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 欠けたモノが嫌いだった。矛盾していることが許せなかった。歪なモノなんて見たくなかった。

 だから、あの男がやたら目についたのは、私が厭う全てが当て嵌まったからだ。そうに違いない。











 私は、あの男が嫌いだった。初めて見た日から、ずっと嫌いだ。大っ嫌いだ。


 あの男は、いつも笑っている。その癖に、ホントウが一つもない。その歪さが気持ち悪かった。周りの人間がその事実に気が付かないことがさらに気持ち悪さを助長させる。

 人を欺いている癖に、私の大事なサキにやたらめったと構うのも許せなかった。一貫性のない行動が許せない。そして、何より。私のことを見るあのガラス玉のような目が嫌だった。

 何の感情も映さないのに、こちらを見透かすような目。その目を見たくなかった。その目に見られたくなかった。


 あの目は怖い。誰に興味も抱かず、拒絶の色を見せるのに、誰もを魅了するガラス玉。それは、いつも好意的で親身になっているかのように色づいていた。




 誰のこともちゃんと見る気なんてない癖に。いけ好かないアイツ、リッカだけにしか、興味がない癖に。











 あの男を認識したのは、学年が一つ上がり、高校二年になった時だ。私たちのクラスは特進クラスで、三年間持ち上がりだ。そこに、転校してきたのが、サクという偽りだらけの男だった。




 初めてサクを見た時、嫌いだ、とすぐ思った。それは、リッカに懐いているからだったかもしれないし、私が嫌いな歪さを読みとったからかもしれないし、あまりはっきりとは覚えていない。


 ただ、嫌だ、そう思ったことだけが、記憶にこびりついている。




 あの男は、いつも人が集まる場所にいた。うちのクラスは変人、奇人、嫌われ者、の巣窟で雑然としている。だけど、あの男がいるところは、何故か普通のクラスであるような和やかさがあった。そこにいる男は全て嘘っぱちの作り物なのに。


 それを見ていると私の気分は下降する。いつだって苛立っている私だけれど、そんな場面に出くわした時には、普段の自分が可愛く思えるほどの激情が湧き上がった。

 腹の奥がグラグラと揺れるようなこの感情は私の不快感を一気に跳ね上げる。

 だけれど、どうしても視界に映り込む。見つけてしまう。それが何より腹立たしい。




 あの男がどんな奴か、彼を知るモノにそう聞くとする。女好き、フェミニスト気取りのキザな奴、面倒見がいい、ムードメーカー、どこか憎めない奴、など好感をもったニュアンスの感想が返ってくるだろう。

 大抵の人間が、あの男に好印象を抱く。それもそうだろう。嘘で塗り固めて、他人によく思われるように印象を操作しているのだから。


 誰もあの男の本質なんて知りはしないのだ。利己的で、冷淡で、排他的なホントウ。

 それを知らずに表層だけをなぞって、あの男に創られた形を彼だと認識する。そして、得意げな顔をして仲良さげに振る舞うのだ。

 その姿のなんと滑稽なことか。おかしくておかしくて涙が出る。体は打ち震え、形容し難い感情と共に湧き上がる嗤いが私の涙を助長した。あぁ、なんて嫌な感覚だろう。心を波立てられているという事実が忌々しい。




 あの軟派な態度だって偽物なのに、群がる有象無象の女どもの気がしれない。なんであんな男がモテるのか。近寄るだけ無駄なのに。そう思う。


 あの男の目には、そこらの女など映っていない。記号として女だとは認識しているだろうが、恋愛対象であるとは微塵も思っていないのだ。

 フェミニストを気取っている癖に、その実、誰よりも女性に興味がない。相手を丁寧に扱うフリをすることで、女を遠ざけている。

 そこまでして、他人と距離をおきたいなら、教室の端でジメッと縮こまっていればいいだろうに。

 まぁ、あの男が、大好きなリッカをに人との関わりを持たせるために、そんなことをしているのは分かりきっているけれど。

 なんて馬鹿馬鹿しいことだろうか。アイツはそんなもの求めていないのだから。

 そうだ。リッカがそんなに大切なら、もっとアイツの望み通りに動けばいい。リッカは他人に干渉されず静かに過ごすことだけを望んでいる。だから、そうできる環境を整えてやる方がよほど喜ぶのに。



 もし、アイツを1人にするのが嫌だというのなら、アイツ以外の全てに壁を作って、2人だけの世界で過ごせばいい。そうすれば、少なくとも1人にはならない。

 どう動くにも困らないための完璧な外面だ。サクという男は、そのためだけに、周りを上手くコントロールしているはずなのだ。

 だから、どうして、と思う。どうして、私のサキの前で気を緩めたりするのだろう。やたらめったと絡んで、懐いて。こんな男、サキには近づけたくないのに。

 けれど、サキは他人を絶対に拒絶することなんてしない。それが、とても嫌だ。嫌でたまらない。どうして、あの男は全てを壊そうとするのか。ようやく出来た安息地なのに。




 あんな男、リッカにだけ構ってればいい。心底そう思う。こちらに関わらなければどうだっていいのに。そうすれば、ただ目につく人間だと処理できる。けれど、そうはならないのだから、現実は非常だ。











 あの男は、何故だか、サキに懐いている。ことあるごとに、声をかけてはサキを笑顔にして去っていく。それが、とてつもなく不快だった。けれど、直接文句を言うこともできない。この男とは、言葉を交わすことさえしたくなかった。全く親交のない赤の他人でいたかった。けれど、最悪なことにサキに絡みにくるということは、私とも近しくなるということだ。


 私はいつもサキを探していた。彼女の近くにいると、鋭い苛立ちが凪いで、ほっとする。だから、私はサキを求めた。サキが近くにいる時は必ず隣にいた。そうしないと落ち着かなかった。


 だから、あの男がサキと話す時、どうしても私は近くにいた。この男の近くにはいたくなかったけれど、そのためにサキから離れるのなんてありえない。仕方がないから、いつも私は、あの男を威圧しながら、早くどこかにいけ、と念じている。サキには嗜められようとも、やめることは出来なかった。











 サキは忙しい。クラスの委員長であるし、人当たりの良いお人好しなので、いつも誰かに頼られている。

 そういうところがサクとサキは似ているかもしれない、そう思ってから、あの男がサキに似ているなんてとんでもない、と打ち消した。


 そう、サキはどこでも引っ張りだこだ。いつも誰かの為に働いている。それは、休み時間だろうが、放課後だろうが、関係ない。

 それを忌々しく思いながらも、口を出すことが出来ない。

 サキが他人に時間を割くことに苛立ちを覚えるけれど、そんなサキに救われた私に異議を唱える資格はなかった。


 だけれど、私はサキと一緒にいたかった。

 サキの側にいると息が出来る。癒される。だから、下校の時くらいサキを独占したくて、いつも彼女の用事が終わるまで一人で適当に時間を潰していた。彼女と帰ることができることが私の幸せだった。




 私が暇をつぶす場所はまちまちだった。ふらりと空き教室に入ってみたり、図書室にいたり、見つからないように屋上へ上がったり。


 その日、私は空き教室にいた。窓際に置いてあった椅子に、片足を抱え込んで座る。なんてことない日で、はやくサキが帰ってきますように、と願ってぼんやりと窓の外を見ていた。


 外で部活に勤しむ人間を、馬鹿だな、と思う。その行為になんの意味があるというのだろう。何をどう頑張ったって、最後にはみんな死ぬのだ。

 どんな人生を送ろうが、何をどれだけ積み上げようが、唐突に死は降りかかり、その身を消し去る。それは人間であろうと、バケモノであろうと、変わらない。等しく訪れる。だから、必死に生きるものは、全て馬鹿だ。


 他人を貶す言葉ばかりを頭に浮かべて、あの男の顔を思考から追い出す。残念ながら、あの男はとてつもなく馬鹿なので、一番に思い浮かぶものだから、あまり意味はないのだけれど。


 そんな風に、ぼんやりと思考の中を揺蕩っていた。けれど、教室のドアが開く音で、意識が現実に引き戻される。そちらを見やれば、立っていたのはあの男だった。


「あれ?サキちゃんと一緒じゃないの?」


不思議そうに色のない瞳をこちらに向け、ヘラリと笑う。


 あぁ、イライラする。その顔を私に向けてくれるな。サキがいなければ、抑えられない。意味のない怒りを誤魔化せない。


 サクは、答えない私を不審に思ったのか、こちらに近づいてくる。私はそれを黙殺して、顔を背けた。

 顔も見たくない、と拒絶を示したつもりだった。けれど、サクは私の態度を気にする事なく、ツカツカと近寄り私の前に立つ。そして、偽物の笑顔を貼りつけて、私を覗き込んだ。そこで、何かが切れる音がした。


「その顔を私に向けないで」


冷たく切り裂くような声が出た。

 いつもツンケンしている自覚はあるけれど、それよりも数倍鋭い声。それを以ってしても、この男の顔を苦笑に変えることしかできないのだから、嫌になる。

 そんなに、アイツがいいというのか。あの偽悪ぶった捻くれ者が。


「アンタの嘘くさい笑顔を見てると吐き気がするのよ」


毒を吐きながら生きてきた私の口からは、他人を傷つける言葉がするすると出てくる。

 この男が私の言葉で傷つくとは思わないけれど、少しくらい不快感を覚えればいい。私が味わっている嫌悪をこの男も味わえばいいのだ。


「上手く、笑えてると、思ったんだけどな」


サクは、普段より下手くそに顔を歪めた。それを見ると、心臓がギュッと握られたように苦しくなった。

 ホントウをみても不快感に苛まれるなんて。この男の存在が私にとっての毒だとでもいうようだ。


 真実、私はこの男を嫌っているのだから、違いはないのかもしれない。


「ねぇ、リリちゃん」


いつもより幾分か落ち着いた声で名前を呼ばれて、ゆっくりとサクに顔を向ける。そして、見なきゃよかったと思った。



ーーーねぇ、どうしてわかったの?



媚びる響きを含んだ猫撫で声をだし、甘えるような、乞うような、そんな表情でサクはこちらを見ていた。


 チリッと焦げるような感情が腹の中で燻りだす。また、ニセモノだ。


 今までもこうやって、女に擦り寄っていたのだと思うと、気持ち悪くなる。自身の魅せ方をよくわかっているこの男が忌々しい。


 どうして、だなんて。嗤ってしまいそうだ。


 自分の違いに気がついていないことも、私に理由を尋ねることも、何もかもが可笑しい。それ以上の嫌悪感のせいで、嗤いは表に出てこないけれど。


 聞いてどうするというのだろうか。バレたって別に構わないじゃないか、と思う。

 そもそも、バレたってこの男なら口八丁手八丁で誤魔化してしまえる。だから、私の言葉を否定せず、やけにあっさり認めたことが釈然としなかった。


 あぁ、でも。いけ好かないアイツから私のことを聞いていたなら、こういう反応になるのかもしれない。


 サクが大切にしているリッカと私は相入れない仲だ。だから、良いように伝えるとは思えない。

 リッカ以外の口からでも悪い噂しか出てこないだろうけれど、アイツは事実に基づいたことしか言わないから、何か興味を引くような変なことを吹き込んだに違いない。


 まったく面倒なことをしてくれたものだ。アイツを罵ってやりたい。この男はアイツからの言葉がなければ、私から答えを聞こうとはするはずないのだから。


 こんな風に強請られて、理由を教えてやるのは癪だけれど、教えて狼狽える姿が見てやりたいとも思う。


 あぁ、この男に関しては相反する感情ばかりが湧き上がる。身のうちをかき乱されるこの感覚がとても嫌だ。こういう一貫性のない考えは私が最も厭うものだ。それを自身が抱えているなんて許容出来るはずもない。


 だから、この男が嫌いなのだ。


「…もう一度言うわ。貼りつけた表情で寄らないで。殺したくなる」


つり目がちの目をさらにつり上げて思いっきり睨みつける。

 この男が近くにいるだけで、腹が立って落ち着かないというのに、その上ニセモノを貼りつけて寄ってくるなんて、屈辱以外の何物でもない。


 いっそヒステリックに怒鳴ってしまえれば腹の中の感情も少しはマシになるのだろう。怒鳴りつければ、この男を追い払うことも可能かもしれない。


 けれど、そんなことは、これまでも、これからも、できるとは思わない。


 いつもツンケンしているけれど、私の感情は実のところ単調だ。悲しみも、楽しみも、あまり感じない。私の根本にあるのは強い怒りだ。

 それは、ひとえに生まれ持った性質と育った環境のせいだけれど、別に特段不幸だとは思わない。それで、困ることはなかった。孤立しようが気にならなかったし、虐められても、何倍にもして返してやった。

 社会性は無いに等しいけれど、それで死ぬわけじゃない。

 だけれど、サキと出会ってから少しそれでは惜しいと思った。


 裏表がなく、ねじれの無い美しい彼女は私の理想だ。


 逆にいえば、彼女のような人間以外、私は受け入れることができない。矛盾を孕む人間が酷く気持ち悪いもののように感じるのだ。

 だから、私は彼女以外の人間と親しくなることはできない。そして、どんどん彼女に傾倒していった。周りの人間を排除したいと思うくらいに。


 私にはサキしかいないのだ。そう、だから。こんなニセモノばかりのこの男をサキに近づけてはいけないのだ。私が近くにいる時だけでも寄って来なくなるように、痛めつけて、そして、私をーーー。


 降参だというように手を挙げて、サクは一歩後ろに下がった。


「聞いてたより苛烈だねぇ」


困り顔でこちらを伺う顔は、今までで一番マシな表情だった。この男の素の顔が見られただけで、少し胸が空く思いがした。

 私は、サクの言葉に鼻で笑った。


「アイツの言葉を信用するのが間違いよ」


リッカが持つ感性は普通一般とかけ離れている。だから、アイツの言葉をアイツのニュアンス通りに理解しようとするのが間違いなのだ。


「それで、どうしてわかったの?今まで誰にも気づかれなかったのに」


サクは、不思議そうに首を傾げ、私をじっと見つめている。

 表情がニセモノではなくなっても未だガラス玉のままの瞳に、私が映っている。それが何故だか、酷く悔しい。

 歪みそうな顔を無理やり澄まし顔にして、強く答える。私が乱された分だけ、この男を乱してやりたかった。


「だって、全然違うじゃない。そこらの有象無象とアイツへの態度が」


私の言葉にサクは顔を凍らせた。だけれど、それを見ても私は全くすっきりしなかった。むしろ、いいようもない感情がじくじくと胸に広がる。


「…はは。そんなに違ったかな」


「さあね」


私がアイツと顔見知りだから気がついたのかもしれない、そう思ったけれどいわなかった。きっとこの男にはなんの慰めにもならないだろう。

 リッカに向ける表情が違う、だなんて理由で気づかれたくなかったに違いない。


 アイツと一緒にいられるということは、完璧主義者であるということだ。

 なんと馬鹿馬鹿しいことか。そんなに気づかれたくないなら、アイツを徹底して避ければよかったのに。


 誰にも見つからないように、アイツの生活を整える方法なんていくらでもある。

 大方、アイツを一人にすることを厭うたのだろうけど、それならば、他者と関わるのをやめる方がよっぽどよかっただろう。そうすれば、本性がバレてしまう可能性もなければ、アイツを一人にする心配もない。それを選ばなかったのは、慢心か、或いは、貪欲さからか。


 少し考えてから、全てがどうでもいい、とその思考を切り捨てた。

 この男の考えもアイツの心情も、私にはどうだっていい。サキのこと以外は、私にとって考える価値のないものなのだ。そう心で呟く。

 それでも身に巣食う苛立ちは消えないけれど。


「わかったなら、さっさとご主人様のところに帰りなさい」


目線を校庭に戻して追い払う。

 この男の顔を見ていたくなかった。このガラス玉は私に言いようのない感情を運んでくる。そんな事実を早く忘れて、サキのことだけを考え、サキの帰りを待ちたかった。そうすれば、私の心は僅かに癒されるだろうから。


「もう私には近寄らないことね」


動かないサクにさらに言葉を重ねた。温度のない声だった。暖かくも冷たくもないその音は、普段の鋭利な音より優しい響きをもっていた。それがとても気持ち悪い気がして、息を吐いた。


「お互い近づかなければ、もう不快な思いはしないわ」


本心からそう思った。関わらなければこの苛立ちが緩和されると、そう思った。


 きっと私とこの男は相性が悪い。だから、一目見ただけで苛立ちを感じる。そうではない、と心のどこかで思ったけれど、そんなもの全部気のせいだ。

 だって、相性が悪いからという理由で全て説明がつくのだから。そして、その方が都合がいい。

 私が心底嫌いなアイツに関わらなければいけなくなる可能性は極力排除したいのだ。


 アイツは私の天敵だ。アイツがどう思っているか、なんて知らないが、きっと似たようなことを思っていることは想像に難くない。

 非常に不本意であるし、まったくもって認めたくはないが、アイツと私は同類だった。境遇も似ていれば、感性も似ている。両者と深く関わらなければ似ていると気づかれないのが救いだろうか。


 だから、私はアイツの思考パターンや感情の移ろいをほぼ完璧に理解できる。向こうもそれは同じで、そんな事実に反吐が出るけれど、そのおかげで私たちは関わり合うことなくいられる。

 家同士の柵で親しくすることを望まれる環境下で、近づかないでいられる。適当に吐く言い訳が、打ち合わせなんかしなくてもアイツと同じだから、誰にも疑われない。

 だから、他人が間に入ったり、強要されない限り、私たちは関わらずにいられるのだ。そんな関係だから、私がこの男とこれ以上親しくなる、なんて論外だ。

 それに、と思う。



ーーーアイツを好むことは私を嫌うことと同義だ



似ている私たちだけれど、最後に決める選択肢は正反対だ。それが根幹の違いか、肉付けの違いか、わからないけれど、相反する私たちのことをどちらも好きだという人間はほぼいない。それが答えだろう。

 だから、この男も私の存在が不快であるはずだ。今はそうでなくても、関わっていけば違いに腹が立つに違いないのだった。ならば、わざわざ近づく意味はない。


 私は言葉を返さないサクをおいて教室を出た。サキを迎えに行こう。不安定になった心をきっと鎮めてもらえる。

 そんなことのためにサキを求めている自分に嫌悪感を抱きながら、歩いていく。


 私は自分というモノを持て余している。いっそあの男のように、自分を“リリ”という対人用の機械として運用してしまいたい。そう思うくらいには、自分の感情がいつも邪魔だ。


 この世には私の意に反するモノが多すぎる。自分でさえいうことを聞かない。

 

どうしようもない世界で、どうしようもない私は、どうしようもなく生きている。












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