71話 手紙2
インフルにかかりました。そのため文章あまり書けず前に保存してたものも貼り付けています。それでも足りず史上最短です。すみません
昼食時にオセロッティアヌとアーネスシス王女について話したからなのだろうか。
シュリルディールがディスクコード邸に帰宅したらケインリーから手紙を渡された。
封蝋のない手紙。
こんな手紙を出すのは1人しかいない。噂をすれば影がさすと言うが、今回はまさにその通りであった。
まだ日も沈んでおらず、夕食にはまだ早い。そんな時間だ。
家着に着替え終え、1人となった部屋でケイから渡された手紙を開封する。
いつも通り
Dear my brother
から始まった手紙は、
これまたいつも通り前世の話やとりとめのない話、そして王城内のあらゆる場所で話題にも上がっているアーネスシスの訪問に関して書いてあった。
とは言え、訪問に関しては概要は噂になる前から聞いていたため、誰が協力してくれ、誰が反対したなどの貴族たちの動向に関してが主である。
凡そ予想通りの貴族たちの動向を頭の中に入れ、From your sisterまで読み終えたところで先程まで文章を追い絶えず動いていたディーの目が止まった。
P.S. If this visit is successful, I'll meet you for the first time.
追伸、今回の訪問が成功したら、私は初めて貴方に会うことになる。
もちろん初めてではないことは両者とも百も承知だ。ここで使用されている「会う」とは公の場、もしくは前回のように隠すことをせずに会うということだ。
その事にディーはすぐに気付いた。
だから最後の文章を見つめたまま固まっているのだ。
その裏にある真意が推測できなかったから。
だが少し考えれば分かる話である。
ディーは顎に手をやり少し考え込むと独りでに頷いた。
「うん、これはもしかすると僕も……
いや、そうであってもそうでなくともそれまでに今の地位をちゃんと確立させておかないとかな。」
そう呟き、手紙を燃やす。
魔法で火を出す瞬間、少し身構えるようになってしまったが、今のところフェリスリアンの火魔法を見たときのようなことは起きていない。
今回も大丈夫であったことに小さく息を吐き、素早く窓を開け、灰を外に出す。
窓を閉めたところで部屋の中に聞き慣れたノック音が響く。
「サニア、どうぞ。」
「失礼致します。ディー様、お手紙が…」
「手紙?」
誰から?と首を傾げたディーはサニアの差し出した手紙に書かれた文字を見てパアッと顔を輝かせる。
「兄様からだ!」
そんなディーの様子に頰を綻ばせたサニアは手紙を渡しそそくさと退室する。退室するときの失礼致しましたの声が明るかったのは気のせいではないはずだ。
アレクからの手紙は考えるような事は書いておらず、現在の領内の様子や上手く行政の仕事を行えていること、ディーへ心配する言葉など様々な事がびっしりと書いてあった。
楽しいことや暖かいことだけしか書かれていない手紙にディーの胸が暖かくなる。
ディーはそっと口端を弧にし、手紙を机の引き出しにしまうと、夕食のために扉の外へ出たのだった。
次回の更新は1月20日21時です




