4話
少しだけ寝るとき言いつつも、むつが目を覚ました頃には日付が変わっていた。
眼鏡もかけずに怠い身体を引きずるようにして、むつがキッチンに向かうと颯介と山上、京井がダイニングテーブルで酒を呑んでいた。
「おはっ…何かあっちこっち痛い」
京井が隣の空いている椅子を引いてくれたので、むつはそこに座った。のろのろとした動作なのは、身体が痛いからなのだろう。
「それにしてもよく寝てたね。俺と祐斗君で2回起こしに行ったの知ってる?」
「知らない。全然気付かなかった」
手で口元を隠しながらも大きな欠伸をしたむつは、目尻に浮いた涙を拭った。そして、ふいに服を掴むと顔を押し付けた。すんすんっと鼻を鳴らして顔を上げた。
「あたし臭い…お風呂入ってくる」
「それならお湯溜めてきますよ。ちょっと待ってて」
「あ、いい。シャワーだけにするよ」
京井が立ち上がりかかたのを制止、むつはテーブルに手をついて立ち上がった。
「なら、ご飯温め直しておきますよ…食べるよね?」
「ちょっとだけ…あたしの荷物は?」
「そこのソファーんとこ」
指を指して教えてくれた山上だったが、よっこらせと立ち上がると、むつのバッグを持ってきてくれた。
「ありがと」
バッグからタオルと着替えを出すと、むつはふらふらと風呂場に向かっていった。




