女子の揉め事
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いつものように活動教室にいると、稲葉さんが誘いに来た。今日もサッカー部見に行くのかな~?
正直、あの中に入るのはもういいかな……。
そう思っていたら…………
「サッカー部もいいけど、今日はバレー部1、2年対3年生で練習試合なんだって~!見に行こうよ!梨理も出てるはずだし。」
梨理って…………この前入部した水野さん?の事だよね?
私達が体育館へ向かっていると、体育館の中から何か怒鳴り声が聞こえて来た。すると、すぐに水野さんが出て来た。
「あ、梨理!練習試合は?」
「負けた!!」
水野さんはイライラしてる様子だった。意外…………部活サボれるって喜んでた人が試合に負けてこんなに悔しがるなんて。
「そっか、それは残念だっ…………」
稲葉さんの言葉を遮って、水野さんが言った言葉は、私達の空気を一瞬にして凍らせた。
「何ヘラヘラしてんの?私の事ムカつくならそう言えば?」
え…………?その言葉に、私は固まってしまった。
それでも、稲葉さんは言い返した。
「はぁ?梨理、何なの?試合で負けて八つ当たり?」
明らかに、水野さんの様子がおかしい。どうしたのかな?試合で何かあったのかな?
「あんたもだよ!あんたなんか……いなきゃ良かった!」
自分が言われたワケじゃない。そうじゃないのに…………キツい。キツい一言だった。
「あんたがいなきゃ……私だって今頃真面目に練習してた。」
「梨理…………それ、どうゆう意味?」
稲葉さんを無視して、水野さんは黙って行ってしまった。
体育館の中に入ると、妙な雰囲気だった。多分、試合が終わった後…………という事だけはわかった。
…………この微妙な雰囲気、どうしたのかな?水野さんの八つ当たりと何か関係あるのかな?
「私、ちょっと話して来ます!」
そう言って、里梨先生が体育館を出て行った。
「ほら、今日はここまで。明日反省会ね!片付け開始~!」
「はい!!」
その後すぐに片付けが始まった。
すると、ボールを拾っていた1人がこっちに気がついて近づいて来た。
「沙紀!見に来てくれたの?もう終わっちゃったよ?」
「ごめん、佐藤さんと雑談してたら遅くなっちゃって。どうしたの?」
「それが…………」
その子がそのワケを話そうとすると、先輩達が体育館を出る前に言った。
「2年~!やるならもっと上手くやりなよ!」
やるなら……上手くって?
「あれじゃ、あからさまに梨理のせいじゃん。それとも、そっちが狙い?ま、いいや。お先に~!」
「お疲れでした~!」
練習試合、水野さんのせいで負けたの?
「あーもう、じゃあどうすれば良かったワケ?」
先輩達が全員出て行くと、すぐに2年生の子達が愚痴りだした。
「だって、先輩達負けたら絶対不機嫌になるし!」
「でもやっぱり、さすがにあれはあからさまじゃない?」
「だってあの子、下手なクセに無駄にプライド高いから、試合に出さないと後で何か言われそうで嫌じゃん?」
「それ言えてる~!」
なんか…………嫌だなぁ。悪いのは水野さんなのかもしれない。だけど、本人いない前で水野さんの悪口……。
「あーあ、書道部入ったから辞めるのかと思ってたのに……。」
みんな、水野さんに辞めて欲しいのかな?え?それ、なんか厄介者押し付けられてる?
「いっそのこと、沙紀じゃなくて梨理が…………」
「ナナ、それは言わない。」
「あ…………それ言われると、こっちも申し訳なくなるなぁ……はははは……。」
稲葉さんは少し冗談っぽく笑って見せたけど…………周りは全く笑えなかった。
「ごめん……。」
結局、微妙な雰囲気のまま帰る事になった。
それからしばらく、稲葉さんと一緒に帰り道を歩いたけど…………稲葉さんはずっと黙っていた。
だから嫌なんだよね……女子のモメ事……。
友達は欲しいけど…………こうゆうのは嫌。




