下着泥棒 VS 女魔王
下着泥棒は変態です
変態が苦手な方は戻る推奨
長い長い旅路の果てに、遂に魔王城の最奥の部屋に辿り着いた男がいた
漸く、この手で勇者を屠ることが出来ると意気揚々として女魔王は
「よく来たな勇者よ「違うっ!!!」……えっ?」
「俺は…………勇者じゃない!!!!」
「な、ならば貴様は何だというのだっ!」
「………………」
「聞こえんぞ?」
「下着マスター泥棒!!!!!」
「………………………………はっ??????」
「下着マスター泥棒だっつの!!!!くっそっ!俺だってなりたくてなったんじゃないやい!
くっそ、ふざけた神託のせいで、俺の職業が下着泥棒なんだよチクショウ!!!!!」
女魔王の前に立っていたのは下着泥棒だった
女魔王、何と言っていいのかわからない & 哀れみの表情を投げかける
「……………………」
「その哀れみの目、やめろい!
お前と同じ目をした元幼馴染を思い出すだろ」
「…………元?」
「そ、俺が『天職:下着泥棒』の神託を受けた瞬間に、元になったんだよ!
神託を受ける前までは、『お互い天職が何であっても一緒にいようね』とか言ってた人間が神託の瞬間に掌返しだからな?
友達も一瞬でなくなったからな」
「その……まぁなんというか
…………しかし、お前は1人でこの魔王城を突破してきたのか?
その……勇者は来ていないのか?」
「あー、その勇者なら2年ほど前ぐらいにゲイになって、今は爛れた生活をしているんじゃないかな?」
「………………は?」
「知っていると思うがその勇者パーティにいた、女僧侶、女魔法使い、女戦士はそれぞれ、レズ、結婚、婚活パーティで忙しい」
「………………は?いやいやいや、ちょっと待て、何でそんなことになっている?」
「ん?知らなかったのか?魔王軍、情報疎いのか?情報大事だぞ?!
まぁ、本当は彼らがここに立つのが普通なんだろうけれど、まぁなんだ?
ぶっちゃけると、散々好き放題に馬鹿にされたもんだから、ストレスたまってついやっちゃった☆
まぁ皆幸せだからいいよね?」
「えぇぇぇぇぇぇ???
ってか、勇者は私の選りすぐりでもかなり苦戦したんだぞ?
たかが人間のお前がどうこうしたところで何とかなるとは……」
「まぁ普通に考えたらそうだわな
だから、寝ている隙に魔力を封じて、手足を封じて、後はその手の人にぽいっと渡した
そしたら、なんかゲイとして目覚めた」
「………………他は?」
「まぁ皆、勇者のことが好きだったから、勇者がゲイになった時点で半壊状態
女僧侶は禁欲的に生きているところをまぁ、その手の人にお願いして堕落させた
今ではその人をお姉さまと慕っているらしい
パーティがそんな状態だったから、女魔法使いには素敵な男(職業:商人マスター)を紹介した所、即ゴールイン
その幸せそうな女魔法使いを見て、私もと言って女戦士は婚活パーティをはしごしているわけですよ?
まぁ女戦士に関しては、貯金なし、料理できない、酒豪等々の理由によって、結婚はかなり先になるんじゃないかと思うがな」
「………………お前、悪魔やな
ってか、女魔法使いだけ何でそんなに優遇しているんだよ?
まさか好きだったのか?」
「魔王のお前に悪魔とか言われたく無いやい
女魔法使いはまぁ色々と世話になったからなぁ
好きは好きだけど、愛ではない
ってか愛だったら俺が結婚しているし
ってなわけで、俺には友達も幼馴染も頼れる人もいなくて、ぼっちで此処まで来たの
長い旅路の中で、ゴブリンを狩り、オークを狩り、サイクロプスを狩り「ちょっと待て」……何?」
女魔王には今の言葉で懸念点があった
先ほど言っていた3種族からの大量に来た、下着の支援要請が……
「今、ゴブリンに、オークにサイクロプスを狩ったって言ってたが……
まさか、彼らから腰布やらパンツの支援要請が来ていたのは……お前の仕業か?」
「あー……多分、彼らを倒したときに腰布やらパンツやらを拾ったなぁ
うん?それでどうして、支援要請が俺のせいになる?」
「お前……腰布らが自然に生えているとでも思うのか?
我々モンスターが死んでも、期間がたてば自動で復活はする
……復活はして、装備品も奪われなければ継承される
……そう、奪われなければな
つまり、下着泥棒のお前が倒したせいで下着だけ奪われて……」
「もしかして、戦い続けていたら全然モンスターが来なくなったのって……
復活しなくなったのじゃなくて、……全裸で外に出れなかっただけ?」
「そうだな
……ってか最近下着関連で財政圧迫してきたのはお前せいか!!!!!
死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
瞬間的に、切断魔法を放つ女魔王
放った瞬間、女魔王は「こいつ、これでぶった切ったら年間300万にも及ぶ下着経費がなくなる、ラッキー」と思ったそうな
それはとてもいい笑顔だった
さて、放たれた切断魔法を間一髪で避ける下着マスター泥棒
いや、髪一本切れた
齢30超え下着マスター泥棒の貴重な髪が……
これはたまらないと距離を取り、柱の陰に隠れる
「今のを避けるとは……お前、結構凄いな
どうだ?私の部下になる気は無いか?」
「こっちの仲間になれば下着代がかからないし、いいかも」とか思い懐柔策に出る女魔王
「だが、断る」
「何故だ?先程の「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」はいわばテストみたいなものだったんだよ
まぁちょっと殺傷能力が高かったのは悪かった、謝る
ほら、お前も人間側にその職業で疎まれているんだろ?
な、な、だからいいだろ?」
「確かに人間側にいい感情を持っていないのは事実
だが、女魔王、お前らにもいい感情は持っていないんだよ!!!
お前らなんで暴れたんだよ!?
お前らが暴れなければ、こんな神託による天職システムとか無かったかもしれないだろ?
ってなわけで、お前らの無力化をさせてもらう
後、さっきの不意打ちで俺の貴重な貴重な髪が一本お逝きになった恨みもあるし」
柱の陰から高速で女魔王の後ろに回りこむ下着マスター泥棒
黒い布が巻かれた拳で女魔王の体を攻撃をあてる
と、同時に下着マスター泥棒、『スキル:ショット拳』…1Hitを10Hitsダメージ1.1倍、及び『スキル:下着ドロ』…1Hitで判定、確率で下着ドロができる、を使用
そう、手数を増やして下着を盗もうとする
ちなみに下着マスター泥棒は28歳になった時から、開き直り、己の天職を受け入れてその手のスキルを使い始めていた
下着マスター泥棒は己の攻撃があたった感触を得、即座に距離を取り、掌を見る……何もつかめていない
10Hits全てにおいて『スキル:下着ドロ』不発
そして、下着マスター泥棒は『スキル:下着ドロ』のドロ率UPのため、2つのスキルを使用する
『スキル:下着アイ』……下着だけが視える、色、形等がわかる、と『スキル:下着アナリシス』……素材、メーカー等々がわかる、を使用した
「ふむ、赤色にB……ふむ、美しい形だな、足も細くて何より
女魔王は美人だしスタイルもすらっとしていて、うんモテモテだろ?
そして、綿ってこれって超レア級の綿花からしか取れないヤツか、のへー……インナービューティ社製の下着か
……最高級じゃないか?ってことは今日は勝負下着をしてきたのかな?
悪いな、折角勇者が来るかと張り切っていたのに、下着マスター泥棒の俺が来てさ」
「な、ちょっと……
何視ているのさ」
「いや、もしかしたら下着を履いていない可能性もあったもんだから、確認の為にスキルを使わせてもらったよ
履いていて安心したよ
これで堂々と女魔王から、下着をドロできる」
そこからまた高速で女魔王を攻撃しようとする
しかし、女魔王による切断魔法の乱れうちにより、再度距離を取る
女魔王は速度特化は大抵、小さいのを一発入れば大ダメージになると考えて、質より量の作戦に出た
そして、この下着マスター泥棒と女魔王の攻防が約30分続いた
この長い攻防の結果、下着マスター泥棒は遂に女魔王のブラとパンツを手中に収める
だが、その代償も大きかった
一体に水を撒かれて動きを止められたところに無数の切断魔法を放たれて、致命傷は避けたものの無数の傷があちらこちらに……
そして何より、髪が……面白ヘアーカットになってしまった
「お前のブラ、パンツは俺の手中に収めた
降伏するなら今のうちだぞ?
降伏してもう、人間を襲わないって誓うなら、これ以上恥ずかしい思いをすることなく終わるんだけどなぁ……」
「そちらこそ降伏する気は無いのか?
今なら、高待遇で受け入れてやるぞ?
これ以上やるなら、髪がどうなるか保障はできんぞ!?」
「そうか、残念だ
ならば、下着マスター泥棒の全身全霊を掛けてお前を無力化する!!」
そう言って、手中に収めたブラを頭に結びつける
その上に被せる様にパンツを頭の上に被る
そう下着マスター泥棒の『スキル:下着装備(全身)』……下着を全身のどこにでも装備をすることができる、の恩恵を得るである
こうして、下着ハットを装備した下着マスター泥棒
それを見た女魔王の反応は当然、
「へ、変態だぁぁぁぁぁ!!!!!」
「下着マスター泥棒に何を今更
……後それをいうなら、ノーパン、ノーブラでもまだ戦おうというお前も負けていないと思うんだが……
さて、ここからはこれを使わせてもらう」
そう言って取り出したのは、1本の赤色のダガー
「なんだそれは?
色々な宝物を見てきた私でも知らないぞ」
「一応は神具:ジェロイジダガーって名前だ
まぁ言っておくと、ダメージ与えられないが壊れない武器だ」
「……それが何の役に立つというのだ?」
「防具破壊に特化した武器
ダンジョン攻略した際に、神様のジジイがこのダガーになってだな
まぁダンジョンにはエロトラップとかばかりだったから察してはいたんだが……
さて、もう一度降伏勧告をしよう
降伏するなら、何もしないから
お前が人間を襲わないって誓約だけでいいから」
「ふん、断る」
「そっか、まぁ降伏したくなったら言ってね
まぁ、その時は何もしないって保障はできないけど……」
そしてまた、下着マスター泥棒は高速で走り出す
今度は前と比べ物にならないくらいの速度で
虚を突かれた女魔王、急遽結界を張るがすり抜けられ、一閃を貰う
下着マスター泥棒の宣言どおり、ドレスが攻撃された所を中心にその部分がなくなっていた
下着マスター泥棒の戦い方はいつもどおり、一撃離脱
離脱した瞬間に、女魔王は何故下着マスター泥棒が急に速度が上がったのかを考える前に、全身に防御魔法、全反射を自身に掛ける
そして、速さに目が追いつけないならと、全方位で魔法を展開する
それこそ逃げ場も無いくらいに
だが、自分の城は壊れども、下着マスター泥棒の死体が見つからない
風魔法による探知を行うが……気配が無い
女魔王が警戒しているところに小石が投擲される
全反射による防御があるため、その小石を無視し、投擲先に切断魔法を放つ
だが、手応えが無い
投擲された小石が反射した瞬間にどこからともなく下着マスター泥棒が現れ、小石が当たった場所と寸分違わずジェロイジダガーの攻撃を繰り出す
反射の弱点、一度反射されると解除され、再度反射できるまで時間がかかる、を突いた攻撃である
ただ、女魔王の魔力だと、再度反射ができるまでの時間は0.1秒……それをくぐりぬけてドレスに攻撃が当たる
結果、ドレスブレイクによって、おへそがちらり
「何故だ?何故攻撃が当たらない?
それにその速さはなんだ!?さっきまでの戦いは手を抜いていたというのか?」
「戦闘中にそれを教える馬鹿が……いるんだなコレが
俺、美人のお願いには弱いの
んで、先ずこの速さはこの下着ハット……あ、女魔王のブラとパンツね、を装備した為に能力が上がったんだよ
うん、いい素材で作られているから大幅向上
女魔王がつけていたためか魔力量もかなり蓄えられているみたいだし
ちなみに下着ハットの能力値は素材とつけていた人間の魔力量によって決まるからこれは性能として今までで一番だよ
流石だね」
「…………な!?」
「んで、気配を消すのはまぁ下着マスター泥棒の嗜み
攻撃が当たらないのは『スキル:壁抜け』のおかげだね」
「『スキル:壁抜け』??」
「そ、壁しか抜けれないと思われがちなんだけど、壁だけじゃなく、魔法等々何でも抜けれるんだよねぇ
正確に言えば自己存在率の低下か何かだったと思うけれど……
難点なのは長時間の使用すると危険なところと、解除してから再度使うまでのクールタイムが15秒必要なことかな?
ってことで種明かし終わり
どうかな?そろそろ降伏してくれない?」
「断る!」
「そっか、残念」
そう言って、また下着マスター泥棒が消える
それに対抗するため、女魔王は切断魔法を各所に設置する
しかし、それを予想していたかのごとく、下着マスター泥棒は戦闘で出来た瓦礫を設置トラップにぶつけ解除する
そして、足元から太もも、お腹と次から次へとドレスブレイクをする
女魔王、最終手段とばかりに空間全部に重力魔法を使用
クールタイム待ちの下着マスター泥棒、気配遮断と超高速で動き回っていたが、地面に叩きつけられる
好機とばかりに、下着マスター泥棒に最大級の魔法をぶつける
「やったか!?」
土煙が静まり、女魔王が見たのは……
「サキュバス?」
自分の部下のサキュバスであった
「どういうことだ?私の部下であるお前が、何故この者を庇う?」
「どうもこうも、昨日彼と戦って……後はわかるでしょ?
女魔王様の部下だったのは昨日まで、今日からは彼がご主人様」
くねくねするサキュバス
そして、サキュバスを撫で撫でする下着マスター泥棒
そして、女魔王は気づく
サキュバスがいつも下着姿出歩き回っているときは黒だったのに、今日は白になっていることに
そして、サキュバスの頭を撫でている下着マスター泥棒の手につけている布が黒いことに
「まさか……」
そう、サキュバスの下着を『スキル:下着装備(全身)』によって、手につけていたのだ
そして、代わりにサキュバスに白の下着をプレゼント
「女魔王様はもう魔力が残っていないんでしょ?
だから立っているのもやっとなんでしょ?
もう戦闘は女魔王様の負けだよね?」
そう言って、サキュバスは固有の空間魔法、ピンク部屋を実施
辺り一面がピンク色に染まる
「待て、貴様ら
私に何をするつもりだ」
「何って?元上司の貴方に素敵な世界を招待しようかなと」
「早めに降伏すれば何もしないって言ったのにそれを無視するから」
そう言って、にじり寄ってくる2人
そして、2人に手を掴れる
「くっ、ころ……「美人を殺すと世界に大いなる財産が失われるので却下です~」」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
こうして、サキュバスと女魔王と下着マスター泥棒の狂宴が始まった
女魔王が目を覚ますと、下着マスター泥棒が朝食を作っていた
頭には下着ハットをつけたままである
実に変態である
ちなみにサキュバスはまだ寝ている
「お、起きたか?おはようさん」
「あ、おはよう」
「朝食、女魔王も食べるか?」
「あぁ……何も薬とか入れて無いよな?」
「しないしない」
サキュバスを起こし、3人で朝食を食べる
朝食中に、女魔王は下着マスター泥棒に問う
「それで、これからお前はどうするのだ?」
「?」
「私はお前に負けて、もう人を襲わない誓約をした
これでお前の旅の目的を果たしたと思うんだけど……今後どうするのだ?
その、お前に負けたことで人を襲えないし、女魔王としても廃業だから、そのお前についていこうと思ってだな……
それで、次どこへ行くのかなぁと……」
「サキュバスは?」
「ご主人様が行きたいところであればどこへでも」
「う~ん、そうだねぇ
今更、王国へ報告しても「下着マスター泥棒風情が何を言っているんだか……」とか「勇者の手柄を独り占め」とか言われるんだろうし……
地位とか名誉とかもどうでもいいしなぁ
だとしたら、神のダンジョン巡りかなぁ」
「ダンジョン巡り?」
「そ、ほら、ジジイの神様がダンジョンにいて、神具になったじゃん?
ってことはだ、俺に神託を与えた神もいるかも知れないじゃないか
なら、神託を与える神に会ってお尻ペンペンしようかなって……」
こうして、下着マスター泥棒と、サキュバスと、元女魔王の奇妙なパーティの旅が始まった
なんでこんな変態を思いついたんだろう……
楽しんでいただけたら幸いです




