幕間(苛立ち)
「お帰り。やけに機嫌悪そうね」
「うるせぇ」
「扶養されてるくせにそんな口聞いていいのかしら?」
「うるせぇ!」
「な~に~よ~? 自分の過去でも蒸し返された?」
「……チッ!」
「あら図星?」
「うっせぇ。コーヒーくれ」
「残念、ポットは空っぽ」
「………」
「タバコを出すな。カウンターは原則禁煙。第一お前は未成年」
「じゃあどうやってこの苛立ちを紛らせればいい?」
「物にでも当たれば? 後悔しないならだけど」
「わかってて言いやがる」
「なんちゃって不良、なーんて生きにくいスタンスを貫こうとするお前が悪いのよ」
「なんちゃってとか言うんじゃねえ! あんなクソ共と同類になることはご免こうむってるだけだ!」
「自分の意識はそうでも、世間的には一緒くたじゃない。……で、お前の神経を逆撫でしたのはどんな良い子だったの?」
「下衆の勘繰りに答える義理なし」
「あははは。随分と気に入らない相手みたいね。それがわかっただけでも愉快痛快」
「―――」
「おい、客がビビるから静かに出入りしろ」
『客いねぇだろうが!』
喫煙を示唆する描写が引っかかりそうなので、悔しいですがネタバレ。ここで吸おうとしてるのは電子タバコです(物じゃなくて行為が対象なら無意味な措置)。なんちゃってって言われてるように、所持品で犯罪に抵触することは一切しません