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5話
四人が見守っていると、くいしばった歯の隙間から漏れるような声が少しだけ、ほんの少しだけ聞こえた。
琴音の形をした人形から、するっと白い筋のような物が出てくるのが、むつと祐斗には視えた。
その筋のような、犬神憑きはうろうろと京井の周りを回っているが、京井は気付く気配もない。犬神憑きが、困ったように二人を見ている気がした。
困ったように祐斗が、むつを見るとむては、肘で祐斗をつついた。そして、京井の方に向かって顎をしゃくって見せた。
二人はしばらく、互いにつつき合い、顎をしゃくって見せたり、口パクで何かをやりとりしていたが、祐斗が折れたのか京井の所に向かって行った。
「どうしたんだ?」
冬四郎がむつの微妙そうな顔と、振り返りながら京井の側に向かう祐斗とを交互に見ている。




