033 死神
先生の居眠り→教頭の激怒という珍事もあったものの柿崎一太の生活は平穏無事の一語であった。
今朝がたまで・・・
「おかしい・・・」
田中の、苦虫をかみつぶした満面の笑みというのは圧が、、、、暑苦しい。
「モンマニ楽しいかい?」
————バレたらしい。
「ああ楽しいよ」
「持ってるなら教えてくれたっていいんじゃないか?」
「それはどうだろう?個人情報は厳しく管理する時流にならっただけだが?」
「友達がいがないな」
「友達????知らない子ですね」
「柿崎ぃいッ!!!」
「そんな怒鳴るな、爆発するじゃないか」
エキサイトする田中を宥めながら、ゴールデンウィークまでとぼけられる目算はあっけなく崩れ去った。
その疑問が残ったが思いのほかあっさり片付いた。
「柿崎。あんたのやってるモンマニって教えなさいよ」
「買えばいいんじゃないかな?(正論)」
「あたしじゃないのみゆ吉が興味あるのよ・キリキリ吐きなさい」
「キリキリ」と答えたいが魂がソフトボール部なくせに女子バスケ部の中島ゆかり。命に係わる。深層の令嬢を地で行く隣のクラスの長浜みゆ。となれば熟考せねばならない。
長浜みゆは古典部部長での風格漂う吹奏楽部。口幅ったい紹介だがクラスの数名の男女が異端審問官のコスプレを始めたといえば状況はが解ってもらえると思う。
つまり、どういう経緯かオレがモンマニをやっていることを長浜嬢の知る所になり、中島に相談し、繋ぎを得るために田中に相談。バレたと・・・田中の眼光が熱い。いろんな意味で。
「で何がききたいんですか?」
「何故敬語」「田中黙れ」
襟を正すほどの美少女。免疫無いんだよ。
これが中島なら「磯野野球やろうぜ」「わかったお前ボールな」と日常の一コマになるんだが・・・
長浜みゆはミニチュアを連想させる。同じ人間だというのにだ。
大きなミニチュア。色々と細さと薄さが違う、その癖透明度とクオリティがパキッと画角に収まる非日常。
「今度ピアノのコンクールがあるんのですが・・・」
その一言ですべてを理解した。
夢見る前に覚めてよかった。あの性能は使ってみないとわからない。訊きたがるのも頷ける。美少女の「私気になります」なんてフィクションだって知ってた。というか心臓もたない。
「吉田先生も持ってるからちょっと聞いてくる」
ゲームの特徴上設置した部屋に案内する流れになる。セッティングが面倒なんだ。となると教師に出張ってもらうほうが色々と都合がいい。
長浜は俺の制服の袖をちょこんと、しかし、しっかりつかんでこう言った。
「私、友達も欲しいんです!」
前略父さん最近の死神はなまら、めんこいです。
あとがき
今日は・・・今日もひどいな。