表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
甘い罠  作者: やぎ
1/1

甘い罠

yagimokiさんは「夜のカフェ」で登場人物が「手を繋ぐ」「罠」という単語を使ったお話を考えて下さい http://shindanmaker.com/28927 #rendai


 俺と友人と彼女は仲が良い。三人で遊ぶことも良くあるし、互いに互いの家で夜を過ごすこともある。今日は友人のバイトが終わるのを待ってから、夜通し遊びに行く予定。その為に彼女と二人でカフェで時間を潰すことにした。彼女はとても魅力的な女性。顔立ちが綺麗であるし、何より彼女といると居心地がいい。そういう目線で見たことないと言えば嘘になる。だが、一線を越えてはならない。付き合ってるわけではないし、この子は俺の友人の大事な大事な彼女。十数年来の友人の彼女。手を出すことはあってはならない。

 タバコの煙が店内でゆらゆら揺らめいて霧散する。何処かしら自分に似ているので少し嫌な気持ちになる。タバコに火をつけて、煙を肺に入れる。辞めようかとも考えたが、辞められなかった。禁煙は自分の意思の弱さが露呈しただけだった。だからと言って辞める気力も起きず、惰性で吸い続けている。再び煙を肺の中に入れる。多分もう辞めることは出来ないだろう。

 「ねぇー、話聞いてるの?」 彼女が机を可愛らしく叩きながら主張する。そういう狙ったような行動も彼女がやると少しだけだが、ドキッとしてしまう。

 「あー。うん、聞いてる聞いてる。」

 タバコを灰皿に押しつけて消す。完全に消せたわけではなく、煙がちらちらと上がっている。

 「全くもー」

 急に暖かいものが俺の手を包んでくる。彼女の手だ。柔らかく優しい彼女の暖かさが伝わってくる。その熱が顔にまで伝染してきて暑くなってくる。

 「お前……彼氏いるんだからそういうのは辞めろよ」

 「えへへ。良いじゃん」

 満面の笑みを浮かべてこちらを見てくる。こういうのはよろしくない。今すぐに手を離さなければならないのに、離すことが出来ない。

 これは罠。分かっている。引っかかってはいけない。もしこの罠に引っ掛かったら、友人との関係が壊れてしまう。甘い甘い罠。 だが、この子を選んでそいつとの関係は破滅してもいい。そんなことを考える辺りとんでもない馬鹿者なのだろう。

 彼女の手を強く握り返した。もう後戻り出来ない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ