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せっちゃんたちの恋愛事情  作者: くい
はじめまして、ゆうしゃのいけにえです
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1ー09

せっちゃんに腕を掴まれて、そのまま砦の中を移動する。どこへ行くのかと思えば、せっちゃんの部屋のいつものソファー。やはり自分の居場所となる部屋が落ち着くのだろう。よく落ち着くと言われているトイレにはさすがに人を連れ込んだりできないし…そもそもトイレは一人でいることで落ち着ける空間だ。人がいたらいろんな意味で落ち着けない。

私がそんなどうでもいいことを考えていると知ってか知らずか、せっちゃんがこの世界の一般常識を教えてくれる。

次期魔王様直々に、と思ったのだが、マリアさんからも、大丈夫ですと太鼓判をもらっている。まあ、常識を知らなくては始まらないからね。ついでに言えば、マリアさんがしようとしていた教師の手配もストップしたらしい。


魔族は嫌われている種族で、基本的に人間やエルフ、獣人にドワーフと対立してる。魔族以外の全種族じゃないかとか思っても突っ込まない。

そして、圧倒的に敵が多いのに滅びてないのは魔法を本当の意味で使えるのは魔族だけだから。

魔族以外にもスキルはあるし、それに応じた技能もあるのだが、魔族が1から100の魔法を使えるとすると、他の種族はよくて1から15。魔力=生命力っていうこともあるから、魔族の生命力が強いのもあるそうだ。寿命が長い分、繁殖機能は一番弱いらしいけど。

一日40時間だけど、体感的には1時間は地球のものと一緒のようだったので、魔族は超長命だ。魔族(平均1000歳)>エルフ(大体500くらい)>獣人(300歳程が多い)>ドワーフ(おおよそ200年)>人間(50〜100)ということで、大体人間が同じくらい、と思ったのだが、一日の長さが違うのでこちらの人の方が長命かもしれない。

種族ごとの特徴としては…魔族は狼の目。エルフは尖った耳、ドワーフは小さな体、獣人は獣の頭…人間は言わずもがな。あと驚いたのが、この世界、種族のハーフっていうのは生まれないらしい。どうやっても、何が起こっても、想い合うことはあっても、子供を授かることができない。

この世界には神様がいて、主神と呼ばれている。その神様に選ばれた神様が長兄神(戦)、兄神(農業)、長姉神(商売)、姉神(愛)、弟神(旅)、末娘神(知恵)。それから、魔法を司る神話の魔王。この辺が神話にいる神様。神話の中で魔法を司る魔王様以外に出てくるのが、この魔王様ーー魔神様、とも言われているらしいーーの子孫の魔王様で“魔神の寵愛”を持っているせっちゃん。彼は将来寿命を全うしてから、魔神様になる未来が定められているのだと神話には書かれている。…そう、この世界の神話はこの世界の人たちに代替わりするのだ。主神は代わらないけれど…魔神様以外はもうすでに10代目前後だそうだ。任期というのかは分からないけれど…1年くらいから長い場合は1000年くらい代わらないこともあるらしい。


…で、ここからが本題。

そもそも私がいた森は他の種族との境目の森の中で、モンスターが多くいるらしい。そんな中にわざわざ城を建てるのは、森の向こう側がきな臭いから。勇者という存在を使って魔族を根絶やしにするつもりかもしれないし、森の向こう側がせめてくるつもりかもしれない。もしかしたら、船で迂回して別のルートから攻めてくる可能性もある。と…つまり戦争になりそうだということみたい。

1番の理由は、魔神様の代替わりは世界の終わりだって言われていることもある。今せっちゃんは300歳で、魔王様らしく大量の魔力があるから、多分確実に1000年以上ーー場合によってはもっとーー先のことなのだけれど、寿命の長いエルフたちや便利なものとして魔法を使いたい人間たちには、そんなことは関係ないのだ。


「わかったか?」

「…多分、大丈夫です」


こくり、と頷く。私の頭を撫でたせっちゃんは言い聞かせるように、外に出るときは誰か一緒に連れて行け、と低く唸る。万が一がありえる世界なのだ。

真面目に勉強していてどれくらい経ったのだろうか、扉がバーンと勢いよく開かれる。


「雪白ちゃぁん!」

「ハーレルさん」


ウキウキとしているらしく、美人なのにほっぺを赤くするという可愛さテクを使用した上で、服装はユニセックスな物を纏っている。そのせいで余計なんかエロい気がする。どうしてだろうか。

私に色気を分けてくれはしないか、と真面目に考えているうちに、やってきたハーレルさんは、私の両手を取った。


「?」

「お買い物行かなくちゃ!二日も同じ服とかアタシが耐えられないわ!」


悲鳴混じりの声をあげて、ハーレルさんはせっちゃんに熱心に語り始めた。いかに着替えが必要なのか、と。いくら魔法で綺麗にしていても、そういうことじゃないのよ!と女性よりも女性らしく、涙さえ浮かべて告げていた。せっちゃんは無言になってから、少し考え込むような動作をする。

ハーレルさんが口を閉じてせっちゃんの様子を伺う。せっちゃんが顔を上げた。


「わかった。私も行こう」

「…仕方ないわね」


やれやれ、と言いたげにため息をついたハーレルさんと、目を細めて笑っているだろう表情のせっちゃんは二人で私の手首をしっかりと掴んだ。突然すぎて怖かったのだけれど、その瞬間ぐるりと世界が回るような感覚があって、気がついたとき私の目の前には不思議な…街並みがあった。

え?と首を傾げて私の手首を掴んでいる二人を順に見上げる。ここは魔王様の足元である王都の服飾街とのことだった。ちなみにここの服飾は長姉神の商売の範囲に含まれるらしいのだけれど…立っているのは魔神様の像だった。さすが魔族の国。

ハーレルさんにどんな服が好みなのかと聞かれながら買い物をする。大量に買うつもりはないのだが、何故かせっちゃんが大量に購入して、購入した端から転移魔法を使って砦の私の部屋に送っていく。そのせいでどれくらい買っているのか私には判断ができない。いらないって言っても買われてたり、欲しいって言っても買ってもらえてなかったりするからなんだけど、これ私の服選んでるんだよね…?

ついつい首を傾げてしまうが、平然とランジェリーショップに入っていくせっちゃんを見て、あ、こいつ絶対童貞じゃないな、と気がついた。ぼっちのくせにリア充かよ小さく口の中で毒づいてから、慌てて店員さんの近くをキープ。これで、私の下着を二人に選ばれるということがなくなるはずだ。なんて公開処刑だ!荒ぶる心を押さえつけて、なんとか乗り切る。

部屋の小物やコートなんかも買ってもらってから、また二人に手首を掴まれてくるんと世界が回った。


「…帰ってきた?」

「ああ」


自分の部屋を見に行こうと、扉を開いた瞬間に、マリアさんが飛び込んできた。

お買い物会

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