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AT&D.-アタンドット-  作者: そとま ぎすけ
第一章   ストライクバック
2/162

エクスペリエンスリドル

「新入りさんだねイラッシャイ!」


 酒場のオヤジが話しかけてきた。多分この店の店主だろう。

 店自体は暗く澱んだ雰囲気に満ち満ちていて、店主の明るさに違和感を覚えるくらいだ。ダンジョンと大差ないとの言葉が頭をよぎるが、そのダンジョンから出てきたアー達は言葉を否定した。


 ―――ダンジョンよりは百倍マシだ。


 「やっと戻ってきたかゴブリンキラー。あんたにしか頼めない話があるんだ」

 !!!

 ツッコミどころは満載だ。言った店主も自分の言動に首をかしげている。


 (アーさん…あの顔はやばい時の顔…)


「その話は後で聞く。まず、ステータスが確認したい。それと銀行」

「あっ、ああ。まずはこいつだ」


 そう言って店主は二人にスクロールを渡した。

開いて見るとそこには予想していたステータスが記載されている。


「改名はどうやる?」

「改名って馴染んだ名前を、コロコロ変えるのは感心しないな。なんか理由があるなら聞こう…」


 話が長い!


「理由は二人共暫定の名前だ。早急に頼む」


 言葉に焦りがあった。後ろの客がこそこそと動き出す。


「なるほど、ほいっと」


 スクロールの名前の欄にカーソルが現れる。それを確認すると指を当てて変更した。


 《群党左門芝瑠璃 戮丸》


 それがアーの新しい名前だった。


 《シャロン》


 そして、夏樹の新しい名前が決まった。


「確かに笑えるけどさぁ慌てて隠すようなもんじゃないんじゃない?《ああああ》さん」

「シャイなんだ。そっとしておけ」


 スクロールを開いてわかったが、開いている間は頭上に名前が表示される。開いている人間の目にだ。野次を飛ばしてきたのは****戦士で5レベルらしい。


 ざっと見回しても戦士系の職業のものが大半でレベルは高いものでも8。


「あとは銀行だったね。預かるよ。手数料は10%。アイテムも預かるそっちはタダだ」


 そう言われて戮丸は戦果をカウンターに置いた。


「ところで、これは二人で稼いだもんなんだが…その内訳はどうなるんだ?」


 分配は済ませたが、より分けはまだだった。戮丸自体がかき集めた小銭もある。分配は小数点以下の数字もきっちり別れたが、実際は小銭に換金しなければ割り切れないだろう。金貨だけでも350枚逐一数えて分配するのはちょっと骨だ。


「こりゃすごいね。新人でこんなに稼いできたのはあんたが初だ。信じられんよ。内訳は心配しなくていい。ダンジョンから出たとき《イニシャライズ》しただろ?自動的に振り分けられる。名前が書いてあるようなもんだから、他の奴にはどんないいアイテムでも無用の長物だ。だからこれは預かれない、大事に持っておくことだね。どうしてもっていうならパーティ倉庫があるが、こいつは全員いないと引き出せないんだ」


 そう言って保留にしたアイテムを戮丸に返した。


「鑑定してからって思ったんだが…鑑定はどこで」

「全部うちで引き受けるよ。というより10レベルまで街に出れないんだ」

「気になる鑑定代を教えてもらおう」

「一律金貨1枚」

「乗った」


 そう言って未鑑定品を押し返す。


「戮丸さんの口座でいいね。で・・・」


 と、店主が小声になり手招きをする。


「大きな声ではいえないんだが、こいつは鑑定できない値段が違う」


 小汚い手袋をさしてそう言った。


「いくらだ?」

「金貨200枚ユニークアイテムだ」


 !!!


「…レアとかホロとかじゃなくてか?」

「正真正銘、世界中でこれしか存在しない。誰も持っていない。神話級の一品だ」


 戦慄が走った。冗談交じりに言ったが真逆あるとは。ネットゲームのユニークアイテムと言ったら都市伝説。誰もがその話題を一度はするが、誰も現物を見たものはいない。


 それでもなんとか堪えた。

 …戮丸はだ。


「うっそー!」


 シャロンの声が店内に響き渡る。



 おなご?

 おなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなごおなご。


 「うるっせェー!」


 店内の酔客のほとんどが起き上がり、次から次への質問攻勢。言ってる内容を意訳するとこうなる。ゾンビ映画もかくやの如し。


「こんなんで普通はどうやってるんだマスター!」


 怒りに任せて陸丸が怒鳴る。


「個室を取ってもらってそこからやるんだよ。あそこにもカウンターがあるしね」


 この異常事態にマスターは平常運行。


「それはどこだ?」

「そこの扉。パスかけて使ってくれ」


 戮丸はシャロンの腕を掴んで人波を掻き分ける。


「戮丸さん開かないっ!」

「お代は銅貨10枚」

「金とんのかよ」

「金貨はお釣りに困るので銅貨で払ってね」

「あ・ほ・かっー!!!口座につけとけ」

「まいどー」


 シャロンは慌ててパスを設定する。




「この童貞、君になら捧げても構わないっ!」


 どっかの馬鹿が叫んだ。


 …プツン。


 コ・ロ・ス。


 地響きのような声が響いた。


「ゴブリンキラーは30体以上のゴブリンをソロで殺した者に贈られる称号だ。殺ったね戮丸」


 思い出したように店長の声。


「それと、ここでは武器は違法で職業やレベルの補正は受けられない」

「ツマリスデゴロッテワケダ。ジャアマケネーナ。マスターコロシハ?」

「自己判断・自己責任で計画的にやってね。あくまで武器・薬物・魔法による危険行為を禁じているだけ」

「パーフェクトだ。ウォルター…」


 店内は押しつぶされた沈黙で支配された。


「そこの。名前は?」


 先ほど馬鹿な発言をしたイケメン(日本製ネットゲームなのでブサイクを作るほうが難しい)


「な・なんで…?」

「リスキルできねーじゃねーか」


 ヒィッ!


「レイプ魔の前口上には…最高に!飛び切りにっ!!イカしてるじゃねぇかッ!!!」


 !!!!


「…名前…ハリィ…ハリィ…ねぇのか?じゃあ今日からてめぇはレイプ魔だ」


 一歩一歩近寄る戮丸の手は拳に変容した。ただ、握っただけとは明らかに違う変貌。


「戮丸!」


 …歩みは止まった。


「もう部屋に入ろ?ね?」


 そして戮丸は黙ってシャロンに従った。たった一言「覚えた」の言葉を残して・・・


 




「大丈夫?」


 シャロンは戮丸に声をかけた。戮丸は部屋の真ん中で天井を見上げ…深い深呼吸とともに大きく息を吐いた。


 「面目ない。頭の中で考えてたこと全部吹っ飛んじまった。…手間かけたな」


 そう言って椅子に腰をかける。深くだ。今のできごとは戮丸にも大きなダメージを与えていた。


「なにか、あったの?」


 ん?


「…昔な。そういう被害者拾ってな…あの時もひどかったよ」


 戮丸らしい。短い付き合いだがそれぐらいは良くわかるつもりだ。

 この人はそういう星の巡りにある人なのかもしれない。


「一晩中警察やら病院やら走り回って、各方面に説明してさ」


 うわ言のようにポツポツと話す。


「大変だったんだ…」


 目に浮かぶようである。


「その落ち着き先の警察で、その子はセカンドレイプにあいました」




 


 言葉が出なかった。この人はどう思ったのだろう。《申し訳なくて頭が上がらない》そんな言葉を私にも言った。


「そこで暴れちまってな…おまわりの野郎が似たようなことを口走ってたんでな。俺も前科1犯だ。」

「記者どもは正義だなんだで煽りたてて、新聞にデカデカとその事が載って…片付けたのは被害者の娘だったよ…もう忘れさせてって俺の足を掴んでな」

「足に当たる膨らみが柔らかくて困ったよ…自分が殺したくてしょうがなくなる」


 はぁ…と深く息を吐いた。

 戮丸の華麗な三段落ち。彼がどうとか以前に彼の前でそんな発言をする人間が現れたほうが…どうかしている。


「なにか…飲むか」


 テーブルの横に付いた小窓があるこれがカウンターか?それを戮丸は開けてみせた。


 


「やっと開けたか!!戮丸お前ってサイッコーだな!スカッとしたぜッ!」

「マスター?」


 KYなマスター参上。


「ガルドって呼んでくんな兄弟!常々ッ!奴らが光りもん抜いてくれるの待てたんだ。撫で斬りにできるからなッ!それお前…今じゃ水ぶっかけられた犬みてぇになってる」


 (893か、己は?)


「取り敢えずエールと喰い物…このマンガ肉ってのとサラダ」


 戮丸は平常運行。


「あいよ!お待たせ」


 用意してあったかのような早業。調理する必要がないのでそれもそうか。


「は…初めて見た…」

「お、おう」


 現実には存在しない料理、マンガ肉…幾多のものそれに挑み、ぶっちゃけこうじゃないよね。との言葉を飲み込まずにはいられない料理。それがマンガ肉。


 その圧倒的な存在感…はもういいか。


 「食べる?」「え…ああ…いや…」食えという方が無茶だ。カブリつくには曲面が大きすぎるし、なぜか毛が生えている。

 「喰いづらいな」そう言って戮丸は肉をナイフで削ぎ落とした。口をつけていない方の表面を削ぎ落としスライスする。


 (シシカバブー?)


 それを皿にのせて「喰う?」と聞いてきた。皿にのせたハムのようなもの、断る理由はない。食べてみるとまさに《肉》といった味で、不味くはない。戮丸はガツガツと食っている。見た目どおりの健啖家だ。

 シャロンは手を止めた。焼き方が杜撰すぎる。


「岩塩ないか?」「あいよ」とだされる。彼は食卓でもヴァイタリティ溢れる冒険家なのだろうか?


「ガルドさんも何かあったの?」

「ああ、そうさな。俺らにだって好き嫌いはある。やつら、うちのコンパニオンみんな食っちまった」


 ドラ猫の悪さをいうような軽い口ぶりでガルドは言った。


「そんな治安悪いの?」

「ひどいね。マネキンだろって次から次へと、昼夜の区別なく所構わず盛りまくってひでぇもんだよ」

「飯がまずくなる話だ」

「何がひでぇって、教育上よろしくないってお取り潰しくらって、うちのお店は男パラダイス」

「…呆れてものも言えんな」モグモグ。


 (どれだけ飢えてたんだろう?)


「ま、ここだけの話、うちらNPCにもイニシャライズってあってね。それを強制的に行う行為でもあるんだよ」

「思った以上にひどいな。あ、ワインをひとつ。出来るだけ上等なの」


「あいよ」そう言って出されたワインをグラスに注ぎスッとシャロンの方に出す。


 自分もグビグビと喉を鳴らして飲む。「これはうまいな」との感想。

 シャロンも飲んでみた。「ホント、美味しい」戮丸は味覚異常者ではなかったようだ。


「なんでソレがひどいの?」

「こう言うNPCの精神構造は人間より脆い。不感症だから強く見えるが、論理矛盾には一発で発狂ってのがセオリーだ」グビ

「そうそう、戮丸の言うとおり。さらに言えば、記憶かな?毎回初期化してるんだよ」

「AIにとって命より大事な情報だ。白紙の手帳はいくらでも量産できるが、使い込んだ手帳はそうはいかない。ティッシュ感覚で使い捨てられて、その挙句いなくなった」コト


 会話が途切れた。ガルドはパイプをくゆらせている。戮丸はお腹をさすって「食ったー」と一息ついている。この二人が無理しているように見えるのは何故だろう?


「で、奴らなんであんなに食いついたんだ?」


 戮丸は思い出したようにガルドに聞いた。


「変態だからじゃないの?」言ってからシャロンは口を押さえる。いくらなんでもひどすぎたからだ。


「まぁ…何というか…わかってないんだよ」


 戮丸はバツが悪そうに応えた。


「そういう物なのか?」とガルド。


 AIの彼には知識で知っていても感覚はわからないらしい。

 戮丸が言うにはそういう流行りらしい。下品な言動の連呼、一般常識ではまずしない。


 それを、ゲーム世界で行う。つまりタブーを犯す開放感。


「障子の張替えって言ってわかるか?そういう流れがネットにはあるんだよ。匿名性もそれを助長している」

「ああ」と二人は納得した。


 障子というのは木枠に和紙を貼り付けただけのもの。セキュリティとしては最悪の部類だ。だからか、障子は美意識・常識によって守られている。

 そのセキュリティの低さから、絶滅しかかっている。インテリアとして使われるので障子自体を知らないものはいないと思うが、その張替えなんてものはやる機会がない。

 その張替えは子供にとって人気行事だ。綺麗に剥がせるような代物じゃないから水をかけてひたすら突き破る。それがいたずら小僧には堪らないのだ。

 ただ、張替えと言うだけあって綺麗に剥がさないといけない。次に綺麗に貼れない。子供に突き破らせて、後は大人が綺麗に磨く。


 その説明でふたりが納得したのが逆に意外だった。


「ま、一人で3枚も張り替えれば、ただの面倒な仕事だって思うがな」


 そこに、集団による熱狂効果で歯止めが利かない。


「更に、被害者の視点、自分のモラルへの過信・・・」

「俺のケースでも、3人目の加害者は俺だ。レイプしなかっただけの話で」

「・・・それって違うんじゃない?」

「そりゃ、男の俺には判断つかないな。していい内容じゃない。自分も被害を少なからず受けた。その対価を被害者の体に求めていたのは否定しないし・・・ただ、彼女は泣いていた」


 シャロンは戮丸のその言葉は聞きたくなかった。


「俺は奴らと同じだ。ただ、諭吉を握り締めて夜の街を歩けば、それ以上の経験はできる。それを知っていただけの話だ」

「半分は同じような奴らだと思うぜ。その次がまた半分。ただ、一人でもいれば事は起こる。あの連中で真性の奴は本のひと握りだと思う。ただ、そいつが一線を超えれば全員が・・・感染する。リアルじゃねぇからな。辞めた方がいいと思うぜ。体に傷が付かないだけだから」


「・・・ふむん。女性プレイヤーが減るのは有り難くはないが、そういう事情ならやめた方がいいかもな」


 と、ガルドも賛成する。


「ガルドさんにガードをお願いできないの?」

「そりゃ、NPCがPCに干渉するわけには…」


「名案だな」とガルド


 !?


「うん、名案だ。依頼か…考えなかった。多分、運営にも通るなその考え。煮詰めなきゃいかん」

「マジか…」

「でも、ガルドさんが負けちゃったら…」

『酒場のマスターはラスボスより強い。これ常識』


 それから3人は話を煮詰めた。まず、HELPに応じてガルドの参戦。これで細かい状況は対処できる。そうなると、HELPが出せない状況がネックになる。薬物の対処法などが上がったが、薬物自体がアウトだそうだ。魔法も同様。別の項目でガルドが参戦する。


 それでも心配との事で「自由意思の阻害」の項目が加わった。

 自由意思自体は、ゲームの肝なので強制することはできないが、「自由意思阻害」の行動をとった時にガルドが参戦する。これは、運営に新規項目として追加してもらわないといけないらしい。


「クエスト化ってのはどうだろうか?」

「難しいな。アビューズ行為に使われる可能性が高い」

「どうゆう事?」

「うむ。もし加害者と被害者がグルだった場合。無限に金稼ぎや経験値稼ぎができてしまうってことだ」

「違反行為なの?」

「ゲームなんだからゲームをやってくれってことだ」

「まぁ、そのほかの弊害もあるな」

「どんな?」

「いや、恋人同士だった場合。嬉々として取り締まる奴が出るぞ」


 世の中いろいろな人がいるようで…


「まぁ、運営に挙げておこう。うまい手を考えてくれるかもしれん」


 そう言ってガルドは手続きをしたようだ。


「あ、それとな戮丸。頼みがあるんだ」

「ゴブリンキラーがどうとかか?」

「ああ、それもあるんだが、これは俺、個人の依頼でな」


 ガルドが高度なAIだというのはわかった。とんでもない技術力だ。そのAIからの依頼というのは興味があった。



「イニシャライズをして欲しい」

「はいい?」




 ◆




「イニシャライズ?」


 戮丸は口に含んだワインを盛大に吹いた。


 シャロンは様子を見ている。

 シャロンは様子を見ている。

 シャロンは様子を見ている。

 シャロンは嬉しそうだ。


 ・・・業が深い・・・


「・・・お前のか?」


 戮丸は問いかけた。聞き間違いであってほしい。


「いや、俺のは無理だろ。システム的にも、うちの店員だ」


 ・・・ふぅ・・・


「・・・お嬢さん!?」

「違う違う。お前中心に考えるな。俺はウチの店の子を店に出しやりてぇんだ。お前の所有物になれば、お前の指示で店の子が守れるんだ」


 戮丸はようやっと理解した。

 ・・・理解・・・した。


 シャロンは蟲を見ているようだ。


「ホント?また一緒にお仕事できるんだね」


 といって、少女がガルドに飛びついた。ガルドの後ろに数人の女性が見える。


 いずれも美女だ。

 短い髪をの少女、目鼻立ちは整っているものの美少女とは言い難い。でもだ。その明るい性格と仕草に好ましいと思うものは多いだろう。ティナ


 一人はスラリと伸びた黒髪、凛々しいと呼ぶほうがいいか?あと数年経てばそう形容されるだろう少女。ミシャラダ。


 短髪で前髪が片目を隠している。褐色の肌を惜しげもなく露出させている女冒険者ふうのキスイ。


 残りふたりは超ド級の美女アリューシャとベイネスだ。


「おいおいおいおい」


 戮丸はあまりの展開についていけず、言葉というより録音再生のような音を口からこぼす。


「あら、この方が新しいマスター?」


 薄い金…プラチナブロンドっていうのか。髪はすごく細い。紗の薄絹のように見えるそれは嬉しくてしょうがないと舞っている。


「優しくしてくださいね」クスクス


 戮丸はビクンと硬直した。


「からかってはいけませんよ」


 ベイネスはいった。

 その黒髪は緩いウェーブがかかっていて、その艶も相まって黒い液体のように見える。

 その目には柔らかい微笑みを宿して。


 性犯罪者の群れでモラルを叫んだ獣には…


「どんな拷問だこれはっ!」


 戮丸の目は焦点を結んでいない。ギリギリの線のさらにギリギリの1mm。そこで叫んだ。


「いや、やる必要は無いから…」


 とガルド。


「―――あ・う・あ・そうだよな…ああ…そうだ。そうでなくては…ハハッ」

 それはそれで血の涙である。


 シャロンは圧倒されていた。

 あの暴動も頷ける。同性ながら居るだけで目に嬉しいとさえ思った。


「で、こいつらを戮丸の財産にしてもらって、戮丸が俺に保護の依頼をすれば安心だ」


 イニシャライズされたNPCはマスター以外の影響を受けない。まず、妊娠はしないし(出来ない)、たぶん、…下世話な言い方だが…刺さらない。


 …戮丸以外のPCには…


 戮丸は虫の息だ。


「ガルドが言うなら信用するけど…」

「それほどの方ですか?」


 と、キスイとミシャラダ。


「まぁ、こいつはドワーフだし、それ以前に…行為に及ぶ前に、こいつは口説く」

「なら安心だ。よろしく」


 ガルドの心配はNPCの処女性ではなく。あくまで論理矛盾を引き起こさないか?だった。

 イニシャライズされたNPCはマスターの言動に強制を受けてしまう。


 言えば、それが発狂を引き起こす。ガルドはそれを見つめ続け、毎回初期化を行ってきたのだ。価値観はわからない。怒りが発生するのかも、ただ、今までの言動から感情がなかったとも思えない。

 戮丸は…


「わかった申し出を受けよう。マスターになる」

「ホイ登録…してね」


 後日聞いた話だが、AIが納得しない限りイニシャライズは行われないらしい。それが、AIに認められた自由だからだそうだ。戮丸はなぜ外部スイッチをつけたのかと憤慨したが…


「これでお店に出れるね!行ってくる!」

「まてっ!」


 場の空気が止まる。戮丸は真剣な顔をしている。


「マスターとして第一命令を伝える。これを超える上位命令はない」


 戮丸は息を大きく吐いて…吸った。


「嫌なことはイヤっていう!そしてガルド!対応はわかるな!」


 今、人生最大のチャンスを捨てた。


 ―――ドブに。



 


 「いや」


 アリューシャだった。これ以上話をこじれさせないで欲しい。他の者はめいめいに了承の意思を表明して立ち去った。


「アリューシャ…おまえなぁ…見ろや、戮丸をプルプル震えてるぜ。多分、本体は相当モテないんだ。下手すりゃ童貞かもしれん。可哀想だろ?哀れと思ったらここぐらいは言うこと聞いてやってはくれまいか?ほら泣いてるぞ」


 言葉の刃がザクザク刺さる。


「これでいいのね、り・く・ま・る」


 そう言ってアリューシャは奥へと踊るようなステップで下がった。




 ◆




 そこは男パラダイスであった。

 しかし、今は昔。

 ここにいる全員が思い出したくもないだろう?


 前触れはあった。


 女性プレイヤーが降臨したのだ。当人たちは知らないようだが、声はプレイヤーそのものなのだ。その事実から骸とかした勇者、《俺ら》は息を吹き返した。ゴミ処理場で、土木現場で、工業高校で、響いた魂の叫び。


『男女雇用均等法なんてデマ振りまいた。政治家ちょ、ツラ貸せやー!』


 正確には男女雇用機会均等法である。嘘は言っていない。

 それは、一人の…推定彼氏に阻止された。

 まったくもって爆発しろ。


 男性率100%(推定)の彼女連れでインするとか訳ワカメ。


 「全くもてパルパルパル。」

 「神殿送りだパルパルパル。」

 「俺の右手が光ってパルパル。」


 そんな言葉を小声で囁きあっていた。


 ソロで30匹のゴブリンを殺すって何?理解不能で、ぶっちゃけ怖い。誰かが「チーターだ」と言い出したが「じゃ、おまえどんなチートだ?」と問う声が飛んだ。


 このゲームは脳に直結している。それを改造なんて正気の沙汰じゃない。そして、ゴブリン30体殺せと言われても多分途中で吐く。


 どう考えても精神異常者。


 《文句は相手に聞こえないように》それが《俺ら》のポリシーであり、モットーであり、マナーだ。


 ガルドは黙々と洗い物を続けている。


 ここで、一番気をつけないといけないのはガルドだ。勝てる気がしない。

 ステータスもそうだが、戦闘モードに移行すると恐怖と隠密を同時にばらまく。

 しかもこの能力を任意に変更できる。更にはそれらを利用した分身までやってのける。


 まごう事ない運営チートキャラだ。


 嫌な空気が満ちた。


「ちょっとお祭りがしたかっただけなのに」


 それが大半の意見だった。





 この酒場の大半の人間はそう(・・)であったが、そうでない者もいた。その一人は・・・


(・・・まずい事になった)


 仲間たちは心配そうにこちらの様子を伺っている。

 全身金属鎧の戦士は頭を抱えた。


 

 またもう一人、それとは全く別の感想もらすものもいた。


 (・・・落ち着いた)


 安堵のため息を漏らした。職業はプリースト。レベルは1である。先の戦いで命を落としてレベルダウンした。


 数々のネットゲームを渡り歩いてきたが、このゲームは最低のクソゲーだった。仲間は皆戦士系でキャラを作り直した。

 パーティといっても初心者の寄り合い所で、外での面識はない。一応回復役なのでやめられない。報酬も戦闘に参加してないし、更にリタイアで分配からも外された。


 実質このゲームの戦闘はフクロ叩きで、戦士系はとかく金がかかる。鎧に武器を揃え10人以上で袋叩きにするのが主流だ。


 その中で、プリーストは不遇だった、いい武器は持てない。魔法は回数制限。盾がわりに前衛に立たされ、死ねばペナルティ。


 レベルアップの気配はなく。タコ殴りを嫌ったプレイヤーはこのゲームを後にした。


 このあと地獄のレベリングが待ってる。拒否は許されない。


 レベル2でなければ存在意義がないのだ。


 ほかの仲間もレベリングに付き合ってのであって、善意ではある。

 いたたまれなくて壁を背にして体育座りをしている。そういうジェスチャーをしていない限り居場所がないのだ。


 その意識がそれた。


 それがありがたかった。


(レベル5だと!?)


 チラっと見た女の表示はレベル5を示していた。ファーストダンジョンでそんなに上がるのか?人数による経験値の分散か?相方は30体以上ゴブリン殺した。そのおかげか?


 …強い相方…このパーティのメンツでペアで潜ってくれとは言えなかった。

 たぶん、間違いなく俺は死ぬ。その巻き添えになってくれる奴はいない。

 しかも死んだら意味がないのだ。


 隣の卓のパーティが立ち上がった。頭を抱えてしまった戦士を気遣ってのようだ。



「あー、おまいらに嬉しいお知らせだ」


 ガルドが唐突に話しだした。


「長らくお休みしていたウェイトレス衆が復帰する」


 ガタッ!


(この、男パラダイスにウェイトレスですと?)

(以前老師に聞いたことがある。性的虐待に耐えかねて運営が廃止してしまったあの伝説の!)

(ティナたんハァハァ)


「あーそれで問題になっていた性的虐待な。今後は俺が介入するから、よろしく」


 お祭り再開である。

 大半がそれで構わないという意見を占めるが、中には、そんな運営の横暴は許せない。との声もあった。

 しかし、大半の意見は《今までが頭がおかしかった》で埋め尽くされた。


『そのアプデはいつ?』という事に焦点が映る。


 その1団は場の盛り上がりも介さずに、しゃがみこんだプリーストの前を通りかかった。


 ガルドはネタを介さなかった。


「今から」


 ティナとアリューシャがカウンターから飛び出した。


「みんなーお久しぶりー」

「あらあら元気ね」


 皆がカウンターに詰めかける。


「踊り子さんに手を触れないでくださいっ!」


 哀れな被害者がガルドのアッパーで、天井へと打ち上げられ脳症をぶちまける。汚い花火だ。

 続いて、キスイ、ミシャラダ、ベイネスと続く。

 祭りは惨劇もものともせず盛り上がる一方だ。

 死体はすぐに消えリスポーンしたものが部屋から駆けつける。


 その際に全身鎧の戦士にぶつかった。

 しゃがみ込んだプリーストの方に倒れ掛かる。

 戦士は反射的に「すいません」と言ってしまった。


 (女?)


 その声は紛れもなく女の声だった。


 プリーストは慌てて行動を起こす。戦士の腕を引いて廊下の隅に移動する。

 幸い祭りの盛り上がりは絶頂を迎え気にするものはいない。

 ついてくるのは戦士のパーティ騒ぎを大きくしたくないのだろう黙って、付いてくる。


(怒らせたら終わりだ、一瞬で血祭りになるな)


 プリーストは振り向かない。死んでもリスポーンできる。レベル1なら失うものはない。


「俺とペアでダンジョンに潜って欲しい。レベル2まででいいんだ。付き合ってくれ。断れば―――わかるな」


 その一言で、一同は理解した。

 このプリーストはケツに火がついている。さっきの5レベルプリーストは全員見ている。同じことがやりたいのだ。

 ただ、ゴブリン30匹切りはレベル8の戦士トーレスにも厳しい。能力的にはできるだろうがその精神的負荷は…


「5レベルとは言ってない。2レベルまででいいんだ!」


 こちらのレベル1プリーストノッツも譲歩案を提示した。

 問題はノッツのモラル…


「俺を信じてくれ!ほかは要求しない!」


 見守るパーティも、ノッツの気持ちを察しながらも、決断が出せずにいた。

 決めるのはトーレスだ。だが、トーレスは喋れない。




 ノッツの腕がひねり上げられる。


 (ガルド?…あれはPC間のイザコザに不干渉のはず…)


 周りの仲間も呆然と見守っている。


 (噂のアフレイドか?)


「―――じゃあ、それは俺でもいいじゃないか?」


 悲しいまでの無害男。エも言われぬ殺気を放ってそこに立っていた。


 戮丸である。彼らの目には猛獣に見えるのだろう・・・




 ◆




「チート?」そうガルドは訊いた。

「このプレイヤーね」


【群党左門芝瑠璃 戮丸】


「ふむ、で、このプレイヤーがチートをしたのか?」

「このシステムでチートなんて出来る訳ないじゃない。問題は彼のプレイングはチートにしか見えないって点が問題なのよ」


 詳しい説明は省くがゲームシステムがプレイヤーの脳に依存している。処理はもちろんのこと、五感や物理法則も直結した脳の演算によって再現されている。


 平たく言えば夢を見ている。


 ゲームはそんなプレイヤーにルールやストーリーを囁いているだけなのだ。


 では、そのルールを変えてしまっては?という発想もあるが、それを行えばそれは、すべてのプレイヤーに影響する。

 チートにはならない。チートとしての機能を発揮する前に世界が崩壊するだろう。


「で、俺に何をさせたいんだ?」

「この映像を見て、隣が判定ね」


 戮丸が見える。ゴブリンの視界だろう。一瞬で消えた。画面は地面のアップで止まる。 その間にゴブリンの五体は恐ろしい速さで破壊されていく。

 判定ログには通常の戦闘データが流れる。


「こりゃすさまじい」


 判定ログの通りなら戮丸は1回攻撃を行い。しかも外しているだけだ。


「ね?訳が分からないの、上は蜂の巣をつついたような大騒ぎよ。彼の行ったロジックだけでも解明しないと…今夜は帰れそうもないわね」


 アタンドットは上記のような基礎理論で運営されている。そこに介入するのは運営側としても世紀の大発見なのだ。

 そして、一歩間違えば・・・大問題になる。


 夢の操作故に、この残忍な世界は許されている。 


「わかった本人に聞いてみる。俺の見立てでも攻撃アクションが一回足りない。しばしまて」

「一回!?」


 驚くのも無理はない。被害状況を示すログは一瞬でドカッと流れる。回数で言えば十数回に及ぶはずだ。そもそも消えた理屈が…


「格闘技の動きだ。しかも、この世界に合わせたオリジナル。消えたのは戮丸じゃなくて、目の方に問題がある。人間はそんなスピードでは動けない。目の方がフェイントに引っかかって予測地点を見てしまっただけだ。動かなければ消えたように見える」

「…うそ…ありないわ」


 漫画か何かで聞いたような説明だが、目の当たりにするとは思わなかった。


「嘘なんかなもんか、車の運転で空走距離ってあるだろ?それが論理の限界。意外に低いんだ。ただ、奴らは違う。ありとあらゆる手段で認識と判断・行動の隙間に介入する。思考なんて当の昔に捨ててんだよ。『考えるな。感じるんだ』人間は日常生活で当たり前のようにやってる。ブラインドタッチなんかもそうなんだぜ」


「…その説明はわかるわでも…頭では…私たちはそれを立証しなければならないの」


「いま、返答が来た。『引きの行動は攻撃アクションにカウントされない』だってよ」


「なんでそんな事分かるのよ…」

「試行と検証だろね」


 女史の言葉にガルドはそっけなく答えた。制限項目はとんでもない数になる。それを試行と検証で彼らは肌で理解しているらしい。

 途方もない無力感に女史は襲われた。


「…じゃあ、答えて…ガルドにはわかるんでしょ。あの戮丸は何をやったの!説明してよ!」


 最後の方はヒステリックな叫びとなっていた。


「じゃあ…映像で出そうか」


 戮丸とゴブリンが現れる。ガルドが再構成したものだ。

 戮丸はタタンとステップを踏むと。

 ゴブリンは視線を外した。

 戮丸は攻撃を行う。


 ミス。


 ログの通りだ。

 その手を戻す際、肩口を掴む。そしてそれを引きもどすが、その際にゴブリンの体が移動する。


 引っ張られるのだから当然だ。


 その軌道上に、肘と膝がちょうど急所に当たる位置に置いてあった。


 戮丸はゴブリンであった物体をぶら下げて立ち尽くす。

 その眼は息絶えてもなお地面を見つめていた。


 ………


「わかるか~!」

「お茶でも飲むか?」


 女史の激昂をガルドが流す。


「ねぇなんで?攻撃はずれたら立て直して次のラウンドでしょ?なんで完殺してるの?頭おかしくない?」 

「格闘家はいつもファンタジー。まぁ、正直この再現があってるわけじゃない。大雑把な推察。この時、戮丸は…」


「超級魔法でドカーンとやってるっ!」


 …女史は思考を放棄したらしい。


「…もっと上手くやってる」


 やけを起こした女史も、ガルドの意見に目を見開いた。


「いやココ。演算してわかったが、首はもっときれいに折れてる。オーバーキルだが・・・膝にもダメージが確認できる。すごいな」


 二種類の被害ログには差異があった。


「それってつまり、戮丸はガルド以上の使い手?」


 さっきのヒステリーもどこへやら、女史はただ、ただ、驚いていた。


「負けるとは言わないが、勝てるとは口が裂けても言えないな。そういう人種だ。たまに会う」

「既知ピーってこと?」

「言葉を選ぼうなお嬢さん」


 ガルドはこの女子の非礼を静かに怒っていた。

 それを察したのか女史は次から次へとデータを出してきて「これはどうなってるの?」と聞いてきた。


(NPCの待遇改善で話があったのだが…出来そうもないな)


 戮丸のマークスは30…深刻な検案過多であった。




 ◆




 ノッツは部屋に招き入れられた。連行されたというのが正しい。戮丸が手で合図を送ると円卓と人数分の椅子が現れた。戮丸が動いたのはガルドからの依頼だったようだ。元から部屋にいたシャロンは戸惑いながら席に着いた、その隣に戮丸。そして、脅されていたトーレスとそのパーティ。相対するようにノッツ。 


「倫理や道徳・正義語ってもしょうがない。まず要求から聞こう?」


 とノッツを促す。


 改めて問われて勝手が違うのか言葉が出てこないようだ。 


「戮丸さん…?なんであなたが、まとめ役みたいなことを?」 


 そう言ったのはトーレス側の魔術師スレイバインだった。


「あ、流れでな。見ての通り女性PCの面倒からそこのガルドに頼まれてな。こういうのは第3者の調停がいるだろ?ペーペーの新米がやるような仕事じゃないが、そうも言ってられん。不満かな?」


 そういわれてしまえば、スレイバインも二の句が継げない。「ああ」と引き下がった。


 それでも、沈黙は流れた。 


「お見合いしててもしょうがない。俺の見立て…所見を話す。間違っていたら訂正してくれ」


 口火を切ったのは戮丸だった。 


「こちらのプリーストがそちらの戦士にレべリングの依頼をした。ただ、その方法が問題で、性別の暴露をちらつかせて脅した」


 ここで言葉を切り周りを見回す。異論はないようだ。 


「で、その要求は?詳しく」と、ノッツに振る。 

「レベル2まででいいんだ。それまで付き合ってくれ!」


 それは、ほぼ悲鳴だった。 


「そんなに大変なのレべリングって?」とシャロン。

「ほぼ、いじめ。っていうよりも苦行だね。あんたにはわからんだろうけどな」ドワーフのオーベル。  


 こちらは標準的なドワーフで、髭を編み込んでありリボンがついている。


「そんなことはないんだけどねドワ」戮丸は変な語尾をつけてみたが、空気は一向に良くならない。


「いや、このゲームを君たちは知らないんだ。イベントを見つけるまで潜るか、大量に敵を殺すか…それでもレベルアップするかは解らない。経験点が表示されないからな。かなり鬼畜だよ」


 そうスレイバインが言った。


「お友達?」と戮丸が聞いたが、ノッツとスレイバインはしぐさで否定した。


「で、その御嬢さんならできると、自信のほどは?」 

「状況は同情するけど・・・やっぱり無理」 

「なんでだよ?そこの1レベルドワーフに出え来て8レベルファイターに出来ないわけないじゃないか!」 

「できるできないの問題じゃねぇよボケ」エルフのオックス。 

「俺のレベルアップのためにウサギ30匹惨殺してくれって、理屈が通ると思ってんのか!」


 オックスは芝居がかった調子で言ってのける。絶好調のようだ。


「レベル2でいいっつってんだろ!」ノッツも絶好調。


「エルフと仲が悪いのはドワーフの特権だぜ?落ち着けヒューマン」 


 その戮丸の言葉にオックスが青くなった。


「いや、アンタと事は――」

「オックスと種族の垣根を越えた友情が築けそうなのは何よりだが…原因これ?」


 その指の先にはシャロンがいた。一同うなずく。


「え?」理解できていないシャロン。 


「この娘さんはRPGって言葉もわからないようなズブの素人さんだよ」 

「え!」一同。 

「ついでに、俺たちが見つけた財宝は、金貨にして600枚相当」 

「えっ!!」 

「ユニークアイテム…っていうの?も見つけたもんね」 

「ちょっ、おまっ…!」 




「えええええええええぇぇぇええええええええっ!!!」


 怒涛の質問攻勢。半狂乱の大騒ぎ。



 結局、事のあらましを二人は説明した。 


「ダンジョンソロで6時間とか・・・ありえねぇ」 

「高台か・・・」 

「ロープはゴブリンのドロップ品か・・・考えなかった・・・」 

「じゃあ、ゴブリン15体にズールターク1体だったんですね」 

「水晶ってなんだったんでしょう?気になりますね」 

「そろそろ眠いんだけど」とシャロン。


 宴もたけなわ。

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