爆発
15
スポーツは自分との戦いだって言うけど…………本物の敵を前にしたらそうはいかない。あの時そう思った。
だから…………
バレーボールなんて好きじゃないし、私が出なくても誰も困らないし、私には隼人がいるから、部活なんか…………どうでもいいし。
それでも…………悔しい。
久しぶりのバレー部の練習に出たら、先生がこんな事を言い出した。
「これから、1、2年生対3年生で練習試合を始めまーす!」
「先生~!でも、3年生1人足りないですよ?先生が入るんですか
?」
「先生は審判。」
みんなは、じゃあどうするの?と口々に言っていた。すると、先生はこう言った。
「今日は先輩に入ってもらいます。」
先輩…………?その瞬間、嫌な予感がした。
「教育実習生の、里梨先生でーす!凜、準備できた?」
すると、体育館の倉庫から里梨 凜が出て来た。
「ジャージ持って来るようにってこうゆう事だったんですね~!」
マジ!?ここに出て来るの!?
たとえそれが興味のないバレーボールだろうが、たかが練習試合だろうが、あの、女を相手にしたら…………絶っ対に負けたくない!!
里梨 凜を見た瞬間……そう思った。
でも…………
「スタメンどうする?」
1、2年生で話し合って決めたメンバーには、私は入らなかった。
「梨理はなるべくベンチね。」
そう言われて、試合には出してはもらえなかった。それが正解。当たり前だよ……ろくに練習してない私より、1年生の方がよっぽど使える。そんなのわかってる。
それでも、最後の最後、勝敗の決まる同点の大事な場面で…………
「梨理、入って。一年生と交代。」
どうして?本当に勝ちたいなら、ここで私を入れるべきじゃない。なのに、どうして入れるの?
これじゃ負ける。あの女に負ける!
「最後は2年みんなで戦おう!」
それじゃ勝てない。勝てっこない。そう思いながら、背中を押されてコートに入った。
私に先輩のサーブが拾えるわけがない。
「梨理ー!!」
私を呼ぶ声と同時に、早速球が飛んで来た。それでも、せめて…………逃げる事だけはしたくない!!
何とかかろうじて腕に当たって、ボールはレフトのポール近くに、宙にあがった。その瞬間、まるでスローモーションの映像を見ているかのようだった。
でも、必死のフォローも虚しく、コートの外に落ちた。
負けた。
「梨理、ナイス!反応できてた!逃げないで取れたじゃん!」
「ごめん、せっかく梨理があげたのにフォローしきれなくて。」
そんな事を口々に言い合いながら、試合が終わった。
ギリギリで負けた。何となく、みんながホッとしたような顔をしていた。ああ……そうゆう事。この試合は負けて正解なんだ。みんなは多分、私を使って負けたかったんだ。
それでも、私はあの女に負けた。…………それが悔しい。
試合終了後、先生とあの人が話をしているのが聞こえた。
「2年生も4人じゃ今年の大会は厳しいですね~」
「いや?2年は5人だよ?最後のメンバーは全員2年。」
「え?あの子……2年生なんですか?途中入部ですか?」
普通に全部聞こえてるっつーの!
「経験者ではないけど、去年四月から普通に入部した子だよ?」
「よっぽど運動が苦手なんですか?」
「いや?むしろできる方だと思う」
先生のその一言に、里梨凜が驚いて言った。
「え?じゃあ先生、1年間……何をしてたんですか?」
「まぁ、あんまり部活に熱心な子ではないから。」
1年間……何をしてたかって?
「ふざけんな!!全部あんたのせいだよ!!」
堪えきれなかった。今まで抱いた負の感情が爆発した。
「あんたなんかいなきゃよかったのに!!あんたさえいなきゃ…………」
気がつけばそう言っていた。そう言って体育館の外に出ていた。
悔しい!!悔しい!!悔しい!!
こっちは1年間どころの話じゃない!!小6の夏からずっと、ずっとあんたの存在に怯えてた。隼人の記憶から消そうと、もう一度出会わせないように必死だった。
それなのに…………
だから嫌だったんだよ!あんたの存在が、何もかもが、全部!!




