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20/26

20.ストロベリー侯爵には、仕事がある。

 それからの一週間、シャロットはそわそわとしながら時を過ごしていた。

 二年ぶりに母親と会うんだもの……当然よね。


「ママ、お花がすきだったのよ。今もすきかなぁ」

「ママは、ピンクがにあうの! だからシャル、ピンクのふく、きる! そしたら、おにあいでしょ?」


 ママという言葉が出てこない日はなかった。

 本当に、シャロットはラヴィーナさんのことが大好きで。

 正直……そんなに思われているラヴィーナさんが、羨ましいって思ってしまう。



 そしてとうとう、当日。


 朝からシャロットは落ち着かない様子で、部屋の中を行ったり来たりしていた。


「まだ? まだこないの? もうおひる? おひるすぎ?」


 窓の外を何度ものぞきこみ、ぴょんぴょんと小さく跳ねながら、スカートの裾をふわふわ揺らしている。


「ねぇレディアおねえちゃん、シャルのリボン、まがってない? へんじゃない?」

「大丈夫よ。とってもかわいい。ピンクのドレスも、あなたにぴったりね」

「ほんとに? ママ、かわいいっておもってくれるかな……?」


 大きな瞳に、少し不安を浮かべながら尋ねるシャロットに、私はそっと笑みを返す。


「間違いなく思ってくれるわ。あなたは、とびきり素敵なお姫さまだもの」

「えへへ……」


 シャロットは顔を少し赤くして、それでもまたそわそわと立ち上がる。

 それからどこか真剣な顔つきになって、廊下の先にいるイシドール様の元へと駆けていった。


「パパ!」

「どうした、シャル?」

「えっと……シャル……ママに、なにをはなすか、わすれちゃいそう……!」

「大丈夫だよ。言葉にならなくても、気持ちはちゃんと伝わる」

「……ほんとに?」

「ああ、シャルがママを好きなように、ママもシャロットをずっと想ってる」


 イシドール様が優しく笑むと、シャロットはふっと表情を緩めた。

 それでも手は、ドレスの裾をぎゅっと掴んでいる。


 そして──


 ラヴィーナさんがやってきた。


 到着したのはお昼過ぎ。

 簡素な馬車の扉が開き、そこから降り立ったのは──陽を受けて輝く金髪を持つ、優美な女性だった。


 青い瞳が少し揺れて、迷いと期待を滲ませている。

 控えめに微笑みながら、玄関へと歩を進めるその姿は、どこか緊張して見えた。


「……ママ?」


 玄関ホールの陰から顔を出したシャロットの声が、空気を震わせた。

 ラヴィーナさんの足が、止まる。


「シャロット……?」


 お互いの姿を目にしたその瞬間、すべての音が消えたかのような、沈黙。


 次の瞬間──


「ママあぁあああ!!」


 シャロットが、駆け出した。

 私の横を風みたいにすり抜けて、ラヴィーナさんに向かってまっすぐに。


 あの勢いは、もう、思いが弾けたように。

 会いたかったよね……ううん、ずっと、我慢してたんだもんね。


 ラヴィーナさんも、腕を広げて待ってた。

 もう、堪えきれないって顔して。


「シャル……シャル……!」


 胸の中に飛び込んだシャロットを、ギュッと抱きしめて、二人して泣きじゃくってる。


「会いたかった……ずっと、あなたに会いたかったのよ……!」

「シャルも! ママに、あいたかったぁ……!」


 シャロット、ママに抱きついたまま、声にならない声で泣いてる。

 ラヴィーナさんも、きっと何度も同じ夢を見たんだろうな……シャロットを抱きしめる夢を。


 肩を震わせて泣く母娘。

 二人の涙が、お互いの頬を濡らしながら、長い時を埋めていく。


「大きくなったのね……こんなに……」

「シャル、ちゃんとおねえさんになったの! でも、ママにあいたくて、ずっとずっとがまんしてた……!」

「ごめんなさい……ひどい母親で、ごめんね……シャルのそばにいられなくて……」

「ちがうの! ママは、シャルのママだもん! シャル、ママのこと、だいすき……!」


 ……もう、だめ。

 こういうの、だめなのよ私、ほんと。


 気づいたら、目元を押さえてた。

 バレないように、さっとハンカチで涙を拭き取る。


 横にいたイシドール様は、無言でふたりを見ていた。

 でもその目は、誰よりもあったかくて。

 さすが、イシドール様だなぁって。私の大好きな人だなぁって。


「ママ、ママ、ママーーーー!!」

「シャル……っ」


 そんな風に抱き合う二人を。

 私とイシドール様は、静かに見つめていた。



 それからしばらく、私たちはラヴィーナさんとシャロットをそっとしておいた。

 今は、二人きりでたっぷり話す時間が必要だと思ったから。


 最初のうちは、シャロットがあちこち連れ回してたみたいだけど、今は自分の部屋で落ち着いて話してるみたい。


 ……なのに、私はというと。


「……何の話をしてるんでしょうね……」

「レディア、それ、七回目だ」

「うっ!」


 イシドール様の執務室で、落ち着かないなんてもんじゃなかった。

 じっと座ってるだけなのに、心臓がずっとおかしな動きをしてるみたいで。

 ソファーの端で手を握ったり開いたりしてる私を、イシドール様はいつもより優しい目で見てくれてる気がする。


「だって、気になって気になって、仕方ないんです……」

「……そうだな」


 イシドール様の返事は短かったけど、なんとなく、わかる。

 だって、机の上の書類が、そのまま手つかずで山になってから。

 こんなこと、初めてだもの。


 ……怖いんだ。

 きっと、私以上に。


 沈黙が落ちたその時。扉の向こう、さらにその遠くの方から声が響いてきた。


「パパー! ママがおはなししたいってー! はいってもいーい?」


 シャロットの明るい声に、イシドール様が立ち上がる。


「ああ。入ってきなさい」


 その声に返事するように、バタバタっと足音が近づいて、扉が開いた。

 ラヴィーナさんとシャロット。並んで、こちらを見ている。


 私は思わずソファーから立ち上がった。


「あの、私……お邪魔だったら出て行きますね」

「いいえ、レディアさんもいていただきたいわ」


 そう言ったのは、ラヴィーナさんだ。

 彼女の目には、何か決意のようなものが宿っていて、私はただ頷くことしかできなかった。


 椅子に座ると、シャロットが私の隣にぴとっとくっついてきて。

 今から何が始まるのかと喉が渇いてくる。


 そんな中、ラヴィーナさんが、ゆっくりと話し始めた。


「イシドール様……謝罪が大変遅くなってしまい、申し訳ございません。私はあなたの信頼を裏切り、決して許されない行いをしました。あなたを深く傷つけてしまったこと、心からお詫び申し上げます。アデルも謝罪を申し出ておりましたが……今回は、同席するべきではないと思い、彼には遠慮してもらいました。」


 ラヴィーナの心からの謝罪を聞いて、イシドール様は少し首を横に振った。


「元は、俺が横恋慕してしまったことにあるのだ。一目惚れして、すぐ求婚してしまった俺に非がある。もっと君を知るべきだった。若気のいたりという言葉では済まされないことだが……許してくれ」

「イシドール様に非などありません。すべては私が悪いんです」


 そんな風に言い合う二人に、シャロットが体を浮かせる。


「パパもママも、わるくないもん。ふたりとも、いい子いい子よ。だって、シャルのパパとママだもん。そうでしょ、レディアおねえちゃん!」


 話を振られた私は頷いて、二人に笑みを見せる。


「ええ……お二人とも、自分の気持ちに素直な、優しい人よ。本当に素敵な両親ね、シャロット」

「そうでしょー!」


 私が褒めると、シャロットは嬉しそうに天使の笑みを見せた。

 そんな娘の顔を見たイシドール様とラヴィーナさんは、それ以上自責するのは辞めて、お互いを見つめ合う。


「シャルと二人で過ごさせてくださって、ありがとうございました。シャルに、今の私の状況と気持ちを、全部お話ししました」


 彼女は全部シャロットに伝えたんだ。

 今、一緒に暮らしている新しいご主人のことや、一歳半の子どもが生まれていることも、全部……包み隠さず。


「ママはね、シャルをすてたんじゃなかったのよ。ほんとうはいっしょに行きたかったんだって!」


 ほくほくと話してくれるシャロットに、私はほっとした。

 捨てられたんじゃないって、ちゃんと愛されてるんだって、わかった顔してる。

 ……よかった。

 本当に、よかった。

 シャロットの心が壊れる前に、ラヴィーナさんと話せて。


「今は家族三人で静かに暮らしていますが、シャロットがいればと思わなかった日はありません」


 ラヴィーナさんの、真剣な瞳。次の言葉を、私は恐れながら待った。


「こんなお願いをする資格はないと、わかっています。でも……どうしても伝えたくて」


 ラヴィーナさんは膝に置いた手をぎゅっと握り、まっすぐイシドール様を見つめる。


「私は今、温泉街の館で働いています。アデルと、一歳半になる息子と暮らしています。今日シャルに会うことを夫にも話しました。もし、イシドール様とレディアさんが許してくださって……シャル自身もそう望むなら──」


 そこで一度、言葉を切り、ラヴィーナさんは静かに深く頭を下げた。


「もう一度、母として、この子と暮らしたいんです」


 短く、まっすぐな母としての切実な言葉。


 沈黙のあと、イシドール様の声が低く優しく響いた。


「……シャロットは、どうしたい?」


 いやだ。聞きたくない。

 答えを早く知りたくて、でも怖くて。


 ──だけどシャロットは、何の迷いもなく笑った。


「ママといっしょにくらす!」


 私は──

 一瞬、何が起きたかわからなかった。

 隣にいるシャロットの笑顔が、あまりにも無邪気で、まっすぐで。


 ああ、そうだよね。

 そうなるかもしれないって、わかってたはずなのに。


 イシドール様の指が、わずかに止まった。

 それだけ。

 表情には、まったく出てなかった。


 でも、わかる。

 きっと心の中で何かが軋んでるって。


 私も、ショックで。

 喉の奥がきゅっと詰まって、笑おうとしても口元がうまく動かなかった。


「……ママと一緒に暮らしたいなら、そうしていい」


 穏やかに紡がれた、イシドール様の言葉。

 わかってた。イシドール様は、そう言うって。どれだけ、苦しくても……

 だって、そういう人だから。


 イシドール様の言葉に、シャロットはぱぁっと顔を輝かせた。


「じゃあみんなでお引越しだね!」


 予想外の言葉に、私は言葉を失う。

 ニコニコ嬉しそうな笑みを振り撒くシャロットを見ると、胸が痛んだ。

 そっか、わかってなかったんだ。


 ……ちがうんだよ、シャロット。

 その「みんな」に、私も、イシドール様も入ってるんだよね。

 でも、それは──叶わないこと。

 彼女の間違いを正す勇気を、私は知らない。


 ふと落ちた沈黙に、シャロットは首を傾げてる。

 そんな娘に、イシドール様が小さく首を振って答えた。


「パパは行くことができないんだ。ここで仕事がある」

「……パパ、来ないの?」


 シャロットの声に、急に不安が滲んだ。


「じゃあ……レディアおねえちゃんは、これるよね?」


 ……答え、られない。

 もちろん、行けるわけがないんだけど。

 イシドール様が代わりに、静かに告げてくれる。


「レディアも、行かない」


 シャロットの目が、一気に潤み始めた。

 私の胸に、何かがぐさぐさと刺さってるみたいに、痛い。


「……じゃあじゃあ、ママたちがここにくる!? みんなでいっしょに! おへや、いっぱいあまってるよ!」


 ねえ、お願い──と、まっすぐな目で見つめてくるその顔が、たまらなくつらくて。


 でも、ラヴィーナさんは、優しい顔で、首を横に振った。


「それは……無理なのよ、シャル……」

「どぉしてぇ……?」


 ふにゃ、と顔を崩したシャロットは、今にも泣きそうで。

 その顔を見た瞬間、私の胸はきゅうっと縮んだ。


「ママのところにいくか、パパのところにいるか、どっちかしか、できないの」


 なんて、残酷な選択だろう。

 六歳になったばかりの子に、こんな問いを突きつけて。

 私たち大人は、なんて酷いんだろう。


「そんなの……えらべないよぉ……!!」


 シャロットは顔をくしゃっとゆがめて、肩を震わせた。

 唇がひくひくして、次の瞬間、堰を切ったように大声で泣き出す。


 小さな手で目をこすって、涙をごしごし拭おうとするけど、どんどんあふれて追いつかない。


「……シャロット」


 イシドール様が静かに呼んで、そっと膝の上に抱き寄せた。

 その腕はいつもよりずっとやわらかくて、背中を優しく、とん、とん、とん、って。


「いいんだ。すぐに決めなくていいんだよ」


 その声には、言葉よりも深い愛情が込められていた。

 静かで穏やかな、でも決して揺るがない強さ。

 シャロットを、本当に大事に想っているんだって。


 ラヴィーナさんの気持ちも、痛いほど伝わっていた。

 母として、どんなに悔やんで、どれほど愛してきたのか──その全部を伝えたからこその、シャロットの涙だから。


 だけど、答えを出すのは、シャロット自身。


 私は、今日六歳になったばかりの小さな背中を見ながら、心の中で祈った。

 どうか彼女の選ぶ道が、どんなものであっても、あたたかい未来につながっていますように──と。



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