第9話(水面下での鍔迫り合い)
ミイカ・ナイトー伯爵は、蒼龍公エウレア・シェラス公爵が仕掛けた罠、即ち
『奢侈が過ぎる一部の大富豪貴族から、勅令を駆使することで、その貯め込み過ぎた富の一部を収奪し、国庫に納めようというもの』
これは、自家の財産を絶対に守り抜こうという保守的な性格の強いミイカ独自の判断であったが、それを免れようと、必死にもがいていた。
特に、自身が後継者と考えている双子の愛娘レイカが大富豪の娘であるが故に、何かしらの褒美として、抱え込んでいる莫大な富付きで、どこぞの馬の骨ともわからない男の妾とされる可能性を完全阻止すべく、宮廷内工作を開始したのだった。
先ずミイカが実行したのは、5年前にカンパニーの代表の座をミイカへ譲り、相談役へと退いた後も他国で優雅に暮らしつつ、ナイトーカンパニーの国際部門にも睨みを利かし続けている母セリーナに相談することであった。
「ふ~ん、そんなことが有ったの......」
母の反応は意外にも冷淡であった。
「だって、お母様。 お母様にとってもカワイイカワイイ孫のどちらかが、ごく一部の権力者の独断で、勝手に戦功の褒美の生け贄とされてしまうのよ?」
「まあ、そういう意味合いにも取れる勅令だけど......ミイカが少し勘違いしているみたいだから、先に言っておくわ。 私はカワイイ孫だと思っていないわよ、長女のマイカの方はね」
その返事に思わず絶句するミイカ。
確かにマイカは、祖母にあたるセリーナに対してですらつっけんどんな態度で馴染もうとせず、そればかりか、近年一切会っていなかったからだ。
「ちょっと言い方が悪かったかな? レイカはカワイイ孫だと思っているわ、もちろん。 だから、あの憎たらしい方を差し出せばイイじゃない? レイカを特定の相手に嫁がせなさいという命令では無いのでしょ?」
セリーナも、流石に一人娘のミイカが暗い表情を見せた為、少し冷た過ぎる表現だったと思い、言い直したのだった。
「......はあ......」
母の反応が予想外だったことで、今後どうすべきか考えが纏まらないミイカ。
そこでセリーナは、
「現状の曖昧な部分を正す良い機会じゃない? 現時点で伯爵家の後継者を正式指名してしまえばってこと。 それならレイカの方は盤石でしょ? 今後他人が一切口を挟めなくなるわ」
と、ピンチを逆手に取るように勧めてきたのだ。
しかし、まだ迷いを見せるミイカ。
ミイカは双子を産んだ若い頃、跡を継いだばかりのナイトーカンパニーのことにかかりっきりで、母としての役目を殆ど果たせなかったことが、マイカが複雑さを抱え過ぎた娘に育ってしまったのではないかと、後悔の念を持っていたのだ。
「マイカ。 貴女も少しは母親らしくなったのね。 憎まれっ子の方がいざとなると、可哀想と思えるようになるのかしら〜。 私には貴女しか子供がいないから、不出来な我が子に対して抱く感情はよく分からないわ」
セリーナは、子供時代のミイカの出来がまずまず良かったことを半ば賞賛するような言葉を感想として述べたのだった。
「あら、ありがとう御座います、お母様。 褒めて頂いたみたいで」
「貴女は育てるのに手が掛からなかったっていう意味で、別に褒めた訳では無いわよ。 ところで、一つ思い付いたことが有るのだけど......」
「なんでしょうか?」
「ナイトー家にも分家の子爵家があるわよね?」
「遠縁なので、殆ど交流はありませんが......」
「確かナイトー子爵家に10代の女の子が居る筈。 その子を貴女の養女としてから、勅令に従って差し出すっていうのはどう? 子爵家とわだかまりが出来そうだから、あまり勧めはしないけど」
母の提案に渋い表情のミイカ。
そのことは少し考えたものの、短期間での実現は難しいと一旦見送っていたのだ。
「う~ん、それはちょっと。 家門の優劣を露骨に利用すれば、強い反発を受けることでしょう。 子爵家も貴族の一員ですから」
「あの子爵家は小さな村一つを領地としているだけで、殆ど平民と変わらない貧しい生活をしているって聞いたから、お金で解決可能だと思うのよ......」
「妙案っていうよりは、苦肉の策ですね」
「仕方ないじゃない? ミイカはマイカをもう少し手元に置いておきたいっていう意向だから、私に相談してきたのでしょ?」
「そうですが......」
セリーナはそうだったと思い返しながら、話を続ける。
「とりあえず本題の、カイラ......サージェ公爵家の前当主夫人とのアポは取っておくわね。 カイラは私の同級生で長年の友人だから」
「お母様、お願いします」
「でも本来、貴女がサージェ公爵家の現当主......ヨート様だっけ? とアポを取れば良いのでは? 初等部から大学まで16年間も学院の同級生だったのだし......」
「申し訳ありません。 彼とはあまり仲が良くないので」
「そういうところが、ミイカの欠点よ。 学業成績で自身より下だったからって、ヨート様を見下し続けた結果が、関係が拗れている原因でしょ?」
「......次男の彼がこんなに早く後継ぎになるとは思っていませんでしたし......」
「ミイカには、他にも沢山大貴族のお嬢様方の同級生が居たのに、『経営者となる自分は、大貴族の奥方となることしか考えていない彼女達とは歩む人生が違うから』って、あまり打ち解けようとしなかったのよね? 私はそういう生き方も有りかなって思っていたから、苦言は呈さなかったけど」
「......」
「それが、旦那様選びにも出ているわね。 『貴族』っていう部分が強いプライドの高い男だと、成績優秀でエリート然としたミイカと所帯を持つのは無理だろうと思っていたから、大人しいショーウさんとの結婚に賛成したのよ......身分とかは抜きにしてね」
「......」
「今更言っても遅いけど、今後貴女はもう少し他人との関係を良好に保つべきだわ。 多くの従業員を抱える大企業グループの経営者でもあるのだし......」
これ以上話をしても、説教されるだけだとわかっているミイカは、このあと母セリーナとの画面越しでの会話を適当に切り上げると、執事アシナを呼び出したのだった。
「伯爵様。 ご用件は?」
「東公様のスケジュールを調べておいてくれないかしら? アポは私が直接取るから」
「はい、わかりました。 何か事業の話でしょうか?」
「まあ、それに託つけて、勅令の件がどうにかならないか相談してみようと思うの」
「承知致しました」
やがてアシナより、東公ことオロン公ヨハンナは、当面オロン諸島にある自宅に滞在しているとの確認が取れたと連絡が入る。
そこで、直接ヨハンナと連絡を取ったミイカは、直ぐに帝都から5000キロ以上離れたオロン諸島の本島『ウルン』へと向かうのであった。
「久しぶりね〜、ミイカ」
「ヨハンナも、相変わらず健康美人って感じね」
互いに軽く挨拶の言葉を掛け合いながら、ハグをする2人。
貴族らしさの全く無いヨハンナに合わせた挨拶を、違和感なく出来るようになったのは、アイルシアに折檻を加えていた頃のミイカとはだいぶ異なり、人間として成長した部分であろう。
空港からオロン公の屋敷へと直行したミイカは、玄関先で出迎えてくれた当主ヨハンナの歓迎の挨拶を受けると、応接間へと向かうのだった。
東公ことオロン公は、海洋大帝國を構成する5つの小国、五公国の一つであるオロン公国の当主である。
この惑星最大の海『大洋海』の中央部に浮かぶ絶海の孤島であるオロン諸島。
この一帯までが海洋大帝國の領土領海であり、諸島は最東端の防衛拠点であるものの、周囲に敵対する国家が存在しない為、オロン公国(東公国)は小規模の防衛隊を保有しているだけであり、人口も百万人程度と少ないことから、国としての経常費用が低く、国防軍の負担で苦しむ他の四公国とは異なり、五公の中では随一の富裕な『公』という存在であった。
オロン諸島は、その恵まれた自然環境を活かした世界的な一大リゾート地であり、莫大な観光収入が東公の潤沢な資金源となっていて、他の四公に資金援助をする程の財政余力を有しているのだ。
現オロン公当主ヨハンナは、五公の現当主の中で唯一の女性当主で年齢は42歳。
男社会である貴族社会の中で、同じ女性トップ同士意気投合したことから、ミイカは10年来の友人という関係を築いていたのだ。
「ミイカ。 今回は随分急いでこちらに来たようね。 ここはリゾート地だから、せかせかするのは似合わないわよ」
ヨハンナは軽く冗談を言って場を和ませる。
現実的なビジネス関係の話しが概ね終わったからだ。
「新しい一大リゾート施設が良いスタートを切れることを期待しているわ。 我がグループもだいぶ出資させて頂いているから」
ミイカもそんな返事をしたところで、ヨハンナがミイカの本来の用件を予想し、話を切り出す。
「今回の急ぎの訪問は、ビジネスの件は傍流で、本題はエウレア様が出した勅令のことでしょ?」
その質問に、珍しく素直な表情で頷くミイカ。
「私個人の意見としては、ナイトー伯爵家にとって、良い話だと思うわよ。 それでも嫌なの?」
「そりゃあそうでしょ? もしヨハンナが同じ立場だったら、素直に承諾する?」
ミイカの質問に、
「うん」
と答えて勅令の内容を肯定したヨハンナ。
これにはミイカも焦りを覚える。
想定していない答えだったからだ。
「ヨハンナは、オロン公国の当主だから、ノース公国の当主の3男との一方的な婚約の命令を受け入れられるのよ。 公国同士の繋がりが強くなるという利点が有るし」
「それは否定しないよ。 でも一番は人柄かな? 北公様も次期ご当主となる予定のクシュタル様も、御実直な人柄で、貴族らしい陰湿さが無いことに好感が持てるわ」
「私は北公様に会ったことが無いから......」
「でも、ナイトーカンパニーはノース公国でも事業展開しているわよね?」
「それは、ノース公国が人気の観光地ってことで......」
「その点は、オロン公国と一緒。 クシュタル様とミイカは当然、会ったことあるのよね?」
「有るわよ。 彼は北公国が運営するリゾート開発公社のトップだから」
「じゃあ、人柄の良さは知っているのでしょ?」
「知っているわ。 ただ......」
「そうか、面食いのミイカはあの剛勇の武将みたいな容姿と豪快な性格が、性に合わないんだ〜」
ヨハンナはミイカの心情をぴったり言い当てると、笑いが止まらなくなる。
「生理的に、容姿を含めたあの雰囲気が、滅茶苦茶苦手なのよ〜」
これがミイカの本音であった。
お馬鹿なマイカを嫁がせた場合、ミイカは北公の親族となり、おそらくあの性格では北公一家に大きな迷惑を掛けて、こちら側が恐縮せねばならぬ事態となる。
そうなれば、慢性的な財政赤字に苦しんでいると言われている北公国に、マイカが掛けた迷惑料として継続的な資金援助をしなければならなくなるであろう。
蒼龍公が勅令を出した理由は、大富豪のナイトー伯爵家の財産で、北公国の財政支援を行わせるのが本筋の狙いだと読んだミイカは、次期北公当主を生理的に嫌っていることも合わせて、強烈な拒否反応を示していたのだ。
「一言付け加えると、北公の御三男レオニス様は兄弟といっても、クシュタル様と似ていないわよ。 でも、ミイカがエウレア様の勅令を何とか躱したいという理由、よくわかったわ」
「じゃあ、協力してくれる? 勅令撤回への宮廷内工作に」
我が意を得たりと、一瞬喜びの表情を見せたミイカ。
しかし、ヨハンナは首を振ったのだ。
「今回の件はミイカの頼みでも、協力出来ないわ。 それにオロン公国に、七公の勅令を撤回させられるような力は無いの」
「そんなことは......だって、オロン公国は、他の四公国に対して、莫大な資金援助をしてきたのでしょ? それならば、五公全体を動かす力が......」
ヨハンナはミイカの考えに首を振り続ける。
政治の世界に対する認識が甘いという表情で。
「ミイカは何か、思い違いをしているみたいね。 12公会議のメンバーに五公国の当主も名を連ねているけど、国防や税務関係以外の案件で、中央政府を牛耳る七公へ口出し出来るような実力を持ち合わせていないの。 それは五公の中で最も富裕な私であってもね」
「ウソ......」
ミイカの、あり得ないという絶望した顔に、助力出来る可能性の有る人物を教えようかという気持ちになったヨハンナ。
半ばリップサービスのようなものであったが、希望を持たせてあげようと思ったのだ。
「今回の勅令を撤回させる力があるのは、まずは雪龍公か、白虎公かな? ただ白虎公は22年前の暗殺未遂事件以降、病室から出れない状態で、親しい人物以外は面会すら難しいわね」
「雪龍公......」
「その表情だと......ミイカ、まさか雪龍公との間に、何かトラブルを抱えているの?」
ヨハンナの驚いたような確認の言葉に、マイカが暴走して使用人のアイルシアに折檻を加えてしまった件を渋々説明したミイカ。
しかも電気鞭30発以上という、かなり重い折檻だったことも。
それを聞いたヨハンナは、今までに見せたことない程の渋い顔を見せてしまう。
「それで、雪龍公の署名が勅令に入っていたのね。 普段は自身の発した案件以外に、署名なさらない方だから」
そこまで裏事情を説明され、マイカの暴走が容易ならざる事態を招いていることに気付かされたミイカ。
「もちろん、謝罪はしたのでしょ?」
ヨハンナの畳み掛ける質問に、
「したわよ。 使者を送って......」
そこまで話したところで、ヨハンナは頭を抱えてしまう。
「使者ではダメよ。 ご自身で謝罪に伺わないと。 相手は公爵なの。 ミイカは伯爵でしょ? 2階級も差があるのだからご自身で頭を下げないと......」
そこまで話をしたところで、顔面蒼白となったミイカ。
「見せることは出来ないけど、勅令発付の承諾書の写しが、公である私のところにも回ってきているわ。 それによると発案者は蒼龍公と朱雀公の連名。 それに対しての承諾者は雪龍公と炎龍公。 これ程ガチガチに固められた勅令の場合、撤回不能ね。 今回の案件は北公以外の四公にとっては無関係で、興味すら持っていないでしょうし、12公会議に掛けるのは無理よ」
「ということは......」
「もし、奇跡的に黒龍公と玄武公、それに白虎公の3人の賛同をミイカが貰っても、4対3で負けってこと。 あくまで七公の間で決める案件だから」
ヨハンナの説明を聞き、自身の考えが甘かったと気付かされたミイカ。
勅令の撤回が不可能ならば、誰かを差し出すしかない。
「......」
黙り込むミイカ。
そして、悔し涙を見せ始める。
今まで、これ程の敗北感を味わされたことが無かったからだ。
「ヨハンナ。 もう勅令撤回が不能ってことはわかったわ。 でも、資産を半減させられるような婚約を、なんで受け入れなければならないの......」
「資産半減? それはちょっと大袈裟でしょうよ」
「我儘で情緒不安定なマイカを嫁がせたら、間違いなく先方に大変な迷惑を掛けることになるわ。 何かやらかす度に、その詫びで資金援助しなければならないでしょ?」
ミイカはそこまで語ると、涙が止まらない......
屈辱を味わったことのない、大貴族大富豪のお嬢様らしい反応であった。
「2000億を持参させて、縁切りするしかないかな? マイカお嬢様を嫁がせる場合には......」
ヨハンナも、マイカ・ナイトー伯爵令嬢が、人間性に大きな問題を抱えていることをミイカの愚痴から聞いて知っている。
そこで、少し過剰な言い方で、不安を煽るような言い方をしてみたのだ。
それを聞き、更に項垂れるミイカ。
流石に可哀想だと、ヨハンナも思ったようで、
「思い切って、レイカお嬢様を嫁がせたら? それならば、レイカさんが贅沢する為の分だけを援助するので済むわ」
しかし、ミイカは、
「マイカが私の後継者になったら、ナイトーカンパニーは終わりよ。 他人に対して協調出来ず、気に食わないことが有ったら暴力を振るってしまうのだから......」
とだけ答えると、悔し涙を流し続ける。
それに対してヨハンナは、少しだけ憐憫の情が湧いたようで、
「じゃあ、こういうのはどう? ミイカの一族の妙齢の女性を急遽養女にし、勅令に従って北公の御三男に差し出すの。 この勅令を最大限ミイカ側に都合の良い様に解釈すると、実子である必要性が一つも謳われていない。 ってことは、それなりの女性であれば、蒼龍公も承諾する筈よ」
と新たな提案をしたのだ。
これは、母セリーナの提案と似ているが、更に一歩踏み込んだものであり、エウレアが発出した勅令の盲点を突いたものであった。
その言葉を聞き、ミイカの顔に希望の光が点ったようだ。
泣き止んだばかりか、一気に乗り気となる。
「ヨハンナ、有り難う。 流石貴女だわ。 はるばる相談に来て良かった〜」
「でもミイカの一族で、都合の良いそんな女の子、居たっけ?」
「貴族の分家は一つしかないけど、平民に成り下がった者も居るらしいし、血を引く者が皆無という訳では無いわ。 何とか帝國じゅうを探して、必ず文句の言えない女性を見つけて、蒼龍公をギャフンと言わせてやるの。 こんな手があったのか、ヤラれた〜って表情を絶対にさせてやるんだから......」
ヨハンナの一言で、闘志が戻ったようで、
「ゴメンね。 今から帝都に帰るわ」
と言い、立ち上がる。
「さっきこっちに着いたばかりでしょ? 一泊して明日帰っても、問題無いと思うけど......」
ヨハンナはそう言って引き止めたものの、ミイカは聞く耳を持たず。
直ぐに同行してきて、ホテルで待機中の側近2人に連絡を取ると、
「本当に有り難う。 この御礼は必ずするから」
そう言うと、オロン公の邸宅からあっという間に出て行ってしまったのだ。
「本当に行動力の有る方ね。 その点は評価するけど、他人に対する労りや憐憫の情を持っていれば、生涯の友になれたのに......それが欠けすぎなのよ、ミイカ、貴女は」
ヨハンナはミイカを門扉まで出て見送ると、独り言を呟きながら、邸宅内へと戻るべく足早に歩き出す。
見送りに同行していた最側近の一人のハンスが、
「ヨハンナ様。 何か仰られましたか?」
と質問してきたので、
「なんでも無いわ。 それより、これから大事な方と連絡を取らなければならないので、暫くの間、誰も私の側に近寄らせないでね」
と指示をしたのだ。
そして、ヨハンナは自身の部屋に籠もると、早速誰かと連絡を取り始める。
「貴方がたの予測通り、あの方、こんな遠くまで急いでやって来たわよ......本当に大丈夫なの? そちらの指示通りの流れで話をしたら、嬉々とした様子で帰るって言い出して......ただ、彼女とは一応十年以上の友人だから、嘘はつけなかったわ。 この婚儀の件、レオニダス様を知る者にとっては、凄く素敵な話だもの。 ......ミイカのところじゃなくて、私のところに持ち込んでくれたら、喜んで良い娘を探したのに...... ゴメンゴメン、貴方がたの目的は......ってことだものね。 結局はミイカの泣きっ面を見ることになるのかな? じゃあ、また12公会議の時に......」
大晦日の時点で、最終2話を書き始めたところです。
第一期『伯爵家篇』は全18話の予定となります。
それでは、良いお年を♪