5−12
いつもありがとうございます。
そろそろ本気で文字数が多くなりましたので、読んでいただけると嬉しいです。
せっちゃんがニコニコしながら夜期について話し始めた。大抵はナディアとマリアさんの言葉と同じものだった。けれど。
「だから、私と一緒にいるようにしよう」
困惑した顔でナディアとマリアさんを見た。二人が揃って目を逸らした。おい。二人とも。
なんて責めることはできないけれどそう思うのは仕方ないことだと思うんだ。さて、と話を戻すためにせっちゃんを見つめると、彼は至極当然だと言う顔をして不思議そうに首を傾げていた。私が頷かないはずがないと言いたげな顔だ。うん、知ってた。仕方ないよね。
「わかった。けど、モンスターのことはどうなったの?」
「気にしなくていい、一通り決着はついた」
早いな、とは思ったが、私の表情から伝えたいことを読み取ってくれたらしく、彼が話してくれる。モンスターについてだが、様々な種族の因子を持っている事はほぼ確実らしい。けれど、それがどうやって組み合わされているのか、とかはわからないらしい。隷兵であるエルフ・ドワーフにも確認してもらったのだが、どうやらそれぞれの魔法や能力の特徴もあったとか。
人間は残念ながら人間同士のそういう繋がりのようなものは感じられないらしく、どうだかわからない。それでも、エルフもドワーフも、そして獣人もあのモンスターには嫌悪感しか覚えないそうだ。結果的に連れてこられた隷兵が自らあのモンスターの血を浴びに行くことはない。その血で奴隷ではなくなるとしっても、彼らはそれは嫌だと拒否を示していた。
だからと言って倒すことに抵抗がないわけではないし、できることなら調べて欲しいと言う陳情があったため、魔族を囮に隷兵たちが何体か捕えたらしい。それを役隷と研究者を呼び出して、研究してもらうことになったと。
確かに解決は必要だろう。そして、討伐している間に判明したのだが、どうやらモンスターたちは夜目が効かないそうで、夜期に襲ってくることはほぼないだろうと言われている。万一襲われてもいいように兵士たちはほとんどが砦に残っていてくれるそうだ。ヴィクトール様は時々戻らないといけないせいでなんだか不満そうな態度をしているらしい。あとで顔を見ておいて欲しいと言われた。
まあ一応私婚約者だもんな、全く顔を合わせていないと言うのは問題だろう。せっちゃんが私がついて行こう、と微笑んだ。え、ずっと一緒にいるつもりなの?戸惑って先ほどのようにナディアとマリアさんに助けを求める視線を、向けられなかった。ずい、と私と距離を縮めたせっちゃんが至近距離でにっこりと笑う。視界を遮られてしまっては、助けを求めることもできない。ので、諦める。
「わかった、ありがとう。せっちゃん」
「せっちゃんのためならなんてことない」
平然とそう告げたせっちゃんにびっくりする、けど、まあ今までの過保護具合から考えると別にありえないと否定するほどではないだろう。目を細めて軽く微笑ましげに見つめられているとなんとも、居心地が悪い。
「そういえば、グラジリオスは?」
「あの男に会いたいのか?」
「いや、会いたいと言うか、一応旦那様だし…」
私の言葉に眉を顰めたせっちゃんが、不機嫌そうに近づいてきた。先ほどまでは視界を遮っていただけなのだけれど、どうしてだろうか、今は手が届く範囲まで近づいた。そのまままっすぐ伸ばされた手を避けることもなく、首をかしげる。先ほどまで微笑ましそうな顔をしていたのに、一体何が理由か。
いや、おもちゃな私が自分以外の誰かに執着(?)しているのが嫌なんだろうなぁ、と思う。せっちゃん独占欲強そうだもんなぁ。堂々と人目の多い場所での魔力交換とかするからね。それこそ独占欲の塊と言えるよね。確実にこれ俺のおもちゃだから手ェ出さないようにねーって言う子供の独占欲的なアレに違いない。
ほっぺを撫でられながら、どうしたものかとその顔を見つめる。金色の瞳をとろりと溶かして、甘やかそうとするのだが、その動きは愛玩動物を愛でる行動と同じ気がするぞ?
正直に言うと、恋愛的なものではない、これくらいの可愛がり方の方がありがたいのでまあいいか、と素直に目を伏せて甘やかされておく。こちらとしても楽だから、と思っているが、たまーに、私の考えは本当にあっているのかと不安になる。こちらのスタンスは変えられないけれど、せっちゃんのことを全て知っているわけではない。そう考えると、本当に愛玩動物に対しての可愛がり方なのか、それともまた別の感情をこめた行動なのか、わからないのだ。わかったところで私の対応は変わらないけど…いや、変わるか。できる限り近寄らないようになるな。私の精神衛生上の問題からもこれはおもちゃか愛玩動物への行動ということにしておこう。
「だめかな?」
「…わかった、グラジリオスにも一緒に会いに行こう」
「うん、ありがとう。せっちゃん」
目を開いてへらっと笑っておけば、せっちゃんは満足そうに頷いた。不機嫌そうだった表情は見えないのでよかった、と胸をなでおろす。せっちゃん本当に怖いなぁ。さて、と立ち上がって距離を置こうとしたのだけれど、どうしてだろうか、せっちゃんが動かない。なんなら壁ドン的な何かを感じるレベル。
これどうしたものか、ととりあえず戸惑った顔で見上げた。身をかがめたせっちゃんが、私の髪を撫でながら、すぐ目の前で目を細める。わあ、スチルでありそう。とか明らかに間違った思考をしてしまった。なんだか毒されているような気がしてちょっと不安になるが、多分一緒に過ごしていて顔を見慣れたからの反応だよ。
キラキラしたイケメンは、近づいて私に抱きつくように動いた。一体どうしたのだろうか、久しぶりな気がするのは最近はせっちゃんがモンスター狩りで忙しかったせいか。頭にすり寄ってでもいるのだろう、なんだかグリグリされている気がする。にしても、本当にせっちゃんは体が大きいのだな、としみじみと感じる。それ以上に大きい人もたくさんいるけれど、なんだか、ぬいぐるみか何かを抱きしめているような状態な気がする。
まあ、せっちゃんが満足するならしばらく放っておいていいか、と解放されるまで思考を飛ばすことにした。
次期魔王は保護者()




