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せっちゃんたちの恋愛事情  作者: くい
ゆるしてください、もじょなんです
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6−09

ゆっくりと体を起こす。今は一体何時だろうか。天蓋を開いて、ライトを点ける。明るくなる室内にホッとしたのも束の間。がさりと、音がして、思い切りベッドから転がり落ちた。と、思ったのだが、なぜか私はいつかのグラジリオスのように宙を舞っている。うん?首を傾げていると、ため息交じりのせっちゃんが私の視界に入ってきて、そのまま漂う私を抱きしめて、宙に浮かせるのをやめた。

抱きしめられたり抱き上げられたりが通常の体制になってきてしまったので、その点についてはちょっとお話ししたい。私これでもちゃんと一人で歩けるし、動けるんだよね。彼らは知らないかもしれないけど、一応一人で生きてきたからね、そろそろ一人でもなんとか生きていけるんじゃ無いかなーって。いや、流石に城下とか庇護下からは出るつもりはないけれど。市井の人間としてって意味であって、決して冒険者とかになるつもりはないし、魔族だからこそ、他種族に近づいたり接触したりする可能性のあることは全くするつもりはない。

…あれ?城下で暮らすって、もしかしてヴィクトールの家でできるんじゃない?あそこ確か城下だったよね、多分土地的にはお城に近かったから一等地だとは思う。安全性も高めで、キッチンは私の高さ。全体的な作りは大きいけれど、生きる上では十分じゃない?塀の強化(バフ)は私自身がしたわけで。しかもせっちゃんが作り上げているのだから不安はない。考えれば考えるだけ良いのでは…?

まさか、ヴィクトールはこれを予測していたのだろうか。もしそうであれば、お願いすれば一緒にせっちゃんを説得してくれる?…ああ、でも、ヴィクトールと他のハーレム人員の差が出るのか。それは問題…問題なのかな?問題だろうなあ。大奥とか寵を争ってたわけだから、そういう意味で、ヴィクトール寵愛してますって(てい)をとればいいんじゃないかとも思うのだけれど、なんかダメだと本能が訴えている。それを逆手に取られる説確かにあるよね。そのままなし崩しでハーレムが崩壊するんじゃないかな。権力的な意味でも体裁的な意味でもスキル的な意味でも崩壊できないのに、実質内部崩壊とか恐ろしい。私の特権も失われる可能性が生まれる。今現在もメンバー追加するのに私の意思が関係ないし、今回のデート?的な何かも私の意見はゼロだ。いや個人個人の時には確かに色々気にしてくれているけれど、そもそものスケジュールの方ね。

それも保護者であるせっちゃんの許可的な意味で考えるのであれば、ある意味正当なのかもしれない。と思ったけどそれでもやっぱり私に一言も何も聞かないのは違うんじゃないかな!やっぱりダメだ。やめよう、もしそうするならせっちゃん含む全員に話を通してからにしよう。

なんて言えばいいのかな、一人暮らししてみたい!とか言えばいいの?ほぼ確実に大反対されるよね。一人暮らししてみたいなぁ…本来は私片付け苦手なタイプだからあんまり一人暮らし向いてないとは思ってるけど。いやでも魔法があるわけで、もしかしたらいい感じになるかもしれないじゃない?しかも一日が長いんだよ?その分若干睡眠時間長かったりするけど。正直お昼寝の時間が欲しい。まあ、お仕事は基本早い時間だけだから、お昼寝してることもあるんだけどね。

流石に天蓋付きベッドだと寝すぎてしまうから、カウチとかでごろ寝してる。自由に寝られるのってとっても素敵です。やっぱり睡眠は人のメンタルに大きく影響してるよね。もともと寝るのが好きだったって言うのもあるけれど。

地球にいた頃から人間の三大欲求と言われる、食欲、性欲、睡眠欲のうち、最も睡眠欲が強いタイプだったからなぁ…。ある意味では性欲も強かったのかな、性欲って言うより煩悩って表現したほうが正確だけど。食欲はそれほどだったかなぁ…。あれば何でも食べるタイプだし、お腹空いてても眠れるから完全に睡眠欲の方が強いし。


「せっちゃん、具合が悪いのか?」

「ううん、考え事してただけ。ごめんね」


無視してたわけじゃないよ、とせっちゃんに笑って、抱きついてみる。満足そうな顔をし他せっちゃんが、無理はしていないのならいい、と微笑んでみせた。なんだか精神的なダメージを受けた気がする。静かに視線をそらして距離を置くように動いてから、一度落ち着く。実際は抱きしめられたままだから、一切距離は変わらないのだけれど。


「今日はせっちゃんの日だっけ?」

「ああ、今日は一日ゴロゴロしていよう」


私に微笑むを向けるせっちゃんは、首を傾げて聞いているような声色を出す。けれど、私を抱き上げたまま私のベッドに腰掛けているあたり、断られるとは思っていないのだろう。断ることもできないんだけどさ。なんて言うか、気持ち的な問題がね?

いつも抱き上げられているから、体温には慣れたつもりだった。けれど、ゴロン、と抱きしめられたまま横になった瞬間、違うものだと実感した。じわじわと緊張と居心地の悪さが広がる。転がって叫び出したいような感覚だ。一体どうしてなのだろうか。嫌と言う訳ではない。けれど、ずっとこうしていたいかと言われれば否だし、なんとなく罪悪感的な何かも混ざっている。

せっちゃんが横になっているのを見て、ツノが邪魔そう、と思う前に困惑で視線を泳がせてしまったのは、一体どうしてだろうか。


「ご飯は?」

「食べたくなったら、せっちゃんが作ってくれ」

「…せっちゃんは大丈夫なの?」

「ああ。気になる様なら、せっちゃんの魔力をくれないか」


そうすれば、食事なんて気にならないから。と笑うせっちゃんだが、発言的には尋常じゃなく可笑しい。簡単に私に置き換えて言えば、魔力交換して(=快楽(・・)を与えて)くれればそれでいい、と言うことになる。ちなみに、一般常識に当てはめると、痛みさえ与えてくれればそれでいいと言う究極のドM発言になる。

するり、と当然の様にその手が滑る。背中の方に回って、ゆるりと撫でられてギョッとする。かちん、と体と思考が止まった。…やばい。


「せっちゃん?」


不思議そうに私に聞いてくるせっちゃんに軽く絶望する。なんでこんなことになっているのか、と昨日のことを思い出す。そうだ、いつものシルクのパジャマが見当たらなかったんだ。だからこんな、ハーレルさんに強制的に渡されたベビードールなんて着てたんだ。

今すぐせっちゃんを追い出して着替えたいのだけれど、がっしりと背中に腕を回されて、ほとんど身動きが取れない事実に冷や汗を流した。

色気皆無のベビードール

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