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Ⅵ:時間とお金の感覚はなかなか変えられないよね。

 

1年12ヶ月360日。1ヶ月30日。1日24時間。1時間60分。1分60秒。


これがこの世界での年月日時。殆ど前の世界と同じな事に秘かに安堵してしまった。特に時間経過が全く同じだという事で、取り出した時計で確認すると今は10時過ぎ。午前午後の定義は無いみたいだけど。


月の呼び名も同じで1月、2月、3月と呼び最後が12月でさらに春夏秋冬の四季もある。ただ違うのは1~3月が春、4~6月が夏、7~9月が秋、10~12月が冬。


さすがに1週間という概念はないが、ここまで同じだとなんとなしに怖い気がするのは俺の気のせいだろうか? ちなみに基本は5日働いて1日休むという感じらしい。


さて、次に大切なのがお金。

よくある異世界トリップものの小説なら金貨・銀貨・銅貨という硬貨なのだが、やはり前の世界と同程度に科学が発展しているせいなのか、紙幣と貨幣の組み合わせで通貨は『オルク』で世界共通。


しかも1オルク=1円。なんという分かり易さ。あ、ちなみに数の数え方、物の長さや重さも前の世界と同じだ。


貨幣は3種類でそれぞれ1オルク硬貨、10オルク硬貨、100オルク硬貨。大きさも金額が高いほど大きく1オルクが1円、10オルクが100円、100オルクが500円ぐらいの大きさだ。

それ以上は紙幣になりこちらも3種類で1千オルク札、1万オルク札、10万オルク札。


もし日本の円で言い換えるなら10万円札があるのには少し驚いたが、武器や防具なんかが売られている世界なんだ。考えてみれば当たり前なのかもしれないな。


そしてさらに驚いた事に紙幣の上に『板貨幣』という物があるのだ。


読んで字の如く板の貨幣。この世界では希少とされる『朱金』と呼ばれる金属で造られた板の形をした貨幣で1枚なんと1億オルク。

んな物持ち歩けるか、と思ったのだが基本的には国家間の金銭のやり取りに使われるものであって一般人には出回らないらしい。


恐らく持つ機会なんか一生ないのは間違いないのに、何故だか無性に安堵してしまった自分の小心者さにちょっとだけ落ち込んだのは別の話。


そう言えばアマテラス様が言っていたようにポーチの中にお金が入ってた。金額は500万オルク。果してこれが本当に『半年は何もしないで何もしなくても暮らしていける金額』なのだろうか?


前の世界ではアルバイトをしていたけど稼げても月4万ぐらいだったからな。この世界の物価は前の世界と余り変わらないみたいだからたぶんこの金額、絶対に過剰な気がする。

でもまあ貰った物はありがたく受け取っておこう、お金も有るに超した事はないのなだから。ただ無駄遣いだけはしないようにしておこう。


いやしかしこれはどう見てもご都合主義だよな。異世界でここまで似通っている可能性って実際は物凄く低いはず。それなのにこうしてその低い可能性に当たる事が出来たのは、まず間違いなくミナカヌシ様の取り計らいだ。


本当に感謝いたします、ミナカヌシ様。


あとはこの世界の成り立ちや建国している国についてだが、その辺りはその事が話題になった時にでも考えればいいか。

今のところ国家に関わるつもりなんて欠片もないし、自由気ままに稼いで自由気ままに生きていきたいしね。


でもまあ今までの自分の不運を考えると、関わり合いになる可能性の方が高いと思うんだよね。しかもこういう異世界トリップのお話って、往々にして主人公は国のお偉いさんと関わるのがテンプレだしね。


だから国の事はその時に考える事に決めた。今決めた。


さて、そんなくだらない事を考えつつ足を進めているのだが、そろそろ森を抜けてもいい頃だと思う。かれこれ1時間は歩き続けている。

でも思ったより疲れていない。これが普段の身体能力が今までの倍という実証なのだろう。感謝いたします、タケミカヅチ様。


というか、ミナカヌシ様の言葉を疑うわけじゃないがここは本当に『剣と魔法と科学の世界』なんだろうか? 何をして『科学が発展した世界』と言うのかよく分からないが、少なくともこの1時間で目にした風景の事を思うと科学が発展した世界とは思えないんだよな。


ここが田舎だという可能性ももちろん大いにあるけどね。っと、どうやらそろそろ本当に森を抜ける事が出来そうだ。数メートル先の視界はだんだんと開けてきた。


さあ、まだ見ぬ『剣と魔法と科学の世界』よ! その姿を俺にしかと見せてくれ!


…………街道だった。


森の端から数メートル先にある道は、想像していたアスファルトの道路の様な道ではなく、ヨーロッパの街並みの様な石畳で敷き詰められた街道だった。


あっれ~? 『科学が発展した世界』なら普通ならかなり整備された道が見えるもんじゃない? アスファルトみたいな素材で、ガードレールみたいなものがあって、街頭みたいなものが設置してあるみたいな? でもどう見ても中世ヨーロッパ風ファンタジーとかで出てくる馬車が走ってそうな街道なんですけど?


そんな、本当に馬鹿でくだらない事で真剣に頭を抱えていた俺の耳に、なにやらある乗り物が出す音と似た音が入ってきた。思わず顔を上げて音のした方へ顔を向けるとかなり離れたところからこちらに向かって来る物体が見えた。


ちょっと思っていたのだが、さり気なく感覚器官も性能が跳ね上がってね?


また現状においてはまったく別な事を考えていた俺の視界に、その物体はだんだんと近付いてきてその形がはっきりとしてきた。そしてその物体の形を見て俺はある意味で度肝を抜かれた。


キュッ、という音を立てて俺の目の前に留まったその物体の形は、細部に多少の違いはあるものの紛うこと無き『軽トラ』だった。

次回、第1異世界人との遭遇になります。

ちなみに通貨の名前はテキトーです。何となしに響きが良かったから『オルク』にしました。

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