閑話 01
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私の仕える主人は、自由人だ。
セヴィア・レ・グリッター、誰も勝てない孤高の次期魔王。底の見えない魔力に、全ての魔法を使いこなすことのできる才能。冷徹に、冷血に、自国の民ですら必要とあれば切り捨てることのできるーーもちろん、守ることを全力で試した後でーー為政者としての力をもつ存在。スキルと技能は勇者に勝るとも劣らず。魔力を足した色と言われる黒を持ち、金色に輝く瞳は誰をも虜にする、などとも言われる美貌の持ち主。
そんな主人ではあるが、定期的に脱走する。本人としてはその意識はないのだろうが、どうしたものかと頭を抱えている内容だ。幼い頃から面倒を見させていただいているが、どうにも治らない。ふらりと出かけて“誰か”を連れて帰ってくるなんてよくあることで。今では厨房を任されているジオールも、この砦にいる複数人もーー皆、それぞれになかなかの地位を築いているがーー幼少期から定期的に主人が連れてきたのだ。
そのまま主人が面倒を見る、と言い張って行動するのだが一度もうまくいった試しはなくーー多分1番の理由は、主人の固有スキル故なのだろうーー最終的に主人に仕えることを選んでいく。主人の接し方ゆえか、時折何かを勘違いしたような者もいるが、そういう相手はこちらに何ができるわけでもなく、それでいてしぶとく長持ちするのでこちらとしてはありがたい。能力の高いものは何かを感じとるようで、ジオールなんて一日で私の元に相談に来た。
そんな主人が、また、拾ったらしい。ハーレルが楽しそうに準備をしていることから判断するに、女性なのだろう。今回は私の元に逃げてくるか、それともハーレルの方へと行くのか。女性の方が主人の外見に惑わされて長持ちしてくれるタイプであることが多いので、少しだけ大切にしている。
が。
ハーレルが向かった後に呼ばれたその場で私が見たものは…少女と言って差し支えのない年頃で、黒い髪を魔法で茶色に染めている、紫の瞳をした小柄な子だった。黒髪ということにぞわりと鳥肌が立つ。瞳はまっすぐにこちらを捉えており、そして、同時に、私が女であると理解しているのがすぐに判明した。
近づいて、その手を取る。
「ステータスを見ても?」
「あ、はい」
こちらが心配になってしまうほど、なんの警戒心もない。ステータスを見せろと初対面の相手に言われてもあっさりと見せる、普通ではあり得ないことだ。だが、知りたいことを知るにはちょうどいい。
ふわり、と表示されるステータスに視線を落とした。
基本ステータス
名前 出水 雪白
種族 魔族(神族)
年齢 16
等級 1/100
体力 10/5(+5)
魔力 1,500/1,000
称号 気ままな旅人/魔族の少女/(神の一族)
スキル
おばあちゃんの知恵袋(LV.10:MAX)
▽知識系スキル 最上位
▼魔力の消費量が大幅に減少する
▼衣食住や森羅万象の知恵のみが与えられる
美の追求(LV.5+5(知恵袋):MAX)
▽美容系スキル
▼外見・内面を磨く努力を行うと等級が上がる(自他問わず)
健康の追求(LV.5+5(知恵袋):MAX)
▽体力系スキル
▼体力の最大値・回復量・上昇量にボーナス
家庭料理(LV.5+2(美)+2(健康))
▽料理系スキル 中位
▼作った料理にランダムで付加能力
▼身内以外に作る料理にはマイナス効果がつきやすい
愛妻弁当(LV.5+5(家庭):MAX)
▽料理系スキル 最上位
▼作成したお弁当に望んだ付加能力がつく(1つ)
▼異性へのお弁当の場合、付加能力にボーナス
▼伴侶へのお弁当の場合、付加能力が3つつく
オタク(LV.10:MAX):固有スキル
▽???スキル
▼集中力・記憶力・想像力の上昇
▼習熟度が上がりやすい
▼中二病にかかりやすく、治りにくい
主神の寵愛(LV.10:MAX):固有スキル
▽???スキル
▼主神の寵愛を受けた存在
▼神族としての将来が約束される(末女神)
技能
□魔法:全統系使用可能
得意:付加、障壁、生活
苦手:攻撃
スキル技能
□知恵袋
(□森羅万象の恵み
(□知識人
(□生き字引
□美の伝道師
(□観察眼
(□目利き
(□選品
□健康の伝道師
(□トレーナー
(□講師
(□アシスタント
□マッサージ
(□カウンセリング
(□アロマ
□リサーチ
(□調査
□いつでも美味しく
(□マジックボックス
(□空間停止
(□時間停止
固有スキル技能
□布教
(□普及
(□拡散
□中二病
(□妄想
(□想像
□お祈り
□神様ぶーすと
絶句した。
つまり、この少女は生まれて16年しか経っていないのにも関わらず、末女神として、神になることが決まっているのだと。
そして、魔法を使う上で、最も有効となる中二病。副作用があまりに恐ろしいために諸刃の剣とも言われている、そのスキルを平然と持っている。普通の少女に見えたのに、まさか、と愕然とするのを必死に抑える。
黒をもつ少女だったからこそ、覚悟はしていた。だが、これならば、大丈夫だ。
主人の隣にいても、壊れることはないし、彼女から読み取れる感情からすれば、何かを勘違いすることもなさそうで。
口元が緩むのを抑えられない。彼女がいれば、少しは主人の脱走癖も落ち着きを見せるだろうし、いや、主人の手を離れなければ脱走することもほとんどなくなるだろう。見た様子では生真面目そうな少女だ。
それに、ジオールが愛妻弁当スキルの持ち主を探していたこともあり、私はちぐはぐな彼女を歓迎することに決めた。
当然、この時には、主人と決めた次期魔王が彼女に対し変な執着を見せることも、彼女がそれに戸惑い逃げ腰になってしまうことも知らない。過去の己に、何度主人の自由さを少しでも抑えなかったのかと問いかけてしまいたくなった。が、何度矯正しても仕切れなかったのだと、思い直した…直したのだが!
砦の屈強な部下たちを怯えさせるようなおどろおどろしい空気を纏うような教育をしたつもりはないのだが、一体何を間違えたのだろうか。
マリア様は見てる




