表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/41

笑えない


11


どうして…………?なんでこうなるの?あり得ない!!


あり得ない…………事もないか……。


だから嫌だった…………この高校に来るのは。隼人から里梨凜の存在が全然消せない。消せないどころか、本物が現れた!!最悪!!こうゆう時に、人は殺意が湧くものなんだ……。


今まで、散々邪魔して来た。駅で見かけても、隼人の注意をそらしたり、先輩に話を聞いても、何も知らないと嘘を伝えたり、今まで何とかやり過ごしてきた。それなのに……


全部…………無駄?無駄だったの?私の今までの努力って、一体何だったの?


ふと、左側を向いたら、廉がざまあ!という顔でこっちを見ていた。そりゃ、そうでしょうね。私は廉を睨みつけた。


「おいおい、お前人殺しみたいな顔してるぞ?」

「え?」

廉がそう言うと、隼人が後ろを向いた。

「どこが?」

「ちょ、ちょっと~!女子に人殺しの顔って、廉ってホント最低~!」

なんとか、隼人の前で、作り笑いが出て良かった。


本当の所は…………マジで笑えねぇ!!


ホームルームが終わると、隼人が先生を追いかけようとした。私は思わず、隼人を引き止めていた。

「隼人!!待って!!」

「何?僕、今、リンの所に行かないと!!」


引き止めたはいいけど…………どうしよう。冷静になろう。少し、冷静に。そうだ……!!


「再会が嬉しいのはわかるけど、少し冷静になろう?」

「冷静…………?」

「そう、今は小学生の時に会ったリンじゃないんだよ?今は、先生。教育実習生の…………先生。」


私は、隼人にも自分にも言い聞かせるように、ゆっくりと言った。隼人は私の一言に、一気に肩を落とした。


「そっか……。先生か……。向こうの事も考えなきゃいけないね。迷惑……かけないようにしないと……。止めてくれてありがとう、梨理。」

「うん……でも、毎日会うチャンスがあるんだから……大丈夫だよ……。」

慌てて隼人を元気づけようとした。何とかフォローしたい。


でも、それ以外のフォローの言葉が全然出て来なかった。


お昼を過ぎても、隼人は元気にはならなかった。元気になるどころか、どんどん落ち込んで行った。


それでも私は、自分の猶予の時間がどうしても欲しくて、隼人に言わずにはいられなかった。


「先生と生徒じゃ恋愛は難しいよ。今はまだ迷惑かけないように遠くから見てた方がいいよ。その時が来たら、私がまた協力するから……。」


嫌な女……。


だから嫌だった…………こんな時が来れば、絶対嫌な女になる。そんな事わかってた。今までだって…………


私、凄く嫌な女だ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ