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2話
「こんな所あったんだ」
人通りの多い道を避けるように歩き、路地に入っていくと鬱蒼と木の生い茂る公園に出た。
「知らなかったか?」
「あんまりこっち来ないから」
冬四郎と腕を組んだまま、ゆっくりと公園に入っていくと。確かにあまり人は多くない。
「向こうの川沿いにベンチあるんだ」
木々の間を抜けると、大きいが整備された都会の川があった。周囲にはビルが建ち並び、きらきらとした明かりが水面に写っている。
むつをベンチに座らせた冬四郎は、すぐにどこかに行った。むつは、猫背気味にぼんやりと水面を見ていた。戻ってきた冬四郎は、むつにペットボトルの紅茶を渡した。
「ありがと」
「やっと、まともに喋ってくれたな」
隣に座った冬四郎は、安心したような笑みを浮かべていた。むつは、それに気付かないふりをしてペットボトルのキャップを開けようとしていた。
「休んで気分よくなったら送ってくよ」
「話あったんじゃないの?」
「また今度な。今日じゃなくても良いだろ?」
むつは冬四郎の肩に頭を乗せた。そして、ペットボトルを冬四郎の顔の前に持っていった。
「開かない」




