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第4章ぜよ
二年たって、わしらは、もう大けな少年になっちょったが、わしの熱情はまだ絶頂期にあったがやき。
その頃、あのエーミールがヤママユガをサナギからかえしたという噂が広まったのや。
今日、わしの知人の一人が、百万マルクを受け継いだとか、歴史家のリヴィウスののうなった本が発見されたとかいうことを聞いたとしたち、その時ばあわしゃ興奮せんろう。
わしらの仲間で、ヤママユガを捕らえたもんはまだなかった。
わしゃ自分の持っちょった古いチョウの本の挿絵で見たことあるだけやったが。
名前を知っちょりながら自分の箱にまだないチョウの中で、ヤママユガばあわしが熱心に欲しがっちょったものはなかった。
幾度とのうわしゃ、本の中のあの挿絵を眺めた。
一人の友達はわしにこう語った。
「とび色のこのチョウが、木の幹や岩に止まっちゅーとこを、鳥や他の敵が攻撃しょうとすると、チョウは畳んじゅー黒みがかった前羽を広げ、美しい後ろ羽を見せるだけやが、その大けな光る斑点はまっこと不思議な思いがけん外観を呈するき、鳥は恐れをなして、手出しをやめてしまう。」と。




