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3話
信号が変わると篠田が手を放したので、むつは再び車を走らせた。
「宮前君が資料を持ってきたって事は、その資料を隠し持ってた人と繋がりがあるって事ですね?」
「そうでしょうね。そして、わたしが犬神憑きの琴音ちゃんを匿ってる事も知ってますね」
「えっ…琴音ちゃんってあの行方不明の?」
むつはハンドルを握ったまま、頷いた。見せただけの封筒は、むつの尻の下に半分ほど敷かれている。
「当時四歳、今も四歳…篠田さんの写真で確認したままの姿ですよ。本来なら七歳のはずなのに…資料見たいですか?」
篠田の視線が封筒の方に向いてる事を知っていて、むつはわざと聞いた。取ろうと思えば取れるよう、助手席側に封筒を置いているにも関わらず、篠田は取ろうとはしなかった。
「拝見しても宜しいですか?」
むつは体温で少し温かくなっている封筒を篠田に渡した。篠田は、封筒を受け取るとすぐ中身を確認した。
凄惨な現場にも慣れているのか、眉間に皺を寄せる事はあっても目を反らす事せずに、丁寧に読んでいる。




