表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せっちゃんたちの恋愛事情  作者: くい
どうも、じきまおうのちじんです
29/90

2−11

「…隠蔽なんてできるわけがないだろう」


呆れきった声で言われるが、事実そう書いてあるのだ。不満が顔に出ているのは自覚しているが、隠すつもりも撤回するつもりもない。じゃあ見てやるよと目元にどんどんと魔力を足して行く。

詳細と書かれていた部分から、徐々に欄が増えて行く。基本ステータスとは一体なんなのだろうか、と思いたくなるほどに、つらつらと並ぶ文面にじっと目を通す。やはり、せっちゃんは恐ろしい。いや、きっとせっちゃんだけではないのだろうとは思うけれど、一番近い相手がせっちゃんのせいでそう思ってしまうのだろうか。


名前 セヴィア・レ・グリッター(せっちゃん、次期魔王、セヴィア)

詳細

殺人 あり、基準には足りていない

暴行 あり、基準を満たしている

淫行 あり、基準は満たしている

暴食 なし、基準を満たしている

睡眠 不眠、基準には足りていない

問題 孤独に耐えかねている

関係 友達以上恋人未満

好み 甘味、雪白の手料理、ゴシックパンク

攻略 今のままで良い

障害 特になし

覚醒 人間   あと1億

   エルフ  あと9万

   ドワーフ あと64万

   獣人   あと300万

   魔族   あと20  の魂が必要

 覚醒させますか?(必要数に足りていないので失敗する可能性があります)

 YES NO


絶対途中乙女ゲーム混じってた。攻略対象を見ている気分だった。っていうか、そもそも攻略って欄があった。別に攻略しているつもりはない。

あと覚醒って何。最後の魂が必要ってことは、多分一番上に出てきた殺人の必要数に足りていないっていうことと多分イコールで繋がってる。

色々突っ込みたいところは多い。最初から一つ一つ突っ込んでもいいだろうか。せっちゃんに直接、もしくは私の心の中で。

ひくり、と頰を引きつらせてせっちゃんを見上げる。せっちゃんがどうした?と不思議そうな顔をしている。深呼吸をして、少しだけ気持ちを落ち着かせた。


「見えたもの、話してもいい?」

「…何が見えた?」

「色々。やっぱり後でせっちゃんにだけに聞くことにする。多分、これ普通見えないやつだから」


特に覚醒欄の必要数だろう数字とか。あれが大雑把な数字なのか、正確な数字なのかわからない。わかりたくもない。攻略は適度に進めていかなくては、場合によって私もあの数の消費に入る可能性もあるだろうと思えば、ゴクリ、と喉がなる。

だが、まだ殺されると決まったわけではないのだから、ここで態度を変えるのはおかしい。それに、彼は次期魔王、魔族を統治する存在。魔族を守り、多数のために少数を切り捨てる可能性もある。王として背負うべき命の数は、きっと比ではないはずだ。

問題、というのは、やはりせっちゃんの抱えている問題、だろう。孤独を抱えている、なんて、それはきっと王としての孤独だ。もしくは、神話に出てくる魔王としての。別にせっちゃんのことは恋愛的に好きなわけではないけれど、友人としては好きだ。衣食住を与えてくれた命の恩人でもある。知識だって、何の見返りもなく与えてくれた。

ひとりは、さみしいことくらい、私だって知っている。一人残されることは、もっと辛い。ひとりじゃない状態を知っていれば、もっともっと苦しい。

白い空間のことを忘れられるはずもなかった。思い出さないように、しまいこんでしまっているけれど。あんなこと、忘れられるわけもなかった。最初は自分が消えてしまうのではないかという恐怖。消えて一体どうなるのかわからない状態から、徐々に、自分だけが残される恐怖へと変わった。周りにいた命が全て宝石になって、そして、私は、ただ変わらずに。

無意識のうちに震える体をぐ、と抑え込んで、せっちゃんに笑いかける。ひとりは、さみしい。だけど、手を握ってくれる人がいると、それは、本当に、神の救いにだって等しいのだ。


「大丈夫、だから」


手を伸ばして、その頭を一度だけさらり、と撫でる。目を見開いたせっちゃんに、力のない笑みを向けて、もう一度大丈夫、と続けた。

気を取り直して、自分のステータスをもう一度見てみることにする。だって、せっちゃんのステータスがあんなにも変わっていたのだ、つまり私のステータスだって違うはずなのだ。

そう思って、ステータスを開いた。


基本ステータス

名前 出水 雪白(雪白、せっちゃん)

種族 魔族(神族)

種属 不明

年齢 16

等級 4/100

体力 全快状態

魔力 有り余り気味

称号 孤独を知る者/魔族の少女/料理人/ハーレムの主/(神の一族)

詳細

殺人 なし、基準を満たしている

暴行 なし、基準には足りていない

淫行 なし、基準を満たしている

暴食 なし、基準を満たしている

睡眠 良好、基準を満たしている

問題 自覚がない

好み 年上

攻略 セヴィア  (魔族) 友人

   ヴィクトール(魔族) 知人

   クレインス (魔族) 知人

覚醒 あと1種の種族が必要

   あと2人の攻略対象が必要

   あと5人の恋人が必要

 覚醒させますか?(必要数に足りていないので失敗する可能性があります)

 YES NO


私の悲鳴は、きっと可愛くなかった。わけがわからなかった。神の一族って、私何者になるの。愛の神様には種族的になれないはずなんだけど、どうして攻略対象がいるの。っていうかあと1種の種族って何。2人の攻略対象って何?5人の恋人って何!

なんで暴行が必要なの?暴行と恋人って一体なんの関係があるの?待って、嫌な予感しかしない。知りたくない。気がつきたくない。

好み年上については否定はしないけど、年上にも限度があるよ。私16歳だから。日本にいても35だから。298歳とか年上っていうより、ご先祖様だから。しかも話が伝わってないご先祖様。日本で言ったら1700年代だ。1600年が関ヶ原だと考えると、江戸幕府だ。そんな頃の自分の先祖なんて知ってる人の方が少ないのではないか。少なくとも私は知らない。

半ギレ気味にめまぐるしく自分のステータスに突っ込みを入れてから、ナディアにお茶を要求する。落ち着く香りに包まれてから、一口暖かな、優しい甘さにホッと息をついた。もう一度落ち着いてステータスに目をやる。

どうして、体力と魔力の欄はまだ数字の表示をしてくれないのだろうか。目に魔力をさらに集めても、その表記は変わらない。覚醒したら変わってくれるかもしれないが、失敗した時のデメリットがわからない今挑戦する意味はない。覚醒するメリットもわかっていないのだから、しばらく放っておこう。

カップを机に置いて、気疲れからふかふかのソファーとクッションに体を沈めた。

くそステータスは変わらない

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ