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僕には、年の離れた妹がいる。11歳年下のマリ5歳。


ある日、学校から帰宅すると、母さんにお願いされた。そのお願いというのは…………


「マリちゃんがゲームやってみたいんだって。隼人、一緒にやってあげて。」

「何で僕!?隆人の方が暇だろ?」

弟の隆人は小学2生で、僕よりマリと年が近い。


「隆人とはすぐ喧嘩になるから。どうせ勉強なんかしないんでしょ?可愛い妹のためじゃない。」

そう言って母さんはマリを呼んだ。

「マリ~!」


すると、パタパタと軽い足音を響かせてマリがやって来た。

「隼人が一緒にやってくれるって~!」

マリは僕の制服の袖を握って引っ張った。


「隼人~!一緒にやろう?」

「マリちゃん、いつもパパにお願いするみたいにやってごらん。」

母さんに促されて、マリは僕にしがみついて、必殺うる目上目遣いを繰り出して来た。父さんは百発百中、これでイチコロだ。


「お兄ちゃん、お・ね・がい!」


うーん。仕方がない…………こうゆう時だけお兄ちゃん扱いかよ!


まったく、僕がロリコンになったらどうするつもりだよ。ただでさえ、廉や水野さんにはシスコンだのブラコンだのって言われてるのに……。


でも、可愛い妹の為だ。仕方がない。少し付き合ってあげるか……。

「どれやりたいの?」

ゲームソフトの入った引き出しを開けると、マリはすぐに一本のゲームソフトを取り出した。


「これ!これ、やる!」

「マリンヌよ、これはRPGだよ。」

それは、二人でやるようなゲームじゃない。


「これがいいの!!」

「いいじゃない、隼人、それやってあげれば?」

「これは、一人でやるゲームだって!」

それでも妹は納得しなかった。


「あー多分それ、隆人に貸してもらえなかったやつだと思う。だからやりたいって言い出したのよ。隆人もちょっと貸してあげればいいのに。」

それは……RPGをちょっと貸すの意味がよくわからない。


「マリちゃんと相談して、お兄ちゃんが操作してあげればいいんじゃない?」

「それでいいの?」

マリは大きく頷いた。


それって、やってる事になる?本人がそれで納得してるなら、まぁいいか。どうせ、きっとすぐに飽きるはず。マリは何事も飽きるのが早い。


オープニングが始まると、マリはウキウキし始め、音楽に合わせてオリジナルの振り付けで踊っていた。


うーん…………天才!!


とか思う僕はバカだ……兄バカだ!!


「主人公の名前は…………マリ。でいいよな?」

「うん。」

「仲間の名前は?どうする?」


さて、妹のネーミングセンスはどうだろう?

「おにいちゃん。」

「いや、だから名前だって……。」

「おにいちゃんがいいの!」


僕が納得いかずにいると、母さんに言われた。

「別にいいじゃない。マリちゃんのゲームなんだから、好きに名前つけさせなさいよ。」


これ以上、どうでもいい事にモメるのも面倒だ。言われるままに入力した。


でもこれ、ヒロインだから。おにいちゃんさんとか、おにいちゃんちゃんって呼ばれる事になるから。


「それより隼人、マリは字が読めないから、全部隼人が読んであげてね。」

「え、これ全部!?」

「話がわからなきゃ楽しくないでしょ?」


確かにそれもそうだ。僕はオープニングストーリーを全部音読した。『なんと美しい姫なんだ!おにいちゃん姫……!』ってセリフが……違和感ありすぎる。そりゃそうだ!


その違和感に、マリは納得いかないらしい。

「お姫様がおにいちゃんじゃヤダ!!」

いや、だから言ったじゃん!これ、マリがつけた名前だから!僕だって読んでて納得いかないよ。


「これ、後から変えられないの?」

母さんがマリの様子を見兼ねて言った。

「そう設定したから無理。最初からやり直すしかない。」


さも当然かのように、母さんはさらっと言った。

「じゃ、やり直せばいいじゃない。」

「は…………?」

今までの時間は…………何!?何だった!?


「だって……隼人がちゃんと女の子だって説明しないから。」

えぇええええ!落ち度は僕にあるの!?理不尽!!


オープニングストーリーで、早速やり直しになった。


二度目のオープニングは、マリのテンションは上がらず……

「飛ばしていい?」

「とばすって?鳥さん?」

スキップが通じないのか……。


「あ、このオープニング早送りしていい?」

「いいよ?」

マリの許可を得て、オープニングを飛ばしたら…………


「消えちゃった!ダメ~!」

「え?さっき、いいって言ったよね?」

「早送りって言ったのに!消えちゃった!」

あ…………


すみません。正確には早送りではなかったです。


マリ神がご立腹のため、今度はオープニングムービーでまたやり直しになった。

「早く、お兄ちゃん早送りして。」

それは…………できません!!


「もう一回だけ見ようか?」

「ヤダヤダ!早送り~!」

「無理だよ!早送りなんてできないよ~!!」

いや、できるって言ったのは僕だけども……できないものはできないんだよ!!


だから嫌だったんだ……妹とゲームなんて!!


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