早く飽きて
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梨理に言われた。
『先生と生徒じゃ恋愛は難しいよ。今はまだ迷惑かけないように遠くから見てた方がいいよ。』
リンがこの先、教師になるかどうかは別として、今は待つしかない。教育実習が終わったら、リンもただの大学生だ。…………4歳の差って意外と大きい。
そんな事を考えながら、いつものゲームをスタートしていると……
「隼人~!見て見て~!」
マリが嬉しそうに、マリ姫を見せて来た。
え?ちょっと待て?あんなにモメた武器と防具が売られている……勇者おにいちゃん、また丸腰だ!!
そういえば……マリ姫の衣装が変わっている。そうゆう事か!!勇者の武器と防具を売って、マリ姫が新しい衣装でグレードアップしたんだ!!
マリ姫は回復くらいしかしないから、防具のグレードアップを後回しにしてたのに……。
そうとわかった所で……マリ姫大して防御力あがってないし……!
母さんが僕の様子を見て言い訳を始めた。
「あ~今日マリと続きやったんだけどね、お姫様の服、白い服にお着替えしたいって言われて…………勇者の武器と防具売って……お姫様の服買っちゃった!」
買っちゃった!って…………何だか、身ぐるみ剥がされた気分だよ……。
なんか……どうしてだろう……。たかがゲームなのに、何だか悲しい。
しかも……また回復薬96個もあるし。そりゃすぐ死にそうになるだろうよ。勇者おにいちゃんだけ無防備だからね。戦闘はなかなか終わらないだろうよ。勇者おにいちゃん素手だからね。素手で戦ってるからね。
この、勇者の虐げられ方が……実際の僕とダブって悲しいんだ……。
「お兄ちゃん、見て見て~!お姫様なの~!」
マリは白いワンピースをひらひらさせて見せて来た。
「勇者おにいちゃんに回復してあげる~!」
はい、マリ姫に回復されました。
「あれ?回復してないの?」
「え、あ、大丈夫だよ、回復したよ。よし、どんどん敵を倒して我が家に平和を取り戻すぞ!」
「おー!!」
発想を変えよう。妹に回復される為に、勇者おにいちゃんは丸腰なんだ!!もう、効率とか考えてはいけない。普通にゲームをする。そんな概念を捨てろ!!これは接待ゲームなんだ!!とにかく…………このゲーム早く終わらせたい!
早く飽きてください!マリ姫様~!!耐えろ!今は耐え続けろ!勇者お兄ちゃん!!




