星紋を持つ者の力
荒野を駆け抜ける青白い光の筋。
レヴァンの剣が振り下ろされ、星喰いの巨体を真っ二つに断ち切る。
閃光の中で巨体が崩れ落ちるとともに、砂埃が荒野を覆い尽くした。
「やったのか?」
後方から聞こえる仲間の声を振り返ることなく、レヴァンは剣を構え直した。
光の斬撃で倒れた星喰いの奥から、新たな影が姿を現す。それは先ほどと同種の星喰いだったが、その瞳にはより強烈な殺意が宿っていた。
「くそ、もう一体いたか…!」
レヴァンは剣を握り直し、次なる敵に向かって身構える。
一方、仲間たちがそれぞれの位置を再確認しながら、新たな脅威に備えていた。
「全員、散開しろ!こいつは俺が引き受ける。他の敵はお前たちに任せた!」
彼の指示に従い、ギルドの仲間たちは荒野の中でそれぞれの役割を果たすべく動き始める。
レヴァンの視界の隅では、異なる種類の星喰いが仲間たちを襲おうとする中、彼らも全力で応戦していた。
「防御壁、展開!」
後衛の星紋術士が叫ぶと、青白い光の障壁が現れ、別の星喰いの突進を防ぎ止める。しかし、障壁越しにも感じられるその力の猛々しさに、術士の顔には緊張が走る。
「持たないぞ!早く攻撃を!」
別の仲間が声を張り上げる。それぞれ武器を構えた戦士たちが前に出ると、星紋の力を付与した攻撃を繰り出し始めた。各々、敵に深い傷を刻む。
「くそっ、思った以上に手強い!」
レヴァンも対峙する星喰いと戦いながら遠巻きに仲間たちの状況を見ていたが、自分の前に立ちはだかる星喰いとの戦闘に集中しなければならない。その巨体は、先ほど倒した星喰いをさらに凌ぐ威圧感を放っている。
「来い…!」
星喰いが大きく息を吸い込み、その口から真紅のエネルギー弾を放った。それは地面をえぐり、大地を揺るがす一撃だったが、レヴァンは身体強化による高速移動でその場を離れる。
「まだだ!」
星喰いの側面に回り込むと、レヴァンは武器強化した剣で、鋭い斬撃を放つ。「ズバン!」という音とともに、星喰いの外殻に深い傷が刻まれた。しかし、その怪物は倒れるどころか、怒りを増したように咆哮を上げた。
「なんてしぶとい…!」
一方で、ギルドの仲間たちもそれぞれの戦いを繰り広げていた。別の星喰いを相手にする女性の星紋術師は、両手を広げて拘束術を展開している。
「今よ!、叩いて!!」
その星紋術師の声に応え、槍を持った戦士が突進する。その槍先は星喰いの胸部に深々と突き刺さり、厚い外殻を砕いた。
「ガァァァアッ!」
星喰いの断末魔が響き渡る中、仲間たちはさらに攻撃を畳み掛ける。だが、レヴァンの前の星喰いは、その全身から黒い霧を放ち始めた。それは荒野全体を覆い尽くすかのように広がり、仲間たちの視界を奪っていく。
「レヴァンさん、あれは…?」
「気にするな。こいつを倒せば終わる!」
彼は仲間たちを安心させるように言い放つと、自分の全力を星喰いにぶつける覚悟を決めた。青白い光が彼の周囲に集まり、その輝きは次第に増していく。
「これで終わりだ…!」
剣を大きく振り上げた瞬間、その刀身が光り輝き、巨大な光の刃を形成した。その斬撃が星喰いの中心を貫くと、荒野全体が眩い光に包まれる。
「ドォン!」
一瞬の静寂の後、星喰いの巨体がゆっくりと崩れ落ちた。その光景を見届けた仲間たちは、ようやく息をつく。
「この星喰い…久しぶりに手強い相手だったな。」
レヴァンは剣を収めながら、心の中でそう呟いた。そして、荒野を見渡しながら、新たな戦いへの覚悟を静かに決めた。
仲間たちもそれぞれ星喰いを撃退し、ついに戦いが終わった。
防御壁を展開していた星紋術士がほっとした表情で呟く。
「なんとか無事に全員で乗り切れたな…。」
拘束術を展開していた術師が近づいてきて、槍を構えた戦士と軽く肩を叩き合う。
「レヴァンさんのおかげです。あの一体目と二体目の星喰い、私たちだけでは無理でした。」
「いや、全員が力を尽くした結果だ。」
レヴァンは静かに答えたが、その目は遠くを見据えていた。荒野には星喰いとの戦いの跡が生々しく残されていた。