第3章ぜよ
わしの両親は立派な道具なんか買うてくれざったき、わしゃ自分の収集を、古い潰れたボール紙の箱にしもうちょかんとならざった。
びんの栓から切り抜いた丸いキルクを底に貼り付け、ピンをそれに留めたが。
こうした箱の潰れた壁の間に、わしゃ自分の宝物をしもうちょった。
初めのうち、わしゃ自分の収集を喜んじょったびたび仲間に見したけんど、他のもんはガラスの蓋のある木箱や、緑色のガーゼを貼った飼育箱や、その他ぜいとうなものを持っちょったき、自分の幼稚な設備を自慢することらあできざった。
それどころか、重大で、評判になるような発見物や獲物があったち、ないしょにし、自分の妹たちやけに見せる習慣になったがよ。
ある時、わしゃ、わしらのところでは珍しい青いコムラサキを捕らえた。
それを展翅し、乾いた時に、得意のあまり、せめて隣の子どもにだけは見せよう、という気になったのや。
そりゃ、中庭の向こうに住んじゅー先生の息子やった。
この少年は、非のうちどころがないという悪徳をもっちょった。
そりゃ子どもとしては二倍も三倍も気味悪い性質やったが。
彼の収集はこんもう貧弱やったが、こぎれいなのと、手入れの正確な点でひっとつの宝石のようなものになっちょった。
彼はそのうえ、痛んだりちゃがまったりしたチョウの羽を、にかわで継ぎ合わすという、まっこと珍しい技術を心得ちょった。
とにかく、あらゆる点で、模範少年やった。
そのため、わしゃ妬み、嘆賞しもって彼を憎んじょった。
この少年にコムラサキを見した。
彼は専門家らしくそれを鑑定し、その珍しいことを認め、二十ペニヒばあの現金の値打ちはある、と値踏みしたがじゃ。
やけんどそれから、彼は難癖をつけ始め、展翅の仕方が悪いとか、右の触角が曲がっちゅーとか、左の触角が伸びちゅーとか言い、そのうえ、足が二本欠けちゅーいう、もっとな欠陥を発見した。
わしゃその欠点をたいしたものとは考えざったが、こっぴどい批評家のため、自分の獲物に対する喜びはまっこと傷つけられたき。
ほんでわしゃ二度と彼に獲物を見せざったがじゃ。




