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AT&D.-アタンドット-  作者: そとま ぎすけ
第三章 唯一つ・・・たった一つ・・・
140/162

013 ポテトサラダとワサビ

 ポテトサラダが出来上がった。


 マヨネーズの分量が少ないのか、若干パサついてマッシュポテトと言った方が近い。

 だが、薄切りしたキュウリに人参、玉ねぎが入った上に、同様のリンゴ・ウィンナーまで入っている彩はまさしくサラダであった。


(しくじったかな?)


 マヨ多めの方が好みなんだが・・・

一口頬張るとこれはこれでいいのだが、マカロニサラダに使うくらいのマヨネーズ分量を求めてしまう。本能的にだ。

 ここから追加してもいい事にはならない。マッシュポテトとマヨネーズが上手く混ざらず、さらに保護色効果からインゴット・マヨを埋蔵する結果になるからだ。

 マヨの塊を引き当てた時の・・・筆舌に尽くしがたい。


 ため息を一つついて、オートパイロット(思考放棄)に切り替えた。


「ストップ・ザ・戮丸!!!」

「ん?」

「何をしている?お前は」

 手元をよく見る。

 右手にはおろし金。左手にはワサビ。

 ・・・天を仰ぐ。


「ワサビをおろしている?」

 血相を変えたコック帽のバイトマに不思議そうに答えた。

「なんで半疑問形なんだ。ポテトサラダはそれで完成でいいだろう?」




 パン屋「ビックベア」のオーナーは戮丸だ。だが、今月の店長はバイトマだ。

 このお店自体はパンのフリーマーケットのような運営で、町の厨房的な側面を持つ。ならば当然常駐する常連が発生する。

 そして、常連衆は個人店舗でありながら自治組織ギルド『パンリミッテッド・ブレッド・ワークス《無限の焼成》』(PBW)を立ち上げた。

 この行為にオーナーは一言。


「・・・それって焦げてないか?」


 ・・・好意的に受け入れられた。


 オーナーはほかの利用者同様に個人スペースを確保し、頻繁に調理を勤しんでいる。個人スペース貸与は利用頻度によって決まる。売り上げではない。売り上げの一部をオーナーが受け取っていれば異論も出ようが・・・いや、出ている。

 それぐらいにオーナーの売り上げは低く、ダントツの最下位。

 売り上げを受け取っておらず、オーナーの出費と収入を見せれば、二の句を告げられる者はいない。

 町一つ賄う厨房のランニングコストはシャレでは済まされない。


 バイトマは、そのPBWで熾烈を極める『月間店長』の座を射止めるほどヘビーにはまったパン職人。リアルでパンを焼き、ゲーム内でもパンを焼く求道者。

 互いに一目置きながらも内心『変態』だと思っている。


 ・・・いい意味でだ。

 多分、絶対、・・・そうだといいなの希望論。


 戮丸はそれほど料理が上手い訳ではないが、色んなものを残す。中濃ソースしかり、ワサビしかり、カレーしかり、バニラしかり。

 いったいどこで見つけてくるのか。

 味噌や醤油は当然あるし、貴重な甘味のオリゴ糖・・・


 ・・・普通砂糖だろ?

 も、見つけてきた。バイトマにとってはありがたい事この上ない。

 カレー粉を缶で見つけて来た時には本気で悶絶した。


 それに対してバイトマは、毎月開かれるコンテストでおおくの優勝を収めるパン職人。毎月とはいえ、現実時間では10日間隔。新作を作り勝ち続けるのは容易なことでは無い。

 彼自身、どこぞの有名クランで主力を張る戦士だったが・・・


 本人の強い希望で残留している。

 内心クラマスに同情を禁じ得ない。

 ビックベアでの揉め事に戮丸が参戦するまでもない所はありがたい。もっとも、常連連中の戦闘力の異常な高さもあるので、バイトマ個人の業績と言う訳でもないのだが。




 調理工程で理解できない行動を料理上手がたしなめたわけだ。

「ま、いつも通りにほっといて」

 おろしワサビに蓋をして、マヨネーズの瓶を取り出しヘラでかき混ぜる。自家製マヨは適度に攪拌してしまう。いいか悪いかは知らないが、その方が良い気がして。

「そこからワサビマヨか?」

 バイトマには味が想像できない。ポテサラにもともとマヨが入っているから、ワサビ味のポテサラ・・・旨い?かも・・・

「いや・・・醤油も入る」

「まて」

 さらに理解不能な行動に制止を促すが止まらない。


 小皿に多めに取り出したマヨ。そこにワサビが投入される。うっすら緑がかる量に愕然とするが、さらに醤油が投下される。

 茶色を帯び、食料としてありえない色に変色したマヨネーズ。


「・・・旨いのか?」

「多分、悲しい味になる」


 なら作るなよ!と喉元まで出かかるが・・・

(味音痴な訳じゃないんだよな)


「・・・続けて」「言われんでも・・・ってもう終わる」


 ポテサラを皿に盛り、その頂点に大匙二杯分ぐらいのペーストをチョコンと乗せる。お世辞にも見栄えは良くない。

 しばし思案し、きざみ海苔を多めに振りかけて見栄えは及第点となったが・・・


「 ・・・罠?」


 地雷を海苔で隠しているだけに見える。それくらいにワサビの量は大それたものだった。パック寿司に付いてくるワサビ4・5個分くらいはあった。


「ひでーな・・・」

 戮丸は出来たそれをざっくりと混ぜ口に運ぶ。

「噴くなよ」

 そう零すが、気だるげな彼は目を閉じ天を仰ぎモグモグと確認する。頷くようにおとがいを動かし、箸を添えて「なんか泣ける味だ」と締めた。


「失敗か?」

「いや・・・作った事自体を後悔している」

 彼はキメ顔でそういった。


「おい」

「予想通りの物は出来た。作るべきではなかったな」

 上手くできた方かな。と穏やかに自嘲った。

「いつも通りそれは自由にしてくれ。オレは探し物してくる」


 そういって、オーナーはビックベアを後にした。


 残されたバイトマは、恐る恐る口に運んだ。

 戮丸は普通に食っていたが、明らかに危険域な量のワサビだった。




「そーいう事ね」


 ワサビは想像したほどではなく、さらにざっくり混ぜたのが功を奏し、多少辛い部分も薄い部分が程よく中和する。

 料理としての完成度はお世辞にも高くない。

 味もどこかで知っている味だ。


 だが、強烈にある物を求めてしまう。


「丼でほしいな・・・」




 シバルリには米が存在しない。

 エイドヴァンには米自体が無いのかもしれない。

 ただ、古株は「どこかしらで食った覚えがある」と、バイトマ自身もどこかしらで口にしているのだが、思い出せない。


 戮丸はずっと探している。


「そろそろ・・・キレるだろ・・・」


 戮丸専用の棚で海苔の佃煮の瓶が鈍く光った。

 その輝きはバイトマをいつも責める。


 トーストでは使いこなせたとはいいがたい。




◆◆◆◆◆




「バイトマ」

「おは」


 巨漢と僧衣の男がビックベアを訪れた。

「朝飯か?」

「俺はな。ビッグカツサンド3っつ」

「うちの戮丸、居ませんか~」

 巨漢はトロウル以上の体躯を誇るムシュフシュ。何しろエンドラスト周辺の店は彼の為にエントランスを改装することになったほどだ。かなりデカいはずのカツサンドがコッペパン以下に見える。

 もう一人は僧衣につんつん頭がまるで似合わない。某有名ゲームの鉄板状の剣がトレードマークキャラを模して造られた容姿。

 黙って立っていればゲーム好きは騒がずにいられないが、中身がヘタレで常に眉毛を困ったように八の字にしている。

 ゲーム会社が訴えれば勝てるレベル。元キャラの面汚しと言われながらもなんだかんだで有名人のノッツ。


「残念。入れ違い。我慢できれば揚げたて用意するけど?」

「・・・我慢するか。早くしてくれ」

「僕は出来合いで、金貨一枚パンって残ってる?」

「おかげさまで窯出し完売」

 ノッツの希望はさわやかに打ち砕かれた。


「あれって作ったのお前か!それも一つ」

「なんでさ」

 ムシュの驚きにノッツが問う。この店のレベルの高さは周知の事実だ。


「それぐらいの財力は皆あるからな。冷やかしに値段付ければそれなりに売れるさ」

 店舗で見かける全部乗せとかそういうジャンルと思ったらしい。


「そんなモグリはこの店には居ないって。ここの常連なめんな」

 適正価格が身上のビックベア。

「それこそ、Dボタンが火を噴くってもんだよな」

 店には意味不明な看板「Dボタン禁止」が燦然と輝いている。


 ムシュの言葉にノッツとバイトマは苦笑いを浮かべた。


「実際問題ゲージ七割じゃきかないだろ?」

「まぁな。オーナーはその辺寛容だけど。オレたちが許さない」

「それでよくその値段付けたね」

「逆だ逆。これでも原価率度外視で、オーナーにも仕入れ協力してもらってるんだ。よそじゃ10倍の値段でも作れるかどうか」

「なんだそれ?」

「オーナー曰くのオイスタービーフだ。あれを食材として使える形でとれる人間はそうはいない」


 なんの冗談か、鎧を纏った水牛をそう呼んでいる。通常の水牛より体躯は倍近くあり、目はランランと赤く光り炎を吐く。その表皮はアルマジロのように硬質な鎧で覆われているのだが・・・

 この鎧を引っぺがしたら、陸生の牡蠣だったという新事実を発見。分かる人間にはこのモンスターの名前がわかるらしいが、オーナーはオイスタービーフと言い張ってきかない。


「あれか・・・枯山水うちでも取れると思うが、ダメだ。外装砕かず倒すのは骨だ」

 確かに頭長高2mクラスの水牛は厳しい。

「そこなんだよ。魔法使いが頑張ってはいるけど、元のレジスト値が高くてね」

「それじゃ、魔法が通った瞬間消し炭だね」

「加減してればこっちが消し炭か。だが面白いな。なんかアイデアは無いか戦闘班長?」

「どだい僕らじゃ倒せない。どっちにしても戮丸案件だよ。それでもっていうなら銀通して・・・やっぱり総力戦だ」

「それじゃ、それとなくうちのに話ておこう」


「搬入経路が増えるのはありがたいが小売り金貨1枚でペイできるか?」

「そりゃ無理だ」


「あのぅ」

 談笑する三人の陰で僧服女性が恐る恐る声をかけた。

「ああ、すみません。こっちで話盛り上がってしまって」

「その辺は、かまいませんが金貨とか、物騒な言葉が飛び交ってるんですが・・・実際いくらくらい何ですか」


「彼女は?」

「大吟醸から紹介の新人だ。その絡みで戮丸に面通ししておこうと」

 ノッツが受け答えの間、バイトマの問いにムシュが答える。彼女の応対はノッツの仕事なのだろう。


「ああ、アクアさん。金貨一枚は金貨一枚だから・・・確かレートは決まっていたような・・・」

「金貨一枚14万相当ですよ。忘れないでくださいよノッツ」

「スレイか、いい所に、そんな値段だったっけ。金銭感覚吹っ飛ぶいよな。こっちは」


 そういって現れたローブ姿のスレイを交え、男性陣は談笑するが・・・


「十四万ンんンんンんッ!」

 硬直する僧服の女性アクア。


「ああ、バイトマさん。僕もそのパンを一つお願いします」

「毎度。時間かかるよ」

 その言葉にスレイは『知ってる』とばかりに首肯を返す。


「そうなのか?」

「あんたの体格じゃ一個じゃきかないだろ?一頭丸々仕入れてもらった直後だからいいけど。後回しでいいなら話は別だけど」

「それは勘弁だな。こっちはログインしたてで限界なんだ」


 このゲームではログアウト中でもアバターの空腹度は止まらない。そのおかげで、ログイン後はまず食事となる。毎日定期的にINしていても、ゲーム内時間は3倍、三日分の空腹が襲ってくるのだが、飢えて死んだ例は聞いたことが無い。


「だろ?」

「僕は別に戮丸さんのアレでしのぎますんで」

「よく食うね」

「硬くて腹持ちがいいんですよ。空腹をしのぐにはいい具合なんです」

「あれ、厳密にはパンじゃないよ」

「え”?」

「正確にはパン粉用のパンだから・・・」

「それで激安なのか、必ず売れ残ってるのはその狙いか?」

「パン粉用のパンを店先に並べれば普通に売れ残るよ」

「スレイwwwおまwww」


「まぁ、体に悪いもんじゃないし、パン粉としては出来のいいものだから・・・」

 正確には試作品で、試行錯誤の失敗作というものだ。あの男の凝り性はパン粉という観点に向かっている。その失敗作をどう利用しようとこちらの勝手という暗黙の了解が成り立っていた。


「で、バイトマ。お前の基準では?」

「豚の餌」

「豚の餌www」


 美食の探究者であるバイトマ基準で言えばそうなるだろう。


「ま、あれだな。生米をポリポリ食ってたらそれが癖になったってところか」

「そう!そんな感じです!・・・何だって戮丸さんはこんなのを店先に並べているんですか!」

「木銭貨1枚だから妥当だろ?ここにゃそれだって食えない奴が来るんだから」

「自分で焼けばタダだからな」

「木銭貨って・・・」

「木銭貨と言うのはこの街だけで使える通貨で・・・」

「スレイ・・・いくらって質問だよ」

「あ、70円ですね」

「70円wwwいくら何でもケチりすぎwww」

「草生やすな」


「あ、あのパンの焼き方って・・・」

「あれ?お金。無いの?ファーストダンジョンなら300枚くらい金貨が手に入るはずなんだけど?」

「ごめん。僕のパーティの直後だったから、空だったんだよ。大丈夫奢るから」

「そんな悪いです」

「いや、奢らせて、仮にもラスティの人間がそこをケチったなんて面目が立たない」

「まぁな。このシバルリで腹をすかせた人間を放置はできないな」

「クラマスがオーナーだからな。何かの悪い冗談だと思うぞ。誰だって」

「・・・でも、ただで頂く訳には」


「ここのパンは自分で焼けば無料なんですが、ゲームシステムがそうなっている訳じゃないんです。この店のオーナーが好意で無料開放してるだけ、自分で焼いてもこの店のオーナーに無料で恵んでもらっている事実は変わりませんよ」


「そして、俺とノッツはその手下。あんたの面倒を見る大吟醸もな」

「で、この町シバルリを作ったのもオーナーで、その創設メンバーは私スレイバイン。ノッツも大吟醸もそうですが」

「俺は一番関係が薄いかな。ビックベアにフラフラやってきて居付いただけだし、ただ、この店のオーナーなのは聞いた通りだろ。賃金はもらってないけど、それ以上の利益はもらってる。後でオイスタービーフ見せてやるよ。一頭金貨300枚で仕入れているんだぜ」

「安いな。十倍はとらんと人件費でペイできんだろ?」

「そこは王機持ちって所だな。オーナーなら意地の張場が違うというさ。気にしないことだ」


 それでもアクアは渋った。現代人に金貨一枚14万円と言う現実が重くのしかかる。

 それに業を煮やしたバイトマが安く済めばいいんだろ?と戮丸のパンを焼き直し、間にポテサラを挟んで出した。

「スレイもそれつまんどいて、たぶん結構いけるぞ」

「これって?」

「オーナーの試作品。いつも通り捨ててもいいし好きに使って置いてったもんだ。だから、値段は木銭貨1枚だな。貸にしとく。支払いはオーナーに」

 そういってバイトマは調理に戻った。


「おいしい!」

「ほんとだ旨い!」

「おいおい。どうなってるんだ」

「いえ、いつも通りのパンなんですが焼き直したおかげで食べやすくなって、このワサビ風味のポテサラの濃い味が、なんというか負けてないんですよ」

「そう、そんな感じ。上品とは言いづらいんですが、食べ始めると止まらないってかんじで」

「なんでそうなる。オレにも一つ」

「適当に焼いて」

「俺も一つ頂こう」


 常連客も同調し、思い思いに戮丸パンを奪い取りポテサラはあっという間に空になった。だが、ポテサラ自体は別段変わったものではない。

 この材料の肝はワサビマヨネーズによる謎ペースト。その製法と分量はバイトマが見ていた。大量に投入されるワサビに青くなりつつも作ってしまえば、弾丸は補充される。

 そして、意外なことに戮丸パンが大人気。噛んで噛んでやっと味が出る拵えはこの料理には相性が良かった。


 結果、最も早く弾薬が尽きたのは戮丸パンだった。


「意外にいけたな」

 それがその場に居合わせた者の総意であったが、バイトマが破滅の言葉をつぶやいた。


「それってライスにあうよな」


 そう、戮丸パンは奇跡のコラボではあったものの、次点である。米には及ばない。米が織りなす奇跡のマリアージュを知り尽くした日本人にはそれが容易に想像できた。


「そういう事は早く言ってくれないと!」

「米を!我々は銀シャリを所望する!」

「それを求めて平常運転でオーナーは旅立った」

「無理かぁあああああッ!」


 戮丸専用棚に輝く海苔の佃煮。彼がここまで用意して見いだせないものそれが――――


 ――――米


 バイトマは知っている。

 なんでこれが見つけられて米が見つからない。

 未練を断ち切るべく、ピザを焼き、ラーメンを打っていた、彼の背中を――――


 ――――彼の背中は泣いていた。


 冗談のようだが彼の執着はリアルでの肉体の病気に由来する。

 塩分摂取量2グラム。タンパク質制限アリ。カリウム制限アリ。

 この状態では丼もの壊滅。ラーメンは汁捨ててやっとグレイゾーン。

 丼形状には出来るものの肝心要の米の分量に制限が掛かり、ミニ丼程度で終わる。


 腹いっぱい食う事を禁じられた、入院患者並の食生活。

 その生活を10年以上続けている。


 ここでは、量の制限は許された。ラーメンも許された。ラーメンの出来はリアルのそれには遠く及ばない。腹いっぱい食う機会が少ないピザも許された。

 それでも渇望する。米を――――


 ――――丼ものを飲み干すように喰らいたい。

 ガテン系、ハードなスポーツマン系食生活を続けていた若かりし日の記憶は消えてはくれない。


 一度でも入院したことがあれば彼の渇望は笑えない。

 そして、嵐のような激運。

 カレーパンをもそもそと食う彼の背中は確実に煤けていた。




 それらを知っても、バイトマには譲れないものがある。

 彼の努力とストイックさには頭が下がる。尊敬もできる。

 ――――凄まじいとさえ思える。


 だが、バイトマは――――


 ――――パン派であった。




 存在が真逆!!!

 決して相いれない二人!!!


 まかり間違っても米の代用品的存在に敗北は許されない!!!


「俺のおごりだ。食え」

「これって金貨一枚だろ?」

「いいから喰え」

「いや、悪いし――――」


「――――命令だ」


 ――――喰え。

 


 口から見えないビームが出たと人はのちに語る。




 溜飲は下がった。冷静になればバカなことをやったものだ。

 金貨300枚程度の出費はバイトマには大したことは無い。


 それでも、致命的なミスを犯した。


 ――――パン粉の入手経路――――


 彼も依存していた。




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