込まれて気がついた。また勘違い。選択ミス。


「私のお姉ちゃんの安産祈願を私が書いたって事。」

「あ、そっか、普通そっちだよね!」

「あはははははは!佐藤って天然なんだな~!」

大西君が話を聞いて笑っていた。


て、天然!?天然ボケ?


「隼人、お前、家内安全ってオカンか!?」

「展示する文字決まらなそうですね~」

「スルーか!スルーすんのかい!」

大森君と大西君のやりとりは何だか…………

「オカンじゃないよ。息子だよ。」

「スルーせんのかい!すんのかい!せんのかい!すんのかい!せんのかい!」


何!?新喜劇?!二人とも楽しそう……。


「学園祭……パフォーマンスとか、できたら楽しかったのかもしれないね~。」

「パフォーマンスって?」

「そう、私が中学生の時ここの学園祭に見学に来た時にね、おっきな紙におっきな筆で文字書くパフォーマンスやってたの。あの時の学園祭楽しかったな~!」

中学の友達と、学園祭をまわった記憶を思い出して、楽しい気持ちになった。


「それ、やりたい。」

水野さんがそう、つぶやいた。

「梨理もそう思った?私も!」

稲葉さんも乗っかった!

「パフォーマンスか~!いいじゃない!悪くないね!」

大西先生までそう言い出した。


すると、みんなが口々にやろうと言い出した。ええっ!!みんな!?

「無理だよ!5人しかいないし!」

私がそう言うと、大西先生が笑顔で言った。

「違うよ佐藤さん、5人しかいないじゃなくて、5人もいる。」

5人も……いる?


「どうするんだ?部長は佐藤だろ?佐藤がやりたくないなら、止めれはいい。」

やりたくないわけない……でも……。

「やるのか?やらないのか?」

大西君に、やるかやらないか迫られた。


5人じゃやれない。

「やれない。」

「せんのか~い!」

ふと、周りを見渡すと、みんなが期待を抱いた顔でこっちを見ていた。

「あ、やっぱりやる!」

「すんのか~い!」


だから嫌だったんだよね…………部長なんて!私が決めるなんて……


「佐藤さん、佐藤さんが決めたとかじゃないから。勘違いしないでよ?これは、私のいつものワガママなんだから。」

帰り際、水野さんがそう言って帰って行った。水野さん、気を使ってくれたのかな?


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