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せっちゃんたちの恋愛事情  作者: くい
ただいま、とりでのなかまです
58/90

4−07

モンスターアラートの鳴った日から、早三日。

言われた通りにフィラード様のところでお世話になっている。今までナディアがしてくれていた色々、例えば、お風呂から出た後の髪の毛を乾かす作業だとか、朝天蓋を開けて起こしてくれるとかを、何故かせっちゃんが請け負ってくれている。私一人でも大丈夫だと伝えたのだけれど、一人にしておくのは心配だから、と言いくるめられた。

なので、目覚めはせっちゃんのどアップ。支度は流石に自分一人で行うけれど、朝食はせっちゃんの部屋で一緒に食べる。それから、身だしなみを整えてから、せっちゃんに送られて厨房へ。いつも通りお弁当を作るけれど、指示されたように効果は生存率上昇をつける。効果としては戦闘に入った場合、魔力・体力の自然回復量を上昇させる、というもので当然作業効率上昇とは同時付与できない。その辺を悔しがる声も聞こえたが、せっちゃんの指示ということで諦めてもらうことになった。

厨房での仕事が終わる頃になると、厨房組の5人でお昼ご飯を食べる。そのうちにフィラード様が医務室からわざわざ迎えに来てくれるから、以降の時間は医務室でずっとフィラード様とお話ししたり、お手伝いしたりして時間を過ごす。クレイ様やヴィクトール様とはできなかったゆっくりお話しする時間が取れてもっけの幸いだなぁ、としみじみ思っている。

見回りの終わったせっちゃんが迎えに来てくれるまでは医務室から出ることは許されなくて、そのあとは部屋に送ってもらって、寝るための支度を進める。お風呂から上がる頃になると、せっちゃんが私の部屋のソファーでくつろいでいる。魔法で髪を乾かされたら、夕食。二人で何故か隣り合って食べて、歯磨きなんかを終わらせてベッドに入るまでを見守られるけれど、その辺は一人でも大丈夫だと本気で思う。最後におやすみ、と声をかけられて天蓋を閉じられるまでが一日の流れだ。

曰く、本来の私の年齢の子供であれば、これくらい見守られているのは当然だという。レリィナさん曰く、女児はより一層大切にされる傾向にあるというのは確からしい。レリィナさんも幼い頃はいい加減にして欲しいと思うくらいに過保護にされていたと話してくれた。


「女児の方が大切にされるのは、やっぱり男女比に問題があるからですか?」

「そう。それに結婚して子供を産むことが重要だって言われて育てられるから」

「種の保存的な意味でです?」

「ええ、ただでさえ出生率が低いから。さらに、初産で亡くなることも多い」


以前聞いた情報に間違いはないらしい。治療しようにも、本人の魔力の流出を止められない、というものだから、どうにも難しいらしい。ただ最近は、幼い頃からの魔力交換で魔力の流れを自覚することができるようになっているため、最近は若干ましになっているとか。お昼ご飯を食べながら、レリィナさんに色々教えてもらう。

女性目線でナディアやマリアさんからも教えてもらってはいるけれど、あの二人は上流階級の出だ。ナディアは実は貴族のお嬢様だったし、マリアさんは王女様だ。何故かせっちゃんに仕えているけど、王女様だからね?プリンセスですよ?完全に上流階級代表でしょう?

レリィナさんは市井の出身らしく、彼女たちとは違う観点での知識を色々教えてくれる。それは結構な違いがあって、なんとも面白い。同じことを教えてもらっているはずなのに、全く違う様子に聞こえることもある。逆に、全く同じように伝わっていることもある。先ほどの“女児が大切にされている”ということは確かに理由含めて変わらないから、魔族で統一されていることなのだろう。

とはいえ別に男児が蔑ろにされている訳ではない。数が少ないから、子供は大切にされている。けれど、女児は大切というよりも保護されていると言ったほうがいいかもしれない。基本的に成人するまで一人でいられることはないらしい。幼い頃に母親が亡くなった場合、近所の女性が面倒を見ているそうだ。ちなみに、貴族の場合は最低、専任のメイドが2人と護衛が3人つくらしい。


「飯が不味くなるから面倒な話はやめろ」

「ごめんなさーい」


ドレックさんが眉を顰めて告げる。切れ長の目で、少し長めの髪をカチューシャで雑に持ち上げているので、一見しては料理人には見えない。元々の顔立ちが冷静そうで頭良さそうだからこそ、余計なのだけれど、しかも、本人は勉強とか本とかが大嫌いという性格。料理人なのに、料理本すら読みたくないというのだから相当だろう。それでも料理スキルは持っているし、料理への情熱は人一倍で、尊敬できる人だ。

基本知識欲を満たすための質問ばっかりする私に呆れ半分、それでよく生きてこれたなと関心半分。彼は私を保護するものとしてみているから厨房以外で本気で怒ることはない。もしくは指導する対象としてみてくれているらしい、ありがたいことだ。


「そういえば、ドレックさんとレージさんって、おいくつなんですか?」

「あ?200くれーじゃねぇ?」

「いや、お前はセヴィア様と同じでしょ。俺より100くらい上で」


微妙な敬語を使っているのはレージさんで、二本のツノが生えている。種属がジオールさんと同じ鬼らしい。先ほどの話から行くと、ドレックさんは300歳で、レージさんは200歳。その年齢で100歳間違えるのはどうなの、とドレッグさんを半目で見つめるが、料理以外に興味が全くないせいだろう。レージさんがため息をひとつ。その隣で腕時計を見たジオールさんが苦笑する。


「そろそろ、迎えが来るな」

「えっ、うそ」


慌てて食器をまとめて片付けるためシンクへ向かう。そんな私に付いてきてくれるのはレリィナさんだ。私を手のかかる妹のような、後輩になった新人のような、そんな扱いをしてくれている。ヘラリと笑いかければ、クールビューティーな顔に呆れたような表情を浮かべてから、柔らかな表情へと変えた。

危機的状況と称することができるのだろうけれど、平和に過ごしている。これはせっちゃんたちが見回ってくれていることだったり、砦のみんなが警戒を強めてくれているからこそというのは理解している…つもりだ。実際のモンスターに一度も会ったことがないから、それがどれほどのことなのか認識できていないというのはあると思うけれど。

そんなことをつらつらと考えながら、食器を洗っていたら、フィラード様が迎えにきてくれた。

厨房組

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