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せっちゃんたちの恋愛事情  作者: くい
こんにちは、あるじです
37/90

3−01

「目が覚めましたか」

「ナディア?」

「おはようございます」


にこり、と笑った顔に、おはよう、と返して起き上がる。昨日は本当に疲れたし、たった数時間なのに今まで作ったことのないくらいの敵を作った気がする。絶対日本で生活していた時に作った敵以上の人数だった。基本的にはチキンだったから敵になりそうな人は没交渉でいたっていうのもあるかもしれないけど。

敵が地位も権力も持ってる時の対処の仕方とかわからないんですけど。ちなみに味方側も地位も権力もあるので、そちらをフルに使わせていただく形をとりたい。余計に敵が増えそうだし、一番の地位と権力を持ち主(次期魔王)はむしろ煽ってきそうで、ある意味では敵な気もする。生命の危機になれば助けてくれるだろうけど、それまでは全力で嗤いながら見ててくれそうだ。ありがたすぎて、涙が出る。

嫌われるのと合わない人間がいるのは仕方のないことだ。噛み合わない相手がいない人間なんているわけがないし、嫌われない人間もいるわけがない。けれど、平然と正面から嫌いだと言われて多少なりとも傷つく事実は否定できない。どんなに傷つかないと思っていても、負担は負担だ、と私の持論でしかないけれど。

まあ、そんなことはどうでもいい。問題は、どうして目が覚めた与えられた寝室で、隣の部屋から複数の男の声がするか、なのだ。

壮大に現実逃避をしている私を申し訳なさそうな顔で見守ってくれていたナディアは、私の意識が現実に帰ってきたのを確認したのか、そっと手を差し出してくれた。諦めてその手を取る。バルコニーから差し込む茜色の光が物悲しい気分になる。

丁寧な動きで促されて身支度を整える。朝食が用意されているのはあちらの部屋らしいのだが、部屋から出たくない。出たくないでござる!と思わず武士口調で叫びたいくらいには、部屋に籠りたい。服装は可愛らしいロリィタで、日本での年齢を考えると、ちょっと着るのに抵抗がある。以前着たことがないのも、着ていた知り合いが可愛らしかったのもハードルが高い原因だろう。

軽く化粧までしてもらって、お人形的な可愛らしさを追加して、気合を入れて扉をくぐる。非常にむさ苦しい空間が出来上がっている件について、説明を求めたい。

二人掛けのソファーが2つあるのだが、全て男で埋まっている。しかも、外見的に青年以上しかいないことが問題だ。若くてせっちゃんの外見年齢20代前半くらい。クレインス様がその次でだいたい20代後半?だろうか、ヴィクトール様が見た目的には30代半ばで、典医様は30代後半から40代前半。典医様絶対やばい。

一応外見の年齢は設定できるとはいえ、不相応な年齢にはなれないというのが定説らしいことを考えると、それくらいの人生経験は積んでいるはずだ。場合によってはクレインス様とヴィクトール様より年上の可能性もある。

ああ、いけない、また現実逃避をし始めてしまった。


「おはようございます、みなさん」

「おはよう、せっちゃん」


にっこりと笑ったせっちゃんに、おはよう、せっちゃん、と同じように返してから、困惑した状態を表情に素直に表す。眉を下げて、情けない顔をしてみせると、彼らではなくマリアさんが話をしてくれた。

私が王都にとどまるか、もしくは、砦と作った城へせっちゃんとともに移動するか、というものだった。え、なにそれ面倒臭い。

王都に留まれば、ヴィクトール様とクレインス様の正式な婚約者としての云々ということで新しい家を建ててくれるらしいが、私が取り仕切らないといけないとか。まだそんな知識ないですけどどうすればいいの。一応、彼らの家の優秀な使用人さんがいてくださるらしいが、さすがにハードルが高い。っていうか、ハーレムの主ってそういう?

砦に戻れば、今まで通りせっちゃんとの生活になるそうだ。正式に雇ってもくれるらしいので、正直そちらの方が気が惹かれるが、婚約者を放っておいて別の地域で男ーー当然男だけではなく、同性も数多くいるのだが、そこは無視されてしまうらしいーーと暮らしているとなれば、外聞が悪い。結果的には敵が増えることになる。

最後に、どうして典医様がこの場にいるのか、ということなのだが。曰く、己も婚約者にしてくれと言いに来たらしい。昨日の夜会で、ヴィクトール様とクレインス様が揃って婚約者だと発言したことで、私が称号:ハーレムの主持ちだということは知られてしまっているらしい。

ハーレムの主を持っている人以外は一夫一妻、持っている人は一夫多妻もしくは一妻多夫。そして、ハーレムの主は、ハーレムを構成する人間の過半数の賛成がある相手を半強制で受け入れなくてはならないという、子供でも知っている常識があるらしい。なにそれ怖い。私知らなかったんですけど。なんでそんなにハーレム作らされなきゃいけないの。


「ヴィクトール様とクレインス様ともまだ親しくなれていないのに、今これ以上増やすつもりはありません」

「そうかな?あなたの体調を管理することができる医者の存在は、きっとありがたいと思うけれど」


自分の能力を売り込むつもりらしい。ちなみに、本人に入っているつもりがあるかわからないが、一番最初にカウントされているせっちゃんも認めてるらしい。ヴィクトール様は嫌らしいが、私の体調管理という点では必要だと認識しているそうだ。クレインス様はニコニコといいと思うよ?ということで、つまり全員の賛成があるので、私の反対など無意味だったようだ。

うわぁ…。

視線をマリアさんに向けたら、マリアさんが、仕方ないというように私へと提案をする。


「体調不良を理由として、私たちと砦に帰り、証拠として典医様を連れて行くのが一番雪白さんの意思を反映できるかと」

「…マリアさんがいうなら、そうします」


確かにそれが一番わかりやすいし、確実だとは思う。色々突っ込まれたら逃れられない気もするけど、その辺はもうなんというか、権力と勢いで押し切るのが一番だろう。

ナディアが痛ましい目で私を見て来るのだけれど、大丈夫だと伝えるために笑っておく。納得したようなしてないような顔をした彼女に少しだけ申し訳なく思うけれど、正直、これ以上気遣える余裕がない。


「王都で、買い物したい。それで病気になったことにして王都から離れる」


私の言葉にマリアさんがそうしましょう、と頷いてくれて、せっちゃんが行こうかと手を差し出した。

攻略対象が入りまーす

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