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せっちゃんたちの恋愛事情  作者: くい
どうも、じきまおうのちじんです
27/90

2−09

将軍も丞相も整っていて羨ましいなぁ、などと、現実逃避を続けていたいが、それもここまでのようだ。

甲高い少年の声が本格的に追い詰められている。後ろを決して見ないように気をつけて、せっちゃんに救いを求める視線を送る。せっちゃんはため息をひとつついてから、マリアさんに視線を向けた。先ほどの取り乱した様子を一切排除した彼女は、キリッとしたーーそれはそれは格好いい顔で、女王様へ叫んだ。


「母上、いい加減にしてください!」


まじかー。マリアさんは、王女様だった…?っていう気分だわ。事実なんだけど、なんていうか、理解ができなくて思考が上滑りしてる感じ。一言で表すなら、やばい。私の深刻な語彙力の低下もやばい。

私の様子にせっちゃんが隣で声も抑えずに爆笑している、まじかよ、そんなに笑えんのか。初めて見た。見慣れなくて気持ち悪い。

だが、女王様は、平然ともう下がっていいぞ、とだけ声を張り上げた。先ほどと全く変わらない声の調子と、平然としている側近二人を見て、日常なのか、と納得した。気にしないことにして、眉を思いっきり顰めたままのマリアさんに先導されて部屋を出た。

勝手知ったる、と言いたげな動きで案内されたのは、綺麗に整えられた部屋。扉を開けた先にはナディアがいつでもお茶を淹れられるように準備していた。お帰りなさいませ、雪白様と言われて、正直、感激した。甘えるようにナディアにお茶をお願いして、ソファーに座る。


「どうぞ」

「ありがとう」


緩む口元をそのままに淹れてもらったお茶を飲む。ミルクとお砂糖たっぷりの甘くて幸せな気分になれるお茶だ。ちなみに、お茶菓子はない。お茶菓子がある時はストレートにしている。ジワリと広がる暖かさと甘さに、ホッと息をついて、ナディアを見上げる。

こちらを見ているナディアに、だらしない顔を晒して、告げた。


「ナディア、すごく美味しいよ。ありがとう」

「…いえ」


はにかむのを隠すように笑みを形作った彼女は、すぐにくるりと振り返り、先ほどの表情とは正反対の冷え切った声で威嚇する。誰を?もちろん乙女の部屋の扉をノックもなしに思いっきり開けたせっちゃんと後ろに続く将軍と丞相を、だ。

せっちゃんは課外授業だ、なんて言い出したし、将軍と丞相は話がしたいと、立ち去る様子を見せないので、仕方ないので招き入れる。部屋数の足りなかった砦とは違い、ここはベッドルームがさらに扉の奥にあるようだから、まあいいか、と思っている。せっちゃんと将軍は砦で侵入してきてたし。

席を適当に勧めよう、と思ったが、テーブルと二人がけのソファーが2つ対面で置いてあるだけのこの部屋では、つまり誰かの隣に座らなくてはならないということだ。身長的にも親しさ的にもせっちゃんでいいだろう。本当は上座とかそういうのあるんだろうけど…詳しくないし、彼らなら許してくれるだろう。加えるなら、それで怒って私から距離を置いてくれたらもっと嬉しい。

嫌いじゃないよ?イケメンは嫌いじゃない。けどさ、よく考えて欲しい。性悪(せっちゃん)ロリコン(ヴィクトール様)貧乳教(クレインス様)だよ。本当に嬉しい?あと、彼らは多分、“絶世の”とか冠につけていいくらいにイケメンだったり男前だったり美人だったりする。いうならば殿堂入りレベル。対して私は?多少の補正はあるが、顔は変わっていないためにどう認識したところで中の上か上の下だ。自分の顔には愛着もあるし、当然、贔屓込みだ。落差がありすぎて現実離れしている。

美形は基本的に鑑賞用でいいとしみじみ感じている。あとハグとか体温は好きだけど、キスとかそういう接触はあまり好きではないのもある。そのせいで二次元にハマってオタクと化したのは…ちょっと行き過ぎだったのかもしれないと思うが。今はそんなことはどうでもいいか。

ちやほやされるのは嫌いじゃない。というか、嫌いな人などいるのだろうか?世の中にはそんな特殊な人もいるかもしれないが、私は好きだ。ただ、ちやほやされた後は必ず突き落とされる。突き落とすまでは行かなくても、ちやほや、がなくなる可能性はほぼ十割。それまでのちやほやで慣れていた場合、それに我慢がならない、もしくはちやほやされていても満足できなくなる可能性だってある。後者であれば、それがより周りの人を遠ざける可能性だってあるわけで。全部をひっくるめれば、あまり歓迎されることではない。私だってその末路は嫌だ。

だからこそ、彼らがちょっと適切な距離をとってくれるのに関しては別に構わないのだ。最初はさみしいかもしれないが、そのうち慣れて当然になる。互いの距離を、関係を測るというのはそういうことだ。持論でしかないけど。


「じゃあ、せっちゃん隣でいい?」

「ああ」


目を細めるだけの喜色を見せて、せっちゃんは私の隣に座る。私の正面に将軍、1番目の合う対角線には丞相。


「ではまず、城にエルフがいる理由を説明しよう」


まず、魔族とそれ以外の種族は対立していると言ったな?そう告げられた言葉に頷く。神様の数とかのせいで魔族は嫌われ者なのだと言っていたはず。


「故に、魔族の土地に定期的に勇者や軍が討伐(・・)しにくることも伝えただろう?」

「…つまり、討伐に失敗した勇者や軍?」

「正解だ。彼らを返すなんて真似はしない。が、だからと言って民として受け入れるわけにもいかない。結果が奴隷だ」

「命を奪わない理由は?」

「何事にもタイミングはある…外の技術や情報も取り入れる必要があるからな」


つまり、最適なタイミングがある、ということか。民として受け入れて裏切られるのも困るが、すぐに殺してしまって情報が得られないのも困る。なるほど、確かに奴隷というのは良い策なのかもしれない。奴隷がどんなものなのかわからないので、賛成とも反対とも言えないけど。自分がもしそうなる可能性があるなら全力で反対させてもらう。

そう思って、奴隷とは?と問いかける。この奴隷も神様に対応しているそうで、戦士がわりに戦う隷兵(ファイター)、農業を行う農隷(ファーマー)、読み書きと計算のできる役隷(レイバー)、先ほど女王様のところにいた隷性(フッカー)、荷物運びや配達員の隷荷(キャリアー)、下級の召使いである召隷(リテイナー)の6種類。

基本的には魔法を使って逆らえないようにして、逃亡も防止して、と本当に魔法って万能なんだなぁとしみじみ感じる結果になったのだった。

マリアさんはお姫様

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